リーダーの重要な役割のひとつに、部下のモチベーションを高めることがあげられます。組織の中で全員が高い意識のもと、全力で仕事に取り組めるのが理想ではありますが、そううまくはいきません。やる気・モチベーションの低下は、どうしても避けられないのです。

そのようなメンバーを鼓舞し、生産性を高めるのも、リーダーの立派な仕事の一つ。部下に熱い言葉を投げかけ、その場の空気さえも一変させてしまう。マンガや映画に登場するような、そんなかっこいいリーダー、上司には憧れるものです。

しかし、現実はそう甘くはありません。そんなリーダーは暑苦しいと煙たがられ、面倒がられるのがオチです。では一体、どうしたらいいのでしょう。今日はそんな悩めるリーダーの方に送る、チームのモチベーションをあげるためのコツです。

面と向かってではなく「又聞き」で褒めろ

「山口、最近お前調子いいな! 頑張れ!」と社長から直接褒められる。
「山口さん、さっき社長が山口さんの調子がいいって褒めてましたよ」と他人から又聞きする。

どちらが嬉しいでしょうか。直接褒められた方がうれしく感じるのでは、と直感的には思いますが、実は違います。なんと、他人から又聞きした方が、ずっと嬉しく感じるんだとか。「ウィンザー効果」と呼ばれるこの効果ですが、脳科学者である中野信子氏は、著書の中でこう紹介しています。

ウィンザー効果とは、第三者を介した情報、噂話のほうが、直接伝えられるよりも影響が大きくなるという心理効果のこと。(中略)ミステリー小説『伯爵夫人はスパイ』に登場してくるウィンザー伯爵夫人のセリフ「第三者の褒め言葉が、どんなときにも一番効果があるのよ、忘れないでね」が由来とされています。

(引用元:中野信子著(2014),『脳はどこまでコントロールできるか? 』,ベストセラーズ.)

もちろん、直接会う機会があるのなら直接褒めるのでも構いませんが、もしなかなか会う機会のない部下だとしても、モチベーションをあげる方法はいくらでもある、ということですね。

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ストレスは「適度」が一番。

時々、こんなことを言う人がいます。「人間、逆境で一番成長するもんだ。甘ったれたことを言わず、難しい仕事をたっぷり与えて、失敗を繰り返させれば成長するんだ」と。そういう人は、おそらく自分がそうだったのでしょう。不親切な上司の下に置かれ、何くそ、と持ち前の行動力とパフォーマンスを発揮して生き残ったのでしょう。

しかし、全員がそんなに強いわけではありません。過度なストレスでぐにゃりと折れてしまう人だっているでしょうし、タスク量が増えることでパフォーマンスが落ちてしまう人だって、たくさんいるはずです。

これは、心理学における「ヤークス・ドットソンの法則」に通じます。これは、課題の難易度が中間レベルの時に、被験者のパフォーマンスは最高になるという法則。よく子供に勉強を教える時は、難しすぎず、易しすぎない問題を選ぶと良いと言われます。仕事だってそれは同じ。部下に無理難題ばかり押し付けて満足げな笑みを浮かべる、そんな自分勝手な上司にはなりたくないものです。

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相談は自分から受けに行く

褒める時は又聞きで、と言いましたが、困ったことを相談する時や、悪いことの報告を受ける時は、積極的に部下に「受けに行き」ましょう。日経ビジネスオンラインの記事中で、経営コンサルタントである横山信弘氏は部下との対話に消極的な「相談待ち上司」を批判します。

どうして声がかかるのを待っているんだ。なぜ、自分から若手や新人たちに声をかけない。(中略)『指示待ち部下』も良くないが『相談待ち上司』はもっとたちが悪い。上司から『いつでも相談してくれ』と言われても、なかなか相談しにくいものだ。だから上司が日頃から声を掛ける必要がある

(引用元:日経ビジネスオンライン|どうして“相談待ち上司”はダメなのか?

先ほど「無理難題を押し付ける自分勝手な上司」の話をしましたが、これは「相談待ち上司」にも通じる部分があります。自分からの働きかけをおろそかにするのに「部下のモチベーションが、チームの雰囲気が」と言うのはおかしいですよね。よりよい組織を作りたいなら、自分から行動すべきなのです。

参考
中野信子著(2014),『脳はどこまでコントロールできるか? 』,ベストセラーズ.
中野信子著(2014),『努力不要論――脳科学が解く! 「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本』,フォレスト出版.
日経ビジネスオンライン|どうして“相談待ち上司”はダメなのか?
スーザン・ノーレン・ホークセマ,バーバラ・フレデリックソン,ジェフ・ロフタス,クリステル・ルッツ著,内田一成訳(2015),『ヒルガードの心理学 第16版』,金剛出版.