「報酬があると、仕事のやる気が出る。」

このような論説を各所で見かけます。実際、ご褒美あった方がやる気が出るのは、人間なら当たり前ですよね。

Study Hackerでも、そのような記事を紹介してきました。(Study Hacker|後輩、部下のモチベーションやパフォーマンスを上げる、簡単な方法

しかし、その報酬の与え方にも、善し悪しがあるのをご存じでしょうか?

例えば、あなたが部下のやる気を上げようとして、「この企画が全部終わったら、寿司をおごってやる!」と言ったとします。実は、このような報酬設定は、あまり良いやり方ではないのです。

では、本当にやる気の出る報酬設定とはどういったものか。そのヒントは、今流行りのスマホのソーシャル・ゲーム(以下ソシャゲ)にあります。

ソシャゲは、ユーザーを長く、そしてたくさん惹きつけておく必要があります。飽きられてしまったらそれでおしまいです。ゆえに、ガチャやダンジョンにおけるキャラクターの入手条件は、入念な計算の上で設定されているのです。

では、どのような報酬設定が人を惹きつけるのか。その仕組みを見てみるとしましょう。

不確定性を含んだ報酬

人間は、報酬がコレと決まっているより、不確定要素を含む方がやる気が上がる、と示す研究があります。予測不可能である、ということがそのまま動機になるということ。

研究では、やる気に繋がる脳内物質である「ドーパミン」の量を、報酬確率を変えて測定しました。その結果、報酬確立が50%の時に、ドーパミンの分泌量が最大となったのです。

ゆえにソシャゲでも、強いモンスターは、ダンジョンをクリアしても一定確率でしかもらえないような設定になっています。「100%もらえる方がうれしいじゃん!」と思われるかもしれませんが、そのようなゲームは自然と飽きも早くなってしまうのです。

仕事の場合、毎週3000円のご飯に連れていくよりも、1万円の高級寿司と、1000円の定食屋をくじにして、毎回それを引く形にした方がやる気につながります。「くじを引く」という行為自体が楽しみになってくるものなのです。

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同じものが続くとダメ

件の研究では、同じ報酬が続くとドーパミンの分泌量が少なくなることも示されています。報酬の効果が次第に薄れてしまうということ。

ソシャゲにおけるガチャは、キャラクターの出現率が定期的に変動します。「今週は神属性が出やすい」「海の日限定で水タイプが出やすい」といった形です。その報酬の変化が、ユーザーの飽きを防止しているのです。

現実でも、報酬がいっつも高級寿司では、せっかくの価値も半減してしまいますよね。高級焼肉やご飯以外のものとループさせることで、飽きない報酬設定を目指しましょう。

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期間はどれくらい?

ソシャゲでは、キャラクターを進化させるために素材が必要になるのが一般的。

特定のモンスターを倒すことでそれが得られるわけですが、その必要個数もやる気に関わっているいます。5~20個が、素材集めのやる気を保てる適切な量だとか。

つまり、報酬を得るまでに必要な労力は、適切に設定しないとだめということ。長すぎても短すぎても、その効果は小さくなってしまいます。

仕事でいえば、1週間分の仕事を終える毎にご褒美があると、ちょうど良いでしょう。

そして、もう一つ大事なのは、期間で決めないことです。時間は、何もしなくても過ぎていくものなので、期間で設定しては全く効果がありません。1週間すぎたら報酬を与えるということではなく、1週間分の仕事量を終えたら報酬がもらえる、ということですね。

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ゲームだと馬鹿にすることなかれ。流行の裏には緻密な確率の計算があったのです。部下や後輩のやる気が上がらなくて悩んでいる方は、ぜひ一度試してみてくださいね。

(参考)
Study Hacker|後輩、部下のモチベーションやパフォーマンスを上げる、簡単な方法
TED|トム・チャットフィールド: ゲームが脳に報酬を与える 7 つの方法
朝比奈亜貴代, 平山淳一郎, & 石井信. (2009). 不確実な報酬予測におけるドーパミン活動の計算論的モデル. 電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング, 108(480), 267-271.