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大事なプレゼン。何回も練習したのに、頭が突如真っ白に。思い出そうとしても、パッと出てこない。まずい。早く喋らないと。焦れば焦るほど、セリフは消えていく。まさに負のスパイラル……。

こんな経験、誰しもあるはずだ。一般に「あがる」と言われるこの状態。どんなに慣れていても、訓練を積んでいても、完全になくすことは難しいんだとか。

社運をかけた大舞台、人生を決める受験本番。そんな大層なステージでなくとも、私たちは常に「緊張」と隣り合わせに生きている。

そんな時、一体どう対処したらいいのだろうか。「人の字を三回手のひらに書いて飲み込む」「緊張に効くツボを刺激する」そんな怪しげなものでなく、科学的な対策を紹介しよう。

badge_columns_1001711どうしてあがっちゃうの?

いわゆる、あがり状態が科学的に研究されていること、皆さんはご存知だろうか。
なぜあがってしまうのか。どうしたらいいのか。心理学者や脳神経学者は日々頭を悩ませている。

”あがり”を攻略するには、まず原因を知ることから。どうして”あがる”のか、考えてみよう。

関西学院大学の有光氏は、人が”あがって”しまう原因を以下9つあげている。

1, 恥:聴衆が何を考えているか心配だ、失敗するのではないかと恐れる。

2, 準備:準備・訓練不足なのではないかと不安になる。

3, 身体的魅力:自分に魅力がないのではないか心配している。

4, 厳格な規範:観客に批判されていると感じる、失敗をなくすようにプレッシャーを感じる。

5, 性格特性:自尊心が低い、自信がない。

6, 観客の興味:観客が興味を持たないのではと心配する。

7, 新奇性:その体験に慣れていない。

8, 失敗:失敗そのものを恐れる。

9, 否定的結果:結果そのものが否定的になってしまうことを恐れる。

こんなのズラズラ並べられても、意味わかんねー!
そんな声が聞こえてきそうだ。その通り。実際科学者の間でも、複雑に絡み合う原因を一つひとつ解明するのは難しい、という声が多数。上にあげられている原因は、「ほう、こんなもんがあるのかー」程度に見てくれればOKだ。

対処法も様々提案されており、複雑なものも多い。

今回は、簡単に実践でき、かつ効果が実証されているものを紹介しよう。

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badge_columns_1001711流れの上の葉をイメージしろ!

あがりを解消するためには、「認知科学的方法」が役に立つとのこと。
具体的にどうしたらいいのか。帝京平成大の黒岩氏らは、「俯瞰すること」の大切さを述べている。あがりのネガティブな感情や思考にとらわれる、また無理にコントロールしようとするのではなく、距離をとることが大事なんだとか。

緊張してしまうのをあれこれ考えるのではなく、ちょっと突き放してみるとよい、ということだろう。実践的な方法として、黒岩氏らがあげているのが「流れの上の葉法」だ。

具体的な内容としては、

⑴大きな葉っぱが川を流れていく横に腰を下ろして眺めている自分をイメージする,

⑵今, 頭に浮かんだ思考, イメージ, をそれぞれ一枚の葉っぱに乗せる,

⑶それぞれの葉っぱが目の前を通り過ぎるのを眺める,

といった内容であった。

(引用元:黒岩智也, and 金築優. “P2-59 アクセプタンスを促すエクササイズがスピーチ場面のあがり低減に及ぼす効果 (一般演題 (ポスター), 現在から未来へ 我が国における認知行動療法の展開).” 日本行動療法学会大会発表論文集 37 (2011): 444-445.)

こんな方法で緊張が取れるなんて、それこそ怪しく感じるが、れっきとした科学論文で紹介されたものなのだ。黒岩氏らはこう続ける。

この効果は、アクセプタンスを促す体験的エクササイズにより、あがりのネガティブな思考や感情に対して、無理にコントロールするのではなく、それらの思考や感情に囚われず距離を保つことが部分的に達成できたからであると考えられる。

(引用元:同上)

流れに浮かぶ葉っぱを考えることで、今の自分の状態を「あ、俺あがってるな」と冷静に捉えることができるようになるのでしょう。

***

いかがでしょうか。この他にもあがりに関する研究はたくさんあります。
ですがその多くに共通て述べられているのが「二次被害の危険性」です。

うわー頭真っ白になっちゃったよ、どうしようどうしよう、もうこれで不合格になっちゃうんじゃないかな。全然思い出せないし…もうだめだ!

という風に、「あがっちゃった自分」に囚われて、ますますあがりの泥沼にはまっていく。これが一番怖いことです。こうなったら、本番成功することは難しいでしょう。

そうなる前に。心を落ち着けて、冷静に今の自分の状況を捉えることが重要です。困った時は「流れの上の葉」を思い出してくださいね。

参考

黒岩智也, and 金築優. “P2-59 アクセプタンスを促すエクササイズがスピーチ場面のあがり低減に及ぼす効果 (一般演題 (ポスター), 現在から未来へ 我が国における認知行動療法の展開).” 日本行動療法学会大会発表論文集 37 (2011): 444-445.

有光興記. “「あがり」 のしろうと理論:「あがり」 喚起状況と原因帰属の関係.”社会心理学研究 17.1 (2001): 1-11.

日本心理学会|人前で話をするときや,試験や競技の前に,なぜ“あがる”のでしょうか? 


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。