動物のみが歩く道は「けもの道」と言われている。 けものが同じルートを繰り返して歩いていると、地面が踏み固められ、下草や小枝取れて、道のない所に道ができてくる。山林に近い畑でさつまいもを作ってた人が、イノシシの親が小さいウリボウ3頭を連れて山へ帰っていくのを見て後をつけたが、途中から道が歩けないぐらいに狭くなってしまったそうだ。
人が歩けなくても、毛皮を着ている動物なら不自由なく歩ける道が出来ていたのである。
毎朝出勤や通学のため電車を利用する人が、駅前の文具店に寄ろうと思い自宅を出た。しかし気が付いたら、いつものごとく電車に乗っていた。普段から繰り返して同じ行動をしていると、脳の中のニューロンにネットワークが形成され、それが繰り返し毎に強固になっていく。 これこそ が脳の中の「けもの道」である。
課題の細分化とネーミング
会社で大きなプロジェクトが立ち上げられたとしよう。このような大きな目標対して、正面からぶつかると、潰されそうに感じるだろう。しかし、大きなプロジェクトであっても対処方法を上手にすれば、達成できる。 まず、大きな課題(目標)を内容的にまとまった塊(項目)に分けよう。そして、それぞれの塊(項目)に項目名を付けてみよう。
この作業は、富士山の登山に例えれば、1合目から9合目目まで、名前をつけるのと似ている。これによって、課題全体における 自分の位置、あるいはプロジェクト進捗度が良く分かるのである。まずはプロジェクトの全体像をしっかりと把握するのだ。
第1回目の評価:項目の内容を吟味
次に各項目の内容について、理解度、進捗度、現在の自分の力での対応力、解決力など、自分流の「メジャー」を当てはめてみる。そのメジャーで、各項目を評価し、◯△×をつけてみよう。例えば、訪問したら冷たくあしらわれそうだとか、解決できそうにないとか、契約が取れる予感がするとか、問題が易しいとか、プロジェクトを動かすスタート時点での評価を◯△×で表す。
第1回目では、当然「◯がほとんどなく×が多い」という具合にプロジェクトへの対策が可視化できる。この評価付けによって、次に取るべき行動の順位を考えることができる。その際、項目の重要性、緊急性による評価によって、順位をつけることがコツである。
これが次のステップに繋がるのだ。
第2回目の評価:項目ごとの変化を検討
一回目の後、それなりの対応をする。接客資料を分かりやすいものに変えるとか、難しい問題の解決法について先輩や関係者のアドバイスをもらうとか、市販の本で類似の事例の対応を見直してみる。この作業工程がプロジェクト進展のキーになる。 特に第1回目に△、×と評価された項目について、どのような行動を取ったかを深く検討する。 それらの活動を踏まえて、第2回目の評価を行い、同様に◯△×を付けて行く。 ×が△、あるいは◯になり、また△が◯になったというのは、そこに進歩があり、前進した証拠である。△が△のまま、また、×が×のままの項目は、なぜ変化がなかったかを考えなおそう
先方へのアプローチ、プレゼンの仕方、解決のための方略、あるいは勉強・準備時間不足など、あらゆる可能性を全方位から洗い出し、評価する。 計画に無理があったのか、先方に理解してもらうためのバックグランドの知識が不足していたのか、あるいは状況が変化してしまってプロジェクトの意味が変わってしまったのか、など考えを広げよう。 あるいは、いつまでも×が減らず目標と現実とのギャップが大きすぎる場合には、目標設定あるいはプロジェクトそのものを考え直す。
第3回目の評価:△×を重点的に評価
第2回の評価で良くなかった△、×の項目を重点的に対応する。さらに第2回の評価で△の付いた項目にも、第3回目の評価を同じモノサシで行う。 なかなか結果が出なかったとしても恣意的に評価基準を変えないことがコツである。順調に進行しておれば、◯が増えているはずだ。
△や×がそのままだったら、原因を探る作業をするこの時、可能性の高い順にリストアップしておくと、対応策を立てる際助かる。 ◯が△や×になった項目は、要注意! 先方に甘えていたツケが出たり、自己評価が甘かったりしているのだ。この場合にも、原因追及をしっかり行い、リストアップしておく。 ◯が×になったら、最悪で、救済の手を早急に差し伸べねばならない。
最終のプロジェクト(目標)達成の評価
第1回から第3回を通して、各評価時点での◯△×の数を図にプロットして、推移を見てみよう。図のように◯が増え、△や×が減るような図だと安心である。多くの場合、3回繰り返せばニューロンを活性化させ、活動を記憶でき、今までに無かった道、つまりけもの道が開けるはずである。
自信をもって「脳の中にけもの道を作ろう」!
Add Comment