ほめられるとダメになる? アドラー心理学流、相手を成長させる「横から目線」の使い方

ほめられるとダメになる? アドラー心理学流、相手を成長させる横から目線の使い方

あなたには、部下や後輩はいますか? その人がうまく成長するよう「すごいね!」「さすが!」などの声かけをしていないでしょうか。

一般的に「ほめる」はよいことだとされていますが、アドラー心理学では否定的にとらえられています。「称賛」ではなく「感謝」をすべきだというのです。

ほめることがよくないのは、どうしてなのでしょう? 部下・後輩にはどのような声かけをすればいいのでしょうか?

人をほめてはいけない?

ほめてもらえると嬉しくなり、「次もほめられるよう頑張ろう!」と思いますよね。しかし、アドラー心理学では、「ほめることで、その人を称賛に依存させてしまう」と考えられています。

行動する本来の目的は、「自分がやりたいから」や「必要だから」であるはず。しかし、称賛によって快感を与えることで、目的が「ほめられたいから」にすり替わってしまうのです。

人を称賛に依存させると、どんな問題があるのでしょうか。たとえば、職場。

非常に意欲的な部下や後輩がいたとして、「すごいね!」「よくできたね!」とほめ続けたとします。「自分がそうしたいから」「ビジネス上の目的達成に必要だから」と努力していたその人が称賛に依存すると、「ほめられるかどうか」に焦点を当てるようになるため、「これをやってもほめられないだろうな」と思ったことはやらなくなってしまうかもしれません。

また、称賛を目的に行動するようになれば、いつも受け取っていた称賛の言葉がなくなると、不満を感じるようになるでしょう。「ほめられるために努力したのにほめられない」となれば、努力する理由がなくなってしまいます。

このように、自主的に努力していた人をほめ、称賛に依存させると、せっかくの意欲を減退させてしまう可能性があるのです。

Q. 「ほめて育てる」がダメな理由は? A. 相手が「ほめ」に依存し、ほめられるために行動する人間になるから。

"ほめる” よりも “感謝する”

相手を称賛に依存させないためには、ほめるよりも感謝しましょう。アドラー心理学において、相手の成長に有効なのは、ほめることではなく感謝することだとされています。

ほめることは、上から目線の行為です。上司や先輩の成果に対して「よくできてますね」とは言いませんよね。

そして「ほめる」には、自分より能力の低い相手を思い通りに操作する意図があります。相手を操作しようとすることで、自律心を奪ってしまうのです。

「上から目線」の称賛に対し、感謝は「横から目線」です。「ありがとうございます」は、上司にも同僚にも部下にも使える言葉ですよね。

つまり、「感謝」によって、相手と自分がフェアな関係であることを伝えられます。相手を操作する意図がないため、自律心や意欲を奪わないのです。

あなたが部下や後輩に対し「ほめて伸ばそう」と考えているなら、「称賛」を「感謝」に置き換えてみてはいかがでしょう。

【称賛】すごくよくできている。さすがだよ。
   ↓
【感謝】処理してくれてありがとう。助かったよ。

***
アドラー心理学の観点から、「ほめて育てる」のデメリットをご紹介しました。

あなたが部下や後輩をほめることが多いのであれば、「称賛」から「感謝」に切り換えてみては? 長期的に見れば、人材育成のアプローチとして有効かもしれません。

「○○してくれてありがとう」の言葉で、自律心を損なわないまま、彼らは成長していくはずです。

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