相手を気遣いながらも主張する! 「アサーティブコミュニケーション」3つのポイント

人とコミュニケーションをとるのは得意ですか? おそらく苦手な方が多いのではないでしょうか。一口に“コミュニケーション下手”といっても、自分の意見を押し通すあまり反感を買ってしまう人や、反対に自分の意見が言えなくていつも流されてしまう人、表現の仕方が悪くいつも誤解されてしまう人などさまざまです。自分にとっても相手にとっても円滑なコミュニケーションをとるにはどうしたらよいのでしょうか。

今回は、そんなコミュニケーションに頭を悩ませている人もスムーズな人間関係を築きやすくなる「アサーティブコミュニケーション」をご紹介します。

コミュニケーションは大切だが難しい

ビジネスにおいて最も重要といっても過言ではないコミュニケーション。取引先への報告がうまく伝わっていなかったり、社内での伝達がうまくいかなかったりすると、大きなトラブルにもつながりかねません。

例えばあなたは、次の約束の時間が差し迫っているとき、長引いている取引先との会話をどのようにして切り上げるでしょうか。なかなか話を止めてくれない取引先に業を煮やし「もうこの辺で話に区切りつけましょうよ!」と感情をぶつけますか? または「あの、どうしましょうか……、そろそろ……」と、おそるおそる話を終わらせたい意思を伝えますか? あるいは時計を見たり、指でテーブルをトントン叩いたり、動作であからさまに急いでいることをアピールしますか?

一見して、どれも良い印象ではありませんよね。ならばコミュニケーションとして正解とは言えないはず。ではいったい、どのように気持ちを伝えることが最善なのでしょう。そこで役立つのが「アサーティブコミュニケーション」です。

アサーティブコミュニケーションを目指そう

「アサーティブコミュニケーション」とは、端的に言えば “相手を気遣ったうえで自分の意見を述べるコミュニケーション法” です。語源は「自己主張」を意味する “assertiveness” 。「自己主張」とは言っても、ただ自分の意見を押し通すわけではなく、相手を尊重したうえで自分の主張を表現することを目標にしています。「誠実」「率直」「対等」「自己責任」という4つの柱を土台にして、自分も相手も尊重することに重きを置いているのです。

そこで、先ほど例にあげた “取引先との会話を早く切り上げたい状況” をアサーティブコミュニケーションで行ってみます。すると、「恐れ入りますが、今日はここで切り上げてよろしいですか。このあと約束があるので、そろそろそちらへ向かわなければならないのです」という表現になります。

大切なのは、主張をしつつも相手を気遣うこと。一方的に切り上げるのではなく、相手の気持ちに配慮しながら堂々と伝えます。前もって「次の約束があるので今日は1時間で切り上げさせてください」と伝えておくと、よりスムーズですね。

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アサーティブコミュニケーションの具体例

では、さらにアサーティブコミュニケーションの具体例を見ていきましょう。

1.突然意見を求められたら

もしも、あまり詳しくない内容なのに、突然「どの案がいいか」と意見を求められた場合、アサーティブコミュニケーション的にはどう表現するべきでしょう。

例えば「私は〇案が良いと思います」という答えは率直に聞こえますが、実際その内容に詳しいわけではないので、誠実さに欠けることになります。では、「××さんの方がその内容に詳しいので、××さんの意見が良いと思います」というのはいかかでしょう。こちらだと、なんだか自信なさげで相手との対等な姿勢がありません。また、意見を述べる責任を他に放り投げているので自己責任にも欠けています。それらを踏まえたアサーティブな答えは以下の通り。

「実はその件に関してあまり詳しくないので、あくまでも個人的な見解ですが、私は〇案が良いと思います」

詳しくないことを正直に伝えたうえで、自分の意見を主張することが大切です。この答えならば「誠実」「率直」「対等」「自己責任」という四つの柱がしっかりと立っていますよね。

2.後輩のミスを叱るときは

注意したばかりなのに、後輩がまた同じことでミスしてしまった場合にはどのように叱るべきでしょう。

例えば「そんなに気にしなくてもいいよ。でもこれはからは、もう少し気をつけようね」などと伝えると、なんだかやさしい先輩のようで好印象です。しかし、これではまったく危機感が伝わりません。だからと言って「何度同じミスを繰り返すの? やる気がないんじゃない?」と厳しくするのが良いわけでもありません。あまりに感情的な表現では後輩も聞く気が失せてしまいます。ここは、誠実さをもって率直に、後輩である相手への責任を請け負うような気持ちで

「前回ミスしたとき自分なりに何か手を打った? また繰り返さないよう正すべきところはいま正そう」

とはっきり事実を確認しながら味方にもなり、相手にもよく考えさせることが重要です。

アサーティブコミュニケーションの取り入れ方

では、アサーティブコミュニケーションを取り入れるにはどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。

1.率直かつ柔らかい表現で伝える

物事を率直に伝えるためには、回りくどい表現は避けるべきですが、だからこそ極力やわらかい表現を心がけることが必要です。相手の言動に共感しながら、感情的にならないようにして自分の意見を伝えるのです。

とはいえ、対等な姿勢で意志の強さをしっかりと見せることも重要です。声のトーンはハッキリと、相手の目を見ながら堂々とした態度で伝えましょう。

2.3つの要素を整理してから伝える

伝える側の頭が整理されていなければ、相手に気持ちが伝わらないのは当たり前のこと。それが仕事に関する注意など、少しネガティブな内容ならなおさらです。そこで、伝える前に、「起きていること(事実)」、それについて「感じたこと(感情)」、そして相手に「してほしいこと(要求)」という3つの要素を整理しておきましょう。紙に書き出してみるのも良いですね。

また、仕事のミスを注意する場合には、相手に対して責任を共有することも大切です。それが言葉にあふれていれば、相手の心にすんなり伝わりやすくなりますよ。例えば「これは決してやってはいけないミスだよ。何が原因かよく考えてみてね。私も考えるから」といった具合です。

3.断るときには代替案を提示する

先輩や上司からのお誘いを断ったり、もしくはビジネスのうえで相手からの要望を断ったりする場合には、事実と感情と要求を整理して伝えたうえで、一緒に代替案も提示するようにします。前者であれば「来週は時間があるのでぜひまた誘ってください」という代替案を。後者であれば「こちらの製品であればご要望に応じられます」という具合です。たとえ率直に断ってもその言葉に誠実さがあり、なおかつ「~なら可能」という代替案が提示されれば、良好な関係を続けられるはずです。

*** 相手も、自分も尊重する「アサーティブコミュニケーション」で円滑な人間関係を築きたいですね。

(参考) アサーティブジャパン|アサーティブとは

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