目指すは「怒らない人」ではなく「怒りをコントロールできる人」。“アンガーマネジメント” 3つのコツ。

みなさんは、普段怒ることがありますか? ついカッとなっていってしまう人もいれば、溜め込んでしまうという人もいるでしょう。“怒り”という感情にはネガティブなイメージを持ちがちですが、実は「モチベーションの源になる」というポジティブな面も持ち合わせているのです。

今回は、そんな怒りをエネルギーやモチベーションに変えていく「アンガーマネジメント」についてお送りしていきます。

アンガーマネジメントとは?

「アンガーマネジメント」という言葉を聞いたことがありますか? これは、1970年代にアメリカから広まった、怒りと上手に付き合う、怒りの感情をコントロールするための心理トレーニング方法で、「怒らない人になる」ためのトレーニングではなく、怒らなければいけないものには上手に怒れ、怒らなくていいものには怒らないで済むように線引きをするためのトレーニングなのです。

適切に線引きができるようになる、自分や他人の怒りに振り回されないようにすることで、快適に生活したり、うまくモチベーションに変えていこうとするためのメソッドでもあります。

なぜ「怒らない人」を目指さないのか、と思う方もいるかもしれません。しかし、そもそも怒りは伝達手段であり、防衛手段でもあるため、生きていくためには必要なものなのです。怒りの感情をなくす、押さえ込むことは止めて、いかにコントロールしていくかに焦点を当てましょう。

怒ることは悪いのか?

まず、“怒り”のメリットとデメリットについて考えていきましょう。

【メリット】

「すっきりする」、「相手にはっきり意思が伝えられる」、「モチベーションにつながる」ことが挙げられます。モチベーションの源となる怒りとは「悔しいからがんばる」、「負けたくないから努力する」などの感情です。これらの源となるのがアドレナリン。これは怒りのエネルギーがないとなかなか生まれません。

テストで良い点数を取れなくて悔しい、リレーの選手に選ばれず悔しい……。このような経験は誰しもあるのではないでしょうか? その根底にあるのが「怒り」の感情なのです。

【デメリット】

大きく「メンタル面」と「身体面」に分けられます。怒ることであとで後悔する、怒った相手と気まずくなるなどのメンタル面での悪影響が大きいと思われがちですが、実は身体面に与える悪影響の方が重大なのです。体のあらゆる機能が落ち、通常の7~8倍のダメージがあるといわれています。

怒りをマネジメントするのは簡単なことではありませんが、訓練することで上手に表現できるようになります。怒りの感情とうまく付き合えるようになるためにオススメなのが、アンガーマネジメントです。

怒りを感じるときとは

自分の感情を適切に理解するために、まずは怒りを感じるときについて考えてみましょう。実は「怒り」は二次感情であり、その前の一次感情があふれることで怒りに変わるのです。

一次感情とは、不安や悲しさ、辛さ、寂しさ、悔しさなどのこと。人は、コアビリーフという、誰しも「こうあるべき」という信念を持っており、これが否定されると一次感情が生まれます。これが溜まり、解消されずにあふれることで“怒り”という二次感情になるのです。

怒りやすい人と怒りにくい人の違いは、このあふれるまでの器の大きさの違いといえます。怒りは、仕組みさえ知っていれば怖いものではありません。自分がコントロールしていくことも大切ですが、人の怒りを理解し、慣れていくことも大切です。いちいち気にしすぎていても大変なので、理解できるようにメンタル面も鍛えていきましょう。

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アンガーマネジメントを実践する

アンガーマネジメントを実践していくときのコツは、大きく分けて3つあります。

1.衝動のコントロール

諸説ありますが、怒りの感情のピークは最大でも6秒程度であり、この間にアドレナリンが強く出ると言われています。そのため、「カチン」ときてから6秒以内で発する言動は感情的になってしまいがち。

アンガーマネジメントにおいては、「反射で怒らない」ということを重視しています。反射的に怒らない、売り言葉に買い言葉を発しないということは「あんなことを言わなければよかった」という自己嫌悪防止にもつながりるのです。

