理解していないのに「理解した」と勘違い!? 「知識の錯覚」から逃れるには?【中野信子『カリスマの言葉』第2回】

前回は「記憶力」がテーマでしたが、今回は「理解するということ」について。脳科学者・中野信子氏の格言は、がむしゃらな努力とサヨナラさせてくれます。

*** 頑張って勉強しているのに、なかなか結果がついてこない……。そんな悩みを抱えていませんか? 中野信子さんによると、そのときあなたの脳は「知識の錯覚」に陥っている可能性があるといいます。

この錯覚に陥ってしまうと、まだ理解していないことまで「もう理解している」と認識してしまうそう。それはちょっと困りますよね。そこで、今回はこうした錯覚をうまく避けながら、より高い効果が得られる勉強法をご紹介します。

【格言】 教科書を100回読むより、 問題集を解いて 「人に教える」ほうが理解を深める

わたしたちは、自分が現在見ているものすべてに注意を払い、記憶しているわけではありません。脳は日常生活をスムーズに送るため、「大事なことは記憶しない」「不都合なことは忘れる」能力を、年齢とともに育てていくのです。

それと同様に、わたしたちは日々の暮らしのなかで、自分が使う身近な道具の仕組みをすべて理解しているわけではありません。例えば、部屋の蛍光灯。必要なときに明るくするために、スイッチの操作の知識さえあれば十分です。

日常生活上、とても便利な感覚ですが、これが「自分は○○について理解している」という、「知識の錯覚」を生んでしまうことがあります。典型例は、何度も教科書やノートを一生懸命に読み返して勉強したのに「テストで良い点が取れなかった」「試験に落ちた」など。これは、読み返して内容を見慣れた脳が、それを真の理解と取り違えて錯覚をしたのです。

もっとも効果的な勉強法は、実際に問題を解くこと。つまり、教科書を100回読むよりも、問題集を3回解くほうが効率的。さらに、問題集を解くと同時に誰かに内容を教える。相手の質問を受けることで「知識の錯覚」から抜け出せます。

【プロフィール】 中野信子(なかの・のぶこ) 1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週木曜コメンテーター)『英雄たちの選択』(NHK BS プレミアム)『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、近著に『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)などがある。

Photo◎佐藤克秋

*** 本当は理解していないのに、「理解した」と勘違いしてしまう「知識の錯覚」。思い当たる人も多いのではないでしょうか。教科書などを繰り返し勉強している真面目な人に限って陥りやすいので、要注意ですよね。

がむしゃらな努力だけでは、脳科学的にはもちろん体力や時間的にも限界があります。結果がなかなかついてこないという人は、問題を解くという「実践」を繰り返すことで、知識の錯覚の罠からうまく逃れましょう!

■中野信子さん『カリスマの言葉』一覧はこちら nakano-ver1

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