スティーブ・ジョブズ氏や秋元康氏など、斬新なアイデアを生み出してきた人たちは数多くいます。いったい彼らはどのようにして斬新なアイデアを思いついたのでしょうか? 今回は、アイデアマンたちから新しい発想のしかたについて学びたいと思います。
大量の知識をつける
アイデアは多くの知識から生まれるものなのだそうです。
『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか 論理思考のシンプルな本質』の著者である津田久資氏は、どれだけ多くのアイデアを出せるかは情報量、加工率、発想率の3つに依存すると述べています。
(1)頭の中の情報量(アイデアの素材)、 (2)情報が潜在的アイデアに加工されている割合(加工率)、 (3)潜在的アイデアを引き出せている割合(発想率)
(引用元:ダイヤモンド社 書籍オンライン|できる人ほど「情報収集」しない。「知識の正しい増やし方」は漱石に学べ!)
加工率という言葉はあまり聞き覚えのない言葉ですが、得た知識をどれだけ自分の言葉で言い表せるかを意味しています。多くの情報を効率よく自分の言葉に変換して着想を得る、ということが、アイデアを生むということなのです。だからこそ、多くの情報を得ることが大事なのですね。
多くの情報が必要とはいえ、ここで必要とされているのは広く浅い知識であるようです。津田氏は漱石が小説家を目指す青年にウィンドウショッピングは好きかと聞いたことを例にあげ、目的を持たずに多くの情報をただ受け入れることの大切さも説いています。
小説家のような高い創造性が要求される仕事をするためには、アイデアの素材に多様性(幅)がなければならない。「ウィンドウショッピングが好きか?」と学生に尋ねた漱石は、情報流入の習慣を学生が身につけているかどうかを確認していたのではないだろうか。
(引用元:同上)
幅広い大量の知識が、光るアイデアの元になっているのですね。
未来を見る
常に未来を見続ける姿勢は、斬新なアイデアを生む原動力になるのかもしれません。
iPodやiPhoneなどといった人気商品を次々に生み出したスティーブ・ジョブズ氏。彼は、今の顧客のニーズに答えるのではなく、未来のニーズを予測することを重視していたといいます。
「顧客が望むモノを提供しろ」という人もいる。だが、私の考えは違う。 顧客が今後、何を望むようになるのか、それを顧客本人よりも早くつかむのが我々の仕事なんだ。
(引用元:感謝のプログラミング10000時間|「市場調査なんてクソ喰らえだ」スティーブ・ジョブズとマーケティングについて。)
彼のやり方を実践するうえで大切なのは、現在の状況を詳しく知るということです。新しいことは、今の誰もが気付いてないことでもあります。だから、現在の状況を十分に知れば、今はまだ存在しないものを見つけることができるのです。
作っていて自分が楽しめないものを他人は楽しめるだろうか?
よいアイデアというものは、自分も楽しめるものです。
AKB48のプロデュースを手掛けた秋元康氏は、自分も顧客の一人なのだから、自分が楽しめないことは成功しないと語りました。
そこで分かったのは、当たり前のことなのですが、「大衆のために作っている」と言いながら、自分も大衆の1人であることを忘れているんです。(中略)「なるほど、自分が面白くならないとダメなんだ」と。
(引用元:ITmediaビジネスONLINE|「分からないものが一番いい」――秋元康氏のAKB48プロデュース術)
何かアイデアが浮かんだとき、最初にその恩恵を受けるのは他の誰でもない自分自身です。そもそも浮かんだアイデアを楽しめない状態では、実行に移すモチベーションが生まれません。
自分も他者も納得できるアイデアはそう簡単に浮かぶものではないかもしれません。ですが、何度も練り直して作り上げたアイデアは、きっと自分自身も心から楽しめるものに違いありません。
*** いかがでしょうか。斬新なアイデアを生み出すのは簡単なことではないでしょう。街を歩いてたくさんの情報に触れ、今自分はどんな環境にいるのかを把握してみてください。現代に存在しないものを見つけることができたり、自分の心が動かされるような発見に出合うはずです。アイデアに詰まっているという方はぜひ外に出て、今を観察してみてくださいね。
(参考) ダイヤモンド社 書籍オンライン|できる人ほど「情報収集」しない。「知識の正しい増やし方」は漱石に学べ! 感謝のプログラミング10000時間|「市場調査なんてクソ喰らえだ」スティーブ・ジョブズとマーケティングについて。 ビジネス+IT|秋元 康氏×小山 薫堂氏対談:AKB48、くまモンを生んだヒット企画発想法 ITmediaビジネスONLINE|「分からないものが一番いい」――秋元康氏のAKB48プロデュース術