【対処法】

・手のひらに書く イラっとしたり、ムカつくことがあったら、指で手のひらにそのことを書きます。書いているうちに6秒経つでしょうから、その時点でピークは過ぎるはず。脳内でぐっとこらえても良いのですが、それよりも身体を使って待つことが効果的でしょう。

・深呼吸 怒りの反応を遅らせるテクニックとして効果的です。もし相手から腹の立つことを言われても、怒りの言葉で返すのではなく、まず大きく深呼吸をしましょう。人は怒りを感じると呼吸が浅くなり、冷静でいづらくなってしまいます。冷静さを取り戻すため、鼻から大きく息を吸い、口からゆっくりと吐き出すようにする腹式呼吸を行うと効果的です。

・怒りの表現方法を考える 人は、言葉で表現できないことについては行動で示してしまいがちなため、「ヤバい」、「キレる」などのボキャブラリーだけだとその言葉通りに行動もキレやすくなってしまうのです。そこで、怒りを表現する語彙を増やしてみたり、怒りに点数をつけてみることで、怒りの表現をコントロールすることができます。

2.思考のコントロール

自分が怒っていても相手に伝わらないことはありませんか? それは、相手との言葉に対するラベルが違うためです。自分が「こうあるべきだ」と考えることに対して相手とのギャップが生じると、イライラしたり、怒りを感じたりしてしまいます。そのため、周囲の「こうあるべき」をある程度理解しておくと、相手の怒りが理解できるようになり、怒る必要があることと無いことを区別しやすくなるでしょう。

【対処法】

日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんによると、「三重丸」を書くことが効果的だそうです。

「こうあるべき」が相手と自分ではどのくらい差があるかを明確にすることができます。まず、三重丸を描きましょう。真ん中の丸から「自分と同じ」、「少し違うが許容範囲」、「自分と違うので許容できない」という欄を作ります。相手がどの丸に入るのかを指し示すことで、目に見えて自分との差がわかるので相手の怒りを理解することができるでしょう。

例えば、待ち合わせの集合時間で、5分前に着かないとイライラしてしまう人、少しくらいの遅刻なら許容範囲の人、様々な考えがあるはずです。自分や相手の許容範囲を理解し、自分の許容範囲を少しずつでも広げていくことが大切でしょう。

3.行動のコントロール

これは、コントロールできるものだけコントロールするという考えです。怒りの感情は身近にあることほど大きいと言われています。最近怒ったことについて、「いつまでに」、「どのように」、「どのくらい変わったら」自分の気が済むかを決めておけば怒りをコントロールすることができるでしょう。つまり、これが決められないことがイライラの原因となってしまっていたのです。

怒ることで何かを変えられるならコントロールすべきでしょう。しかし、変えられないことやコントロールできない事象、重要でないものなどは放って置いてしまっても良いのです。問題なのは、渋滞に巻き込まれてイライラしている、といった重要な事象だけれど自分では変えられない・かつコントロールできないことです。

【対処法】

どうすることも出来ないときは、現実を受け入れ、自分で出来る選択肢を探すと良いでしょう。例えば、渋滞に巻き込まれてしまったときは向かう先に連絡したり、音楽を聴いて気を紛らわせるのも対処のひとつです。

ここで大切なのが、その状況を受け入れること。諦めたり、我慢すると余計にイライラする元となってしまいます。

*** アンガーマネジメントで大切なことは「怒らないでいいことには怒らない」、「怒るなら制御していく」ということです。うまくコントロールして、モチベーションに変えていきましょう。

(参考) 日本アンガーマネジメント協会 ナースが教える仕事術|すぐ怒る人に教えよう!アンガーマネジメントで学ぶ怒りやイライラのコントロール リクナビnextジャーナル|「怒り」をモチベーションにできるアンガーマネジメントを学ぼう JCAST|「6秒」で人生が変わる アンガーマネジメントのススメ

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