みなさんは普段、挨拶はきちんとできていますか。ビジネスパーソンの基本とされる「挨拶」ですが、当たり前すぎるがゆえにビジネスシーンにおいては見過ごされがちです。また、挨拶なんて誰でもできるものでわざわざ考える必要はない、と過小評価されていることも多いですよね。

しかし、挨拶の仕方によっては、良くも悪くも自分の印象を大きく左右します。挨拶のコツをいくつか押さえるだけで、特別なスキルやキャリアがなくとも、自分の印象をグッと上げることができるのです。今回は、周囲と差をつけることが可能な挨拶のコツをお伝えします。

挨拶が重視されるワケ

「挨拶をすることは大切だ」と小学生の時にはすでに教えてもらっていた方も多いでしょう。しかし、なぜ挨拶が大切なのか、みなさんは説明できますか。もしかすると、考えたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。

落語家である桂枝雀氏は噺「くやみ」のまくら(本題に入る前にするお話)において、挨拶は「敵ではないという合図」だと述べています。人間は他の動物と異なり、自分の考えていることを表情に出さずに行動することが可能です。極端な言い方をすると、ニコニコしたまま近づき突然相手に攻撃を加えるということも、人間はできてしまいます。

そんな相手の心の内が分からない状況では、疑心暗鬼になってしまいますよね。そのため、挨拶をすることによって「私はあなたの味方ですよ」と示すことが重要なのです。つまり挨拶とは、「信頼関係を築きたい」ということを相手に伝える役割をしていると言えます。挨拶をしない人と必ずする人では、後者が好かれるのも分かりますよね。

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こんな挨拶していませんか? 挨拶のNG例

しかし、ただ挨拶の言葉を発すれば良い訳ではありません。今すぐ改善すべき挨拶の特徴について見ていきましょう。友人間であれば許される挨拶であっても、一人前のビジネスパーソンとしては許されないもの。今回は、代表的なNG例を2つご紹介します。

1. 挨拶をする声が小さく早口である
まず気をつけたいのが、挨拶時の声量が十分でないことです。声が小さいと、挨拶をしたのかどうかさえ分かりませんよね。相手に気づいてもらえなければ、挨拶ではなくただの独り言になってしまいます。また、早口であることもマイナスポイントとなります。早口の挨拶では決して心がこもっているようには聞こえません。むしろこの場を早くやり過ごしたいと考えているように取られてしまうでしょう。

怒鳴るほど大きな声で、とは言いません。相手が聞き取れるくらいの声量で、ゆっくりはっきり話すと心のこもった挨拶になりますよ。

2. 相手の目を見ずに挨拶をする
ありがちな状況として挙げられるのが、挨拶をする声は聞こえるものの、よく見ると視線はずっとPCの方を向いたままであるということです。

話し方研究所顧問である櫻井弘氏は、目を合わせることは相手に心を開くことであり、また、目を合わせることで、相手に「信用できる」という印象を与えることができると言います。確かに相手に目を合わせてもらえないと、自分とはコミュニケーションを取りたくないのではないか、と疑ってしまいますよね。そのような誤解を生んでしまわないためにも、挨拶をする時には相手の目をきちんと見るべきなのです。

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周囲と差をつける、場面別挨拶のコツ

NGとされる挨拶をしないようにするだけでも、あなたの印象は上がるはずです。しかし他の人と差をつけるためには、挨拶の仕方にもう少し工夫をする必要があります。では、どのようにすれば良いのでしょうか。差をつけやすい2つの場面を見ながら、挨拶のコツを考えてみましょう。

1. すれ違いざまに挨拶をする場合
職場の人とすれ違った時に挨拶をすることもありますよね。その時、もし相手の名前を知っていたら、「〇〇さん、おはようございます」などと名前を呼びかけてから挨拶をするようにしてみてください。名前を呼ぶことで、相手に関心を持っているということを表すことができます。

自分の名前が呼ばれたとき、自分のことを呼んだ人に対して好感を抱くことは、心理学において「ネームコーリング」という効果で知られています。人間は無意識に自分の名前を好ましいものとして捉えているため、名前を呼ばれると自分に好意があるのではないかと考えるのです。特に、まだ知り合ったばかりで信頼関係を築けていない人や、なかなか接点のない人に対しては、名前を呼び掛けてから挨拶すると効果的ですよ。

2. 退社時に挨拶をする場合
この時の挨拶は、特に重要です。というのも、退社時の挨拶はコミュニケーションのためだけではなく、相手に自分の存在を知らせるという役割も担っているからです。退社時の挨拶を行き届かせておかなければ、あなたに対してなにか相談や連絡をしたいと考えていた人にとっては、「知らないうちにいなくなっていて、相談ができなかった」という事態になりかねません。

特に忙しい職場であれば、聞いておきたいことや頼みたいことがあるのにその人が見当たらないということは起こりやすいと思います。いつでもいいような案件だったら支障はないのかもしれませんが、納期が迫っていたりその人しか持っていない情報があったりした場合には、その後の仕事にも響いてしまいますよね。

そういったトラブルを起こしてしまわないためには、退社時にしっかりと挨拶をすることが重要です。つまり、退社時の挨拶には「自分はここにいますが、話をするならもう今しかありませんよ」というメッセージも込められているのです。そうすれば、最低限必要な連絡は取り合うことができます。

仕事において、こまめな連絡はとても大切なことです。誰かから居て欲しいと思われている時にすでに退社してしまってその場に居ないというのは、自分が役に立つきっかけを逃しているようなもの。そのため退社時の挨拶では、普段の挨拶よりもより一層「届ける意識」を持つようにしましょう。また、まわりを見まわして、自分に要件のありそうな人が居ないかどうかも確かめると、役に立つチャンスを逃してしまうこともなくなりますよ。

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挨拶をするとお互いに気持ちが良いものですよね。たかが挨拶と思うかもしれませんが、資格を取るために長い時間かけて勉強をするよりも、簡単に大きな効果を見出せるスキルだと言えます。みなさんもぜひ試してみてください。コツをつかむことができれば、今すぐにでもあなたの印象をググッと上げることができますよ。

(参考)
中尾ゆうすけ著(2015),『入社1年目から差がついていた! 頭がいい人の仕事は何が違うのか?』,すばる舎.
ダイヤモンド社 書籍オンライン|「評価される人」はここが違う! たかが“あいさつ”で大きな差がつく!
日刊ゲンダイ DIGITAL|新入社員はやはり「挨拶力」 同期に一歩差をつける“3カ条”
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