上司と部下。
会社という組織に所属している以上、こういった上下関係は必ず存在しますよね。

そして上司の立場についたときに多くの人が持つ悩みのひとつが、“やってほしい仕事をどのように部下に伝えて動いてもらうか” という問題です。プレゼン資料の作成に必要な数値をまとめてほしい、新しい企画を考えてほしい、など頼みたいことは大なり小なりたくさんあるものの、それらをうまく伝えて部下を動かすのは意外と難しいもの。実際、部下を持ってみて初めて、その本当の難しさを痛感したという人も多くいるのではないでしょうか。

そこで今回は、2017年1月の箱根駅伝で青山学院大学を3連覇に導いた原晋監督の指導方法をヒントに、部下への仕事の上手な任せ方を探ります。

仕事を任せてもらえないときの部下の心理

あなたが新人であった頃のことを思い出してみてください。上司に仕事を全く任せてもらえなかった、という苦い経験をしたことのある人はいないでしょうか。そんなとき、あなたは何を感じましたか?

そこにはネガティブな感情しか生まれなかったはず。上司は自分に興味がないのではないか、自分のことを信用していないのではないか、と疎外感を覚えたり、仕事を任されて生き生きと働いている同期の姿を陰から眺めて悔しさを感じたり……。

仕事を任せてもらえないと、部下は成長する機会を失ってしまいます。そしてその機会を奪っているのは、何を隠そう上司自身なのです。

もちろん、部下のほうに多少の原因がある場合もあるでしょう。報連相を怠ったり、仕事を振られて嫌そうな顔をしたりしてしまう部下だと、上司から見ると仕事を任せづらいものですよね。

しかしそのような部分も含めて部下を成長させるのが上司の役割でもあります。上司に仕事を任せてもらえないと部下は成長できませんし、上司との信頼関係を疑ってしまい、組織全体の雰囲気も悪くなってしまう可能性があるのです。

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“その気”にさせる心理テクニック

2017年の1月2日と3日に行われた第93回箱根駅伝で見事に優勝し、大会3連覇を成し遂げた青山学院大学。この駅伝チームを牽引しているのが原晋監督です。

指導の際、原監督は選手の自主性や自信回復を重視した「アスリートファースト」の考え方を採用しています。具体的には、とにかくほめることで選手をその気にさせつつ、目標達成のために選手自身に練習メニューを考えさせることで自主性を育てているのだそう。さらに、その練習メニューを却下せずに認めることで、改善提案や指導を受け入れる余地を作りあげました。かつての“スパルタ”という運動部のイメージとは正反対ですね。

このように、原監督が従来の選手の育て方に固執せず、純粋に選手たちが成長しやすい環境を用意してあげたからこそ、彼らは箱根駅伝3連覇という偉業を達成することができたのでしょう。

そしてこれはビジネスの世界でも同じです。部下をスパルタに指導したところで反発心はどうしても募ってきてしまうものですし、チームとして成果を出すのも難しくなります。

じつは、今でこそ駅伝の名将として名高い原監督ですが、青山学院大学陸上部の監督に就任する前はサラリーマンとして働いていた時期もあるとのこと。ビジネスパーソンとしてビジネスのリアルな現場を経験してきたからこそ、余計なことを言わずに選手の気持ちを尊重するという、スポーツにおいては一見型破りな指導方法に辿り着いたのでしょうね。

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部下に仕事を任せる際の考え方とポイント

それではここからは、部下に仕事を任せる際の大切な考え方やポイントをいくつか紹介していきましょう。

1. “自分でやったほうが早い” は大きな誤解
部下に仕事を任せると、場合によっては効率的とはいえない可能性もあります。上司が残業をして全てを自分でこなしてしまったほうが早く終わる、なんてこともあるかもしれません。しかし、上司だけが追いこまれて働いている状況が会社全体にとって理想的な状態なのかと問われれば、決してそうではないのです。

今はあなたが部下の上に立って動いていますが、仕事をその部下へと引き継がなければいけない時期は必ずやってきます。そのときになって部下から「何もわかりません」と言われてしまうと、チームは一気に消滅の危機に陥ります。何もかも自分で進めてしまうのが正しいとは決して思いこまず、“部下を育てる”という上司としての使命を忘れないようにしましょう

2. “本人に任せる”と“放置”は違う
“部下に任せる”とはいえ、何もかも自分たちだけで進められては良い結果につながりません。そこで重要なのが、彼らに任せる際にポイントを提示することです。

例えば仕事を任せるときも「○日の○時までに一度報告を入れてくださいね」と中間報告の期限を提示することによって、部下たちも1つの目標ができ、そこに向けて奮闘することができます。また、あらかじめ任せる予定の仕事の中で優先順位をつけておき、部下が進めやすいように環境を整えておいてあげることも上司の務めと言えるでしょう。

3. 否定せずに認めよう
人間には常に、他者から認められたいという欲求があります。これは心理学用語で「社会的承認欲求」と呼ばれ、特に上司といった上の立場の者から認められたいという欲求は社会的承認欲求の中でも大きなものになります。

そのため、少々仕事ができないからといって部下を突き放してしまわないようにしましょう。否定するのではなく「そうだね。でも~」といった形で、肯定したあとに切り返しを行うことで、部下のモチベーションを低減させることなく、その後の仕事の方向性を適切に指南してあげることができるようになります。

***
はじめは多少の手間がかかるかもしれませんが、長期的な視点で考えれば、部下に仕事を任せて成長させてあげることは会社にとっての利益につながるはずです。部下に上手に仕事を任せられる賢いビジネスパーソンになりましょう。

(参考)
Wikipedia|原晋
瓦版|仕事で頼りにされない人の残念な5つの特徴とは?
Bizコンパス|青学・原監督に見る、部下を”乗せる”心理テクニック
リクナビNEXTジャーナル|仕事が速いリーダーの「仕事の任せ方」とは?