優先すべきことはわかっているのに少し面倒な仕事がある……。そんなとき、その仕事をつい後回しにしてしまうことがありますよね。例えば、「昨日参加したセミナーのレポートをまとめて上司に出さなければならない。でも下手なものは出せないから、きちんと考えながらまとめなければいけない」といったように、少し手間がかかるような仕事です。

また、締め切りが1ヶ月後など少し先に設定されている仕事だと、取り掛かる気がおきないなんてこともあるでしょう。

このように仕事をつい後回しにしてしまいたくなるのは、仕事に慣れてきた若手社員の人に多いかもしれません。新人の頃は上司に指示されたタイミングで仕事をこなしていればよかったのに、2年目以降になると自分の裁量で仕事を進めるようになりますよね。自分のペースで仕事をするようになると、面倒だな、後でやればいいかといった自分の感情が邪魔をして、仕事をつい後回しにしてしまうことが出てくるのです。

そんな問題を抱えている皆さんに向けて、今回は、仕事を後回しにすることなくすぐに取り組めるようになる後回し克服術を紹介します。

仕事における後回しの原因とは

後回しを克服するために、私たちが重要な仕事を後回しにしてしまうのはなぜなのか、その理由を知るところから始めましょう。仕事なので最終的には必ずやらなければならないのに、なぜか後回しにしてしまう。そんな後回しの理由として、以下の2つのことが挙げられます。

理由1:完成形を「創造」できていない

これに当てはまるのは、何をやったらいいのかわからないまま時が過ぎ、結果的に後回しになってしまう人。このコラムではタイプ1と呼びます。これは、今まで与えられた仕事を言われたままにやって、なんとなく仕事に取り組んでいた人に多いタイプです。

例えば、締め切りが1ヶ月後と言われて取り掛かれないのは、1ヶ月間具体的に「何を」「いつ」やっていけばいいか、決められないことが原因であると言えます。

なお、「完成形を『創造』できていない」の「創造」の意味するところは、後で説明します。

理由2:締め切り前しか頑張れない

こちらの点に当てはまるのは、緊急でない仕事を楽観的に後回しにしてしまう人。以下、タイプ2と呼びます。まだ大丈夫という思い込みによって、仕事を後回しにしてしまう人のことです。

例として、「1ヶ月後が締め切りだ」と言われた仕事になかなか取り組めない原因を考えてみましょう。このタイプの人は、対象となる数値を他の数値と比較して評価してしまうアンカリング効果を受けてしまっています。締め切りまでに残された長い時間と、仕事にかかる時間(こちらのほうが相対的に短い)とを比較し、「1ヶ月後が締め切りだと言われたけれど、この仕事にかかる時間はせいぜい2週間だから、まだ大丈夫だ」と余裕を多めに見積もってしまうのです。

ゆえに、ついつい後回しにしてしまい、間に合うか間に合わないかという時になってようやく慌て始めるというわけです。

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仕事を後回しにすると、どんな問題が生じるか

私たちがつい仕事を後回しにしてしまう理由が分かったところで、後回しにしてしまうと具体的にどういった問題が起こるか考えてみます。仕事を後回しにするデメリットとは何なのでしょうか。

あなたが仕事を後回しにすると、当然その仕事の完成は遅くなります。たった一度のことであれば挽回が効くかもしれませんが、仕事の完成が遅いことばかり続くと、あなたは「仕事が遅い人」だとみなされるでしょう。「仕事が遅い人」は多くの場合、「仕事ができない人」だという評価を受けることになります。周囲からの評価が下がってしまうのです。そして他者からの評価が下がれば、あなたは自信をなくし、モチベーションが低下するでしょう。そうすると、仕事はさらに後回しになっていきます。

つまり、後回しにする→仕事が遅くなる→評価が下がる→やる気がなくなる→後回しになる……という負のスパイラルに陥ってしまうのです。

仕事をつい後回しにしてしまうという人は、その癖を克服してすぐに仕事に取り掛かれるようになる必要があります。そうでないと、仕事が早く、評価が高く、やる気のある人に比べて、あなたに対する評価は低いままとなってしまい、いつまでも仕事を後回しにする人間からは脱することができないのです。

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後回しをやめる2つの方法

では具体的にどうすれば、後回しを克服することができるのでしょうか。先ほど紹介した後回し原因別に、克服方法を紹介します。

方法1:頭の中で一度仕事を完成させる

タイプ1の人は、仕事の完成形を思い描き、それを念頭に置いて仕事に取り組むようにしましょう。ビジネス書のベストセラーである『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー著)には、以下のように書かれています。

すべてものは、まず頭の中で創造され、次に実際にかたちあるものとして創造される。

(引用元:スティーブン・R・コヴィー著, フランクリン・コヴィー・ジャパン訳(2013),『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』, キングベアー出版.)

