どうしたら、論理的に考えて仕事を進められるのかわからない。もしくは、頭のなかを整理して論理的に話すことが苦手だという方に、とっておきの方法があります。それは、シンプルで的確なステップで思考整理を加速してくれる「A3ノート術」。さっそくご紹介しましょう。

段階を整理すれば思考も整理できる

たとえば新商品の開発が必要なとき、いきなりその商品を具体的に考えることは、どんなに経験豊かな人でもなかなか難しいことです。市場や顧客のニーズを調査したり、競合他社と比較したりなど、さまざまなステップを踏んでこそ「新商品開発」にたどり着くことができます。

しかし、「これがいい!」と天才的なひらめきで生み出された商品が、大ヒットしてしまうことだってあるでしょう。いわゆる「感覚的思考」というものです。

ところがステップを踏んで「商品開発」したとしても、ひらめいて「商品開発」したとしても、それを会議等で説明し、大多数が納得できなければ最終目標の「商品化」へと進めません。それに、商品化したあとも、店頭やECサイトに商品が並びエンドユーザーがそれを手にするまで流通は続きます。

ビジネススキルなどの研修で数多く講師を務める小宮清氏は、「思考には“論理”も“ひらめき”もあるが、自分の考えを他者に伝えるときには、確実に論理的な段階を踏む必要がある」と伝えています。

つまり論理的な思考とは、他者が理解・納得するにあたって必要なものであり、物事の展開を段階的にとらえることなのです。

決して難しく考える必要はありません。新商品が思いつかなければ、リサーチや比較検討が必要だと考えるのも論理的思考。ある日ふと頭にひらめいた商品をなんとか本生産にこぎつけるため、他者に説得できるよう理由づけしていくことだって論理的な思考です。段階を整理していけば、必然的に思考も整理されていくのです。

そして、その際には「A3ノート術」が非常に役立ちます。

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思考整理には「A3ノート術」がおすすめ

「A3ノート術」は方法もメリットも限りなくシンプルです。

“A3”である理由は、大きいサイズのほうが内容を1枚にまとめやすいから。ひとつのテーマが複数のページにわたっていると、めくったり戻ったりする必要があります。それでは内容を俯瞰できないため、思考力が弱まってしまうのです。パッと見て全体像を把握できるというのは非常に効率的なのだと、早稲田塾創業者の相川秀希氏や『一流の人はなぜ、A3ノートを使うのか?』の著者・横田伊佐男氏はいいます。

また、いきなりパソコンに向かって考えようとすると、不必要なものも含めおびただしい情報が入ってきたり、「きれいにまとめること」に意識が向かったりしてしまいます。しかし、独立した「紙(ノート)」というものであれば、それらを防ぐことができ、何度も書き直したり、付箋を貼ったり剥がしたりすることができます。それを囲み皆で意見やアイデアを出し合うことも可能です。

そうすることで、思考がどんどん整理されていくわけです。

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「A3ノート術」を使ってみる

では実際にA3ノート術を活用してみましょう。A4ノートの見開き(A3サイズ)でも、A3コピー用紙でも構いません。

売り上げを増やすために、20~40代の働く女性が購買層の「ファッションECサイト」のリニューアル全般を任された状況とします。横田伊佐男氏が提唱している3つのステップで考えていきます。(1ステップにA3を1枚)

1.拡大思考――アイデアをできるだけ多く出す。
2.分割思考――出したアイデアを整理・絞り込み。
3.俯瞰思考――全体像を俯瞰し実行計画を立てる。

◆【1.拡大思考】では、目標が明確になるよう具体的なテーマを疑問形で設定し、解決策のアイデアをできるだけ多く出します。「月売上1,000万円の壁を破るにはどうしたらいいか?」としてみましょう。付箋に書いて貼っていくのも効率的です。質より量で、どんどん出していきます。

――すると「男性客の取り込み」「夫婦で購入」「働く子育てママの取り込み」「ファッションに敏感な学生の取り込み」「ミドルシニア層の取り込み」「こだわりメンズ服」「ビンテージ」「安心オーガニック」「リーズナブル」「家族割」「機能素材」「こだわり子供服」「有名モデル起用」「デザイナーコラボPB開発」「ファッション雑誌タイアップ」「ファッションイベント参加」「ショールームオープン」「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「アフィリエイト広告」「SEO施策」「コンテンツマーケティング」「おしゃれママブログ」といった、ランダムなアイデアが出てきます。

◆次に【2.分割思考】で、アイデアを整理します。縦軸に「効果」、横軸に「難易度/コスト(費用・手間)」を置いたペイオフマトリックスを作り、アイデアを振り分けます。そして、難易度が低く、しかも効果が高いレバレッジエリアに置かれたアイデアだけを採用します。その他はアッサリと捨てましょう!

――すると、既存の購買層を考慮し「働く子育てママの取り込み」「こだわり子供服」「コンテンツマーケティング(おしゃれママブログ)」などが採用されます。

◆そして、最後の【3.俯瞰思考】では、採用したアイデアを一番上に貼り(書き)、それを実行するための「タスク」「担当者」「期限」などを具体的に決め、表形式で書いていきます。

――すると、ママ層に人気のECショップを調査する担当者、人気子供服を調査する担当者、ECサイトのデザインイメージコンセプトをまとめる担当者、コンテンツマーケティングの担当者などを決め、定例会議日を設定することができます。このようにして段階を踏むことで、自分の思考がスッキリと整理され、なおかつ他者への明確な説明も可能となるのです。

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「A3ノート術」で思考整理を加速する方法を、実例とともにご紹介しました。この方法を通じて筆者が一番強く感じたのは、思考の整理は、不要なものを切り捨てたとき急激に加速するということです。3つのステップを活用すれば、それが容易になりますよ。ぜひお試しくださいね。

(参考)
THE21オンライン|アイデア出しから実行まで一気にこなせる「A3」ノート術
東洋経済オンライン|頭のいい人は「青ペン×A3見開き」だった!
JMAM 日本能率協会マネジメントセンター|講師クローズアップ 小宮 清