みなさんは、叱られて伸びるタイプですか? それとも褒められて伸びるタイプですか? 「褒められて伸びるタイプ」などの言葉からも分かるように、人を育てるためには褒めることが有効だと広く信じられています。しかし、アドラー心理学の知見によると、相手の成長を願う場合、褒めることが必ずしも効果的ではないようです。

人を褒めてはいけない?

人は、他者から褒められるとうれしくなり、”次も褒められるように頑張ろう” という気持ちになります。実際に、褒められたことでやる気が上がり頑張ることができた、という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
アドラー心理学によると、褒めることは相手の自律心を阻害し、褒められることに依存した人間を作ってしまうというのです。人は褒められた時、うれしくなって次も褒められようと頑張ります。頑張ろうという気持ちになるのは良いことですが、行動の基準が “また褒めてもらえるかどうか” に依存してしまう、という危険性があるのです。本来なら、何か目標や目的を達成したことによって褒めてもらえる、という順番であるはずが、褒められることに依存してしまうと、褒められるために行動する、という風に倒錯が起こってしまいます。そうなれば、自分がやりたいことをやったり、自分で考え、試行錯誤して行動する、という姿勢が失われてしまうことがあるのです。

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“褒める”よりも“感謝する”

では、褒めることが効果的でないのならどうすれば良いのでしょうか。
アドラーは、相手の成長のために有効なのは、”褒めること” よりも “感謝すること” だと唱えています。褒めることは、他者の上に立たなければできない行為であり、背後には操作の心理が働いていることが多々あります。褒めることも叱ることも、アメを使うか、ムチを使うかの違いでしかありません。いずれの場合でも、自分よりも能力の低い相手を自分の動いてほしい通りに操作する、という目的が背後にあるのです。それに対して、”感謝すること” は、横からの目線であり、決して上から目線ではありません。

アドラー心理学では、人を育てるには「上から評価して褒める」のではなく、「横から勇気づける」ことが有効だと考える。褒めることの正体は依存心を育て自律性を奪うという意味で「勇気くじき」にほかならないわけだが、では、人はどんなときに最も勇気が湧くかといえば、組織や共同体への貢献を「横から感謝された」ときである。こうした感謝を何度も受け取ることによってのみ、人間は自律的に成長していく勇気を獲得することができるとアドラーは言う。

(引用元:PRESIDENT Online|アドラー心理学が教える「人を褒めてはいけない」理由)

確かに、上から目線で評価され、褒めるよりも、同じ共同体や組織の仲間として感謝した方が相手とフェアな関係であり、仲間として認めていることが伝わります。褒められた場合、他者に褒められるかどうかが行動の基準となってしまい、自分で考えて物事を進める力が失われてしまいかねません。それに対して、フェアな横の関係であるという意識があると、他者に行動の基準を委ねず、自分で考えて行動しやすいのです。よって、褒めるよりも感謝した方が相手の成長を助けることができるのでしょう。

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いかがでしょうか。褒められたら誰でもうれしくなるものですが、その後の行動が他者に褒めてもらえるかどうか、という基準で決まってしまうのは残念なことです。自分が他人の成長を応援したい時も、褒めるより感謝するようにしてみてください。

(参考)
PRESIDENT Online|アドラー心理学が教える「人を褒めてはいけない」理由
ADLER’S|勇気づけとは?
幸せの種「気づき」|アドラー心理学では褒めることや叱ることは「支配になる」からダメだと言われています。