つまり、頭の中での創造がしっかりしていないと、物事は完成しないのです。「想像」ではなく「創造」という言葉が使われているように、頭の中で一度しっかりと仕事を完成させる必要があります。終わりを創造できれば、過度に楽観的になることもなくなるでしょう。

終わりを思い描くことから始めるというのは、目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことである。目的地がわかれば、現在いる場所のこともわかるから、正しい方向へ進んでいくことができる。

(引用元:同上)

きちんと完成形を創造することで、その仕事の核となる部分を把握でき、仕事の効率も良くなります。今やるべきことや時間がかかりそうな部分、重要でないところがわかり、仕事の過程で特に優先すべきことを優先できるようになるからです。

方法2:仕事を細分化し締め切りをこまめに設ける

タイプ2の人は、「いつも締め切り直前の状態」を作り出しましょう。最終的な締め切りから逆算し、いつまでに何をやっておくべきか考え、それぞれに期限を設けてみてください。大きな仕事を細かなタスクに分け、それぞれに締め切りを設定するのです。そうすれば、全体としては緊急でない仕事でも、今日何をするべきかという緊急の仕事が見えてきます。

このように、大きな仕事を細分化することには、仕事に取り掛かるハードルが下がるというメリットもあります。10時間かかる仕事に取り掛かるのに必要なモチベーションと、1時間かかる仕事に取り掛かるのに必要なモチベーションって、全然違いますよね。簡単な仕事ほど、モチベーションがそれほど上がらないような時でも、比較的容易に取り組むことができるのです。

このやり方は、仕事があり過ぎて期限が先の仕事に手が回らないというときにも役に立ちます。仕事を細かく分けることで、隙間時間にも少しずつ取り組むことが可能になりますから、忙しくてまとまった時間が取れない時でも着実に仕事を進めることができるのです。後回しを防止するだけでなく、他の仕事との兼ね合いや突然の仕事への対応も余裕をもってできるようになりますね。

後回しを推奨している本もある

後回しは良くないことであるという前提から、後回しを改善する方法を紹介してきましたが、意思決定とタイミングを科学的に研究した一冊『すべては「先送り」でうまくいく ――意思決定とタイミングの科学』の中で、著者のフランク・パートノイ氏は先送りを推奨しています。

特に、意思決定の場面で先送りはとても有効です。人間は、心臓の拍動の変化等で神経のコントロールを行い、性急な反応を阻止しているのだそう。反応を先送りし、その前に「検討」プロセスを挟むことによって、最善の決断をくだすことを可能にしているのです。

意思決定にかけられる時間が少なくなると、その分事前の分析が少なくなり、正確な判断も難しくなってしまうでしょう。しかし判断を先送りすれば、熟考することで正しい判断ができるようになります。仕事で重要な判断を委ねられた場合や、意見が対立していて議論を重ねる必要がある場合などには、適切な先送りが求められるということなのです。ここでは当然、重要でない仕事は先送りすることになります。

後回し克服と先送り術は、相反するもののように見えます。しかしよく考えてみれば、どちらも目指しているのは「仕事ができる人」になることであって、全く同じもののはずです。後回しをやめる方法の中で紹介したように、頭の中で一度仕事を完成させ、優先するべき事柄を優先することができるようになれば、先送りするべき事項は見えてくるはず。

後回しは良くないというイメージに騙されないで、後回しするべき仕事は積極的に先送りするという柔軟さも備えることができれば鬼に金棒です

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後回しを克服したい。そんな人のための後回し克服術を紹介しました。後回し癖としっかり向き合えば、後回し克服だけにとどまらず、仕事ができる社会人になりますよ。

(参考)
スティーブン・R・コヴィー著, フランクリン・コヴィー・ジャパン訳(2013),『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』, キングベアー出版.
Study Hacker|なぜ人は徹夜に “逃げる” のか? 徹夜してしまう人の思考パターンとその防ぎ方
茂木健一郎著(2007),『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』,PHP研究所.
フランク・パートノイ著, 上原裕美子訳(2013),『すべては「先送り」でうまくいく ――意思決定とタイミングの科学』, ダイヤモンド社.
Study Hacker|【書評】すべては「先送り」でうまくいく