なぜ人は徹夜に "逃げる" のか? 徹夜してしまう人の思考パターンとその防ぎ方

「プレゼンの資料作りは、あとでやろう!」 1人で作業するものをつい後回しにしてダラダラと残業していませんか? 仕事を自宅に持ち帰って、気づいたら朝だったという経験をした人もいるでしょう。

学生でも「明日締め切りのレポートを徹夜で完成させよう!」と、無茶な計画を立てていませんか?確かに、プレゼンまでに資料は完成しますが、深夜に及ぶ作業、ましてや朝までやっていたとしたら、万全な状態でプレゼンに挑めるでしょうか?

学生であれば昼間に寝てしまえば良いのかもしれませんが、社会人となるとそういうわけにもいきません。翌日が休みだとしても、徹夜することでせっかくの休みを台無しにしてしまいますよ。また、昼休みに昼寝ができたとしても、深夜の睡眠に比べて覚醒状態に近く、脳や身体の疲れを十分に回復させることはできないのです。

こういったタスクのこなし方は、三流の人のすることと心得て、計画的なやり方を身につけておいた方がいいでしょう。 では、どうしてつい夜遅くまで作業することになってしまうのでしょうか?

徹夜で終わる=12時間で終わる

あなたが資料作りを徹夜で仕上げた場合、その作業時間はどれほどでしょうか?

仮に、18時の定時から作業を始めて、終電で帰宅し、作業を再開して朝6時に完成した場合、時間は12時間となります。移動や夕飯、入浴の時間を差し引いたら、もっと短いでしょう。

つまり、最大でも12時間があれば完成するということになります。ゆえに、わざわざ徹夜などせずとも、合間の時間を使えば完成しているはずですよね。

しかし、私たちはその12時間を合間の時間から確保して作業することがなかなかできません。わかってはいるのに、つい前日になるまで先延ばしにしてしまいます。

先延ばしにしてしまうワケ

タスクを先延ばしにしてしまう理由、それは人間の心理に関係しているのです。

人間には、数値を評価する際、他の数値と比較して評価してしまう心理的な癖があります。 例えば、靴に「2万円」の値札がついていたら決して安いとは思えませんが、「4万円→2万円」と値引き表示してあると、不思議とお得な感じがしますよね。これを「アンカリング効果」と呼びます。

このアンカリング効果が、資料作りでも起こっているのです。

プレゼン2週間前のあなたは、残り2週間(=336時間)という大きな時間から12時間を判断してしまうので、その時間が大したものには思えません。ゆえに、ついつい後回しにしてしまい、直前になって初めて、その12時間という重みに気が付くのです。

こうして、徹夜作業は発生してしまいます。

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「徹夜をしよう」は逃げ

徹夜をしないようにしようと思っても、急に計画的にこなせるようにはなりません。前述の通り、先延ばしにしてしまうのは心理的(感情的)な理由によるものですから、論理だけで克服するのは難しいのでしょう。

期限が迫ってきたとき、「徹夜して終わらせる!」などと言う人がいますが、これは「徹夜すればいいや」と考えているのと同じこと。本来は就業時間中に終えるべきことの締切を朝までのばし、残り時間を無理矢理24時間に拡大することで、12時間作業を軽く見積もろうという思考に他ならないのです。

徹夜を計画した時点で、12時間の重みはどこかへ消え、「どうせ夜やるし」といって昼間の作業が捗らなくなってしまいます。さらに、昼間のだらけから気分を切り替えられないと、その後またアンカリング効果が発動してしまうでしょう。

「急な変更があるかもしれないから、ギリギリになったら取り掛かろう」、「明日は休みだから、今日は徹夜で作業しよう」というように、いくらでも自分に言い訳はできますが、こういった思考が染みつくと徹夜が癖になってしまいます。まずは目の前のタスクから意識して改善していきましょう。

*** 充実した社会人生活は、効率の良い仕事の上に成り立つものです。徹夜という選択肢を封印することで、デキる大人を目指しましょう。

(参考) Wikipedia|アンカリング Wikipedia|セルフ・ハンディキャップ Rippleout marketing|The Anchoring Effect in Marketing 守和子(1984),睡眠障害のマーカーとしての尿中アドレナリン. 人間-熱環境系シンポジウム報告集, 8, 140-143.

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