毎朝ギリギリまで寝てるから朝食を食べる時間はない。 忙しいから今日のランチは簡単に済ませよう。
そんな人は意外と多いかもしれませんね。特に「朝ごはんを食べること」については農林水産省も推奨していますが、それがどうしてか深く考えたことがありますか?
今回は、食事が脳の働きにどう関わっているかを考えながら、脳を育てる食事をご紹介します。
食事と記憶力の関係
脳の中で記憶を司る海馬は食事によって体積が変わるのだそう。そして体積が大きければ大きいほど記憶力が高まることも研究結果として報告されています。
また、海馬におけるニューロン(神経幹細胞)は1日に700個ほども新生するといいます。(スウェーデン/カロリンスカ研究所/ヨナス・フリセン教授による研究結果)
身体を作るのに栄養や酸素が必要なのと同じで、脳のベストな状態を維持していくのにも栄養、すなわち食事がとても重要なのです。
脳は毎日フル回転している
身体組織のエネルギー源となる3大栄養素は「炭水化物」「タンパク質」「脂質」です。しかし脳のエネルギー源は「ブドウ糖」のみ。しかもその栄養を脳に蓄えておくことができません。
それにもかかわらず、脳は食欲旺盛。脳の質量は体重の約2%ですが、エネルギー消費量は基礎代謝の約20~25%ほどもあると言われています。
つまり、1日のエネルギーの1/5~1/4は脳の活動に使われていることに。私たちの脳が日々どれだけフル回転しているのかがわかります。
脳を育てる食事習慣
それでは日々の食事で何に気をつければいいのでしょうか。
1. カロリー過多に注意 東北大学加齢医学研究所の瀧教授の研究では男性の肥満が海馬の体積に悪影響を与えることが判明しました。女性はさほど影響がないそうですが、男性は特に注意が必要。太りすぎは脳にもよくないのです。
2. 空腹時を作る 空腹は脳への刺激となります。空腹時に胃に分泌されるホルモン(グレリン)がドーパミン系システムの活発な活動を促すそうです。お腹が空いていないのに食べてもホルモンは出て来ず効果なし。仕事や勉強をしながらだらだらと間食し続けることは思っている以上に脳のパフォーマンスを下げてしまうのです。
3. 美味しいものを食べる 美味しいものを食べると満足感を味わえますよね。これは脳幹の中が刺激を受けドーパミンが分泌されるから。このドーパミンは前頭葉の働きを高め、脳の働きを活発にしてくれます。さらに海馬も刺激して記憶力も高めてくれるという素晴らしい効果が期待できます。忙しいからとランチを抜いたり簡単に済ませたりせず、美味しいものを食べて満足感を得るほうがその後の仕事がサクサク捗るかもしれませんよ。
この3つのポイントをまとめると、
「しっかりお腹が空いてから美味しいものを適量食べる」
いたってシンプルなこのセオリーがあなたの脳を育てるのです。
最強の朝食
次に一日のスタートとなる食事、朝食について考えてみましょう。ここではGI値(血糖値の増減の仕方を表す値)がカギとなります。ズバリ、「最強な朝食=低GI食品」。低GI食品は脳にゆっくりと栄養補給がされるので、朝食にとても向いているのです。
低GI食品の代表格は「野菜」「豆」「全粒粉」です。また、「白いものより茶色いもの」が目安と言われているので、白米より玄米、白いパンより全粒粉パンを選びましょう。そして「豆」は、納豆や豆腐などの大豆製品で取り入れることができますね。この3つ以外にも、フルーツやヨーグルトなども良いとされています。
また、「炭水化物」に「たんぱく質」をプラスするのもポイント。例えば、「卵かけご飯」「納豆ご飯」「チーズトースト」などです。
これらを効果的に組み合わせて、自分好みの「最強の朝食」を作ってみてはいかがでしょうか。
〇ご飯+豆腐の味噌汁+りんご 〇ご飯+目玉焼き+ほうれん草のお浸し 〇チーズトースト+ヨーグルト 〇チーズトースト+バナナ 〇おにぎり(ツナ)+みかん
脳のためにも、少しだけ早起きをして朝食をとることを心がけたいですね。
*** 「料理上手な人は頭がいい」と言われますが、これも研究で実証されているそうです。段取りよく複数のメニューを調理していくのはとても知的な作業で、脳を活性化させるので認知症の予防にも有効とされているほどです。この機会に料理にも挑戦してみては?
「料理を楽しんで、美味しく食べる」、今日から食事で脳を磨きましょう。
(参考) WEDGE Infinity|「脳力を効果的にアップする食べ方」があった!40代からの脳力の磨き方(第2回)久保田競 タニタの健康応援ネット からだカルテ|脳力アップのためにできること ~食事編・前半~ 瀧靖之著(2017),『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』,文響社. 生田哲著(2008),『食べ物を変えれば脳が変わる』,PHP新書. 農林水産省|朝ごはんを食べないと?