「暗記が苦手」はもう卒業! 東大生が教えるユニークな『記憶の裏ワザ』

皆さんは、暗記ができずに困ったことはありませんか?

特に歳を重ねるごとに物忘れが多くなり、こんな自分では新しいことを学べない、と後ろ向きになってしまっている人もいるでしょう。しかし、実際は30代や40代に差し掛かってから新しいことを学び始めたり、驚異的な記憶力を発揮したりしている人も少なくありません。

元々の記憶力や年齢よりも、むしろ記憶のメカニズムをよく知る方がずっと重要なことなのです。

記憶の基本

記憶をする際に「繰り返し」と「寝る前」が重要だと言われています。

人間の記憶は最初に短期記憶に格納され、その後、重要であると判断されたものが長期記憶へ移動していきます。そのため、一度覚えたつもりでもそのまま思い出さなかったことは長期記憶に移らず、忘れてしまうことになるのです。脳が重要度を判定する基準は、どれだけ思い出したのかどうか。何度も思い出したものは重要な情報として長期記憶に移されるので、復習の重要性が何度も指摘されているのです。

また、記憶が短期記憶から長期記憶に移されるのは主に寝ている間とも言われています。睡眠には身体や脳を休める他に、記憶の整理の役割も存在しており、それを利用して、暗記物の勉強は寝る直前にするべきだと言われています。

それらの特性を利用して「寝る前に勉強し、なるべく多く復習をする」というのがオーソドックスな記憶のテクニックになっていますが、それだけでは対応しきれない状況も少なくないのが実情です。

日中に疲れているせいで寝る直前には勉強が手につかない、明日までにこれだけ覚えなければならないので何度も時間を置いて復習をできない、という日もあるでしょう。そこで活躍するのが、ちょっとユニークな記憶のテクニックです。

場所法

記憶したいものを場所に当てはめて覚えてしまう、というのが場所法のテクニックです。

人間の脳は、場所についての記憶に長けているという性質があり、それと組み合わせることでいろいろなことを記憶しやすくすることができます。さらに重要なこととして、普段親しんでいる場所のイメージに重ねることで連想しながら記憶を辿ることが可能になるのです。

具体的なやり方として、家から駅までの道に記憶を当てはめる方法があります。 自分が毎日通っている駅までの道のりであれば、どこにどのようなものがあるのか、どのようなルートで歩いていくのかを思い出すのは簡単なはず。そこで曲がり角や店、特徴的な家というような場所に記憶したいイメージを1つずつ配置していきます。

例えば「ここの電柱に◯◯のポスターが貼ってある。次の曲がり角で××が起こる。次の本屋には△△の本が売ってある」というように、具体的なイメージを頭の中で配置していくのです。

この方法を利用すると、道順を思い出しながら記憶の手がかりを探すことができ、たくさんの要素や順番が複雑なことなども簡単に思い出すことができるでしょう。また、どのような場所でも良く、自分の家の中や職場、身体の部位を順番に使うなど、いろいろなバリエーションが考えられます。

物語法

人間は、単発の記憶よりも物語になっている方が覚えやすい、という性質があります。何年も前に見た映画なのにそのストーリーを細かく説明できる、という経験は誰にでもあると思いますが、その特性を記憶術に応用するのがこの物語法。場所法と同じく、関連性の薄い複数の要素を順番通りに覚えるときに便利です。覚える要素を擬人化したり、多少強引なやり方で物語に登場させたりすることで一本のストーリーを作り上げていき、そのイメージで記憶を行います。

一般的にこの方法で記憶されているものが元素記号の周期表です。 学生時代に誰もが耳にしていると思いますが「水兵リーベ僕の船 七曲がるシップス、クラークか」というのは短い物語として記憶するために作られた語呂合わせでもあります。

「水兵のリーベくんが僕の船に乗っている、七回曲がった船(Ship)がそこでクラークさんに出会い、『クラークか』と言う」というような物語が考えられます。解釈は人それぞれになりますが、水兵・僕の船・シップスという言葉がひとつの世界観を共有していることが、この語呂合わせが覚えやすく今でも使われる大きな理由のひとつでしょう。

このように多少強引でも物語に仕立て上げてしまい、そのイメージで記憶するというのは有効な方法です。また、勉強しながら想像力を膨らませるので機械的な暗記よりも退屈しないというのも良いですね。

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環境法

記憶している内容だけではなく記憶している状況を一緒に覚えてしまう、というのが環境法です。

例えば、電車の中で勉強しているのならば、自分が車内のどの辺りにいるのか、周りにどのような人がいるのかまでを一緒に記憶してしまいます。自室で勉強しているときにも、その時間帯や部屋の明るさや温度、流している音楽、食べている夜食なども記憶の「とっかかり」として利用できます。それらを関連付けて覚えておくことで、環境を思い出すことを通して記憶を蘇りやすくすることが可能なのです。

この記憶法には、人間の記憶が特定の物事に対する知識である意味記憶と、自己の経験についての記憶であるエピソード記憶に分かれていることが重要な意味を持っています。「いつ何をしたか」というエピソード記憶の方が、意味記憶よりも忘れにくいという性質があるのです。そのため、覚えなければならない意味記憶をエピソード記憶に結び付けてしまうことで、自己の体験と紐づけて記憶を強化することができます。

*** 正攻法で記憶に挑むことも大切かもしれませんが、ときにはちょっとしたテクニックを駆使して切り抜けていくことも重要です。これらのユニークな方法で苦手な暗記を克服してみてはいかがでしょうか。

(参考) Wikipedia|忘却曲線 Wikipedia|記憶術 記憶術大辞典~記憶術の全てが分かる|物語法という記憶術

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