私たちの思考・行動をつかさどる “脳” 。皆さんは、脳を大切にできている自信はありますか?

「頭がうまく働かない……」
「なんだかやる気が起きない……」
こう感じている方は、もしかしたら脳に優しくない生活を送っているのかもしれません。

脳の神経細胞は、とてもデリケートなもの。ちょっとしたことで委縮したり死滅したりしてしまい、やる気や思考力の低下、認知症リスクの増加など、さまざまな悪影響をもたらします。

そこで今回は、そんな繊細な脳に優しい4つの習慣をご紹介します。最新の科学的知見を参考に、脳にパワーを取り戻しましょう。

脳が不調に陥る原因

脳に優しい習慣を紹介する前に、脳が不調になる主な2つの原因について説明します。

原因の1つめは、脳の働かせすぎにより脳に疲労が溜まってしまうこと。体が疲れると動けなくなってしまうように、脳も疲労すると働かなくなってしまうのです。

原因の2つめは、脳を使わないことで脳が錆びついてしまうこと。運動していないと速く走れなくなるのと同様に、脳も、ある程度働かせておかないと、いざというときに働いてくれなくなります。普段から仕事や勉強をしている人であれば「自分の脳は錆びついているはずはない」と思いがちですが、特にルーチンワークなどの慣れきった作業は、脳が省エネモードになりがち。じつは期待しているほど働いていないことが、脳内の血流を測定した研究でも判明しています。

使いすぎは良くないけれど、使わなさすぎも良くないということですね。では何をすればいいのか、脳に優しい習慣をさっそく見ていきましょう。

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60日のトレーニング後、英語実務でも効果を実感。TOEICも950点に。
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1. 健康的な生活を送る

当たり前のことですが、健康的な生活を送ることは非常に重要です。ここでは「食事」「睡眠」「運動」の3つに絞ってお伝えします。

【食事】

栄養バランスは言うまでもありませんが、特に脳にとっての栄養分である糖分は定期的に補給するようにしましょう。脳は、体全体で消費されるエネルギー量のじつに25%を消費しているとも言われています。糖分の不足は、すなわち脳のガス欠を意味します。チョコレートやキャンディーなど、糖分を補充できるものを普段から携帯しておくと良いでしょう。

ビタミンB12もまた、脳機能を保つのに必要な栄養素です。ビタミンB12は、貝やサケ、マスといった魚介類に多く含まれているので、不足気味の人は意識して食べるといいと思います。

【睡眠】

睡眠そのものには、脳を休ませるのはもちろん、認知症の原因となる神経毒を排出したり、モチベーションの回復に役立つという研究結果も多数報告されています。しかし一方で、神経学者のSudha Seshadri教授らの研究によれば、9時間以上の睡眠は、6時間以上9時間未満の睡眠に比べて、アルツハイマー病を引き起こすリスクを大きく高めてしまうのだそう。

眠りすぎには注意しつつ、最低でも6時間、できれば7~8時間程度を睡眠に充てられれば良さそうですね。

【運動】

運動には、血流を促進して脳を活性化させるばかりでなく、肥満を防止できるなど身体そのものにもメリットをもたらします。

テニスや水泳など激しい運動はしなくとも、脳の健康にはウォーキング程度でも充分です。会社や学校から電車で帰る際にひと駅前で降りるなどの工夫をすれば、日常生活に無理なく運動習慣を取り入れられそうですね。

2. マインドフルネス瞑想を行なう

脳は、ぼーっとしているだけでは休ませることができません。自分では休ませているつもりであっても、無意識の中である程度の活動をしているからです。

その活動を抑制し、脳を休ませるための技術が「マインドフルネス瞑想」。これを行なうと、脳が休まるのはもちろん、ストレスが軽減されてモチベーションや記憶力までもが上昇することが、最近の研究で明らかになっています。

やり方は非常にシンプルで、“目を閉じてゆっくりと呼吸しながら、いま呼吸している自分だけを意識する”、これだけです。これを10分ほど行ないましょう。「頭がまわらない」「やる気が出ない」なんてときにぴったりの、簡単に取り組める方法です。

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3. 複数のことを同時に行なわず、ひとつひとつこなす

仕事に追われて忙しくなったときに、ついやってしまいがちなのがマルチタスク。しかし、スタンフォード大学の研究によれば、マルチタスクを普段から行なっている人は、いま取り組んでいるタスク以外のタスクが頭にちらつきやすく、慢性的に集中力が落ちやすくなってしまうのだそう。

マルチタスクを避ける方法は、仕事に優先順位をつけ、余裕を持ったスケジューリングを行なうことです。具体的には、いま抱えている仕事を、横軸を重要度、縦軸を緊急度としたグラフの上に落とし込んでみましょう。仕事内容が可視化されることで、どの仕事から手をつけるべきかが明らかになり、より負担の少ないスケジュールで仕事を進められるようになりますよ。StudyHackerのこちらの記事「やりたいことが多すぎるあなたのための、4つの時間活用術。」もぜひ参照してください。

4. 新しいことを始める

脳の神経回路は、定期的な刺激がないと結合が弱まり、働きにくくなることが知られています。ルーチンワークなど普段からやり慣れていることばかりをしているだけでは脳に良くないのも、これが理由です。

そこで、脳に新たな刺激を与えて脳を活性化させるために、新しいことを始めることを提案します。趣味を見つけるのでも良いですし、普段はまったく読まない分野の本を読んでみる、行ったことのない場所へ行ってみる、新しい仕事に積極的に取り組んでみる、なども良さそうですね。

「いつも同じようなことばかりしているなあ」と感じている方は、とにかく簡単なことでもかまわないので、新しいことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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今回ご紹介した方法は、どれも少し意識するだけですぐに実行に移せるもの。脳に優しい習慣を取り入れて、勉強や仕事の効率をアップさせましょう。

(参考)
「“生産性10倍” の時間術」, 日経ビジネスアソシエ, 2016年2月号, pp.27-35.
Kirk Warren Brown et al. (2007) “Mindfulness-based psychotherapies: a review of conceptual foundations, empirical evidence and practical considerations,” Australian and New Zealand Journal of Psychiatry, pp. 285-294.
Westwood, Andrew J., et al. (2017) “Prolonged sleep duration as a marker of early neurodegeneration predicting incident dementia.” Neurology 88.12, pp. 1172-1179.
Harvard Health Publishing|The A list for vitamin B-12 sources
TIME|Study: 4 Factors That May Shrink Your Brain
Ophir, Eyal, Clifford Nass, and Anthony D. Wagner. (2009) “Cognitive control in media multitaskers.” Proceedings of the National Academy of Sciences 106.37, pp. 15583-15587.
スキンケア大学|糖質は脳の働きをよくする?悪くする?
STUDY HACKER|やりたいことが多すぎるあなたのための、4つの時間活用術。