会社や所属する組織で、上司や同僚から嫌がらせを受けているなどの人間関係に悩んでいませんか? とくに、近年は職場でのパワーハラスメントが社会問題になっており、政府が提言を取りまとめて有識者の検討会を設置するなど、防止に向けた動きも活発化しています。

そんな状況であっても、放っておくことでいつか人間関係が改善するならよいのですが、思い当たる節がある人は「座して待つ」のではなく、脳科学と心理学の知識をフル活用して、自分の心と体を守るために積極的に対策してみましょう!

【格言】
アドバイスを求められると、
人は攻撃や嫌がらせを続けられなくなる

攻撃してきたり嫌がらせをしてきたりする人がいたら、あえてその人に直接、アドバイスを求めてみましょう。「アドバイスをする」という行為は、相手があなたに「投資する」ことを意味します。投資をするとき、人間は報酬を期待します。つまり、「アドバイスが役に立つ」ことを期待するのですが、攻撃や嫌がらせを続けていると、アドバイスが役に立ちません。

人間には、つねに正しい立場でいたいという欲求があるため、自分の行動を「良くない」と判断をすると脳が不快感を覚えます。自分で自分の行動を監視する脳の回路があるためです。

しかし、嫌がらせをしている最中は行為を正当化して、回路を働かせていません。それどころか、不快感を覚えなくなったり、むしろ正しいことをしていると思い込んで快感を覚えることすらあります。

ところが、一度アドバイスをしてしまうと「自分が授けた知恵を正解にしたい」という心理が強く働きます。そのため、自然とあなたに対して嫌がらせを続けるモチベーションが下がっていくのです。

【プロフィール】
中野信子(なかの・のぶこ)
1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週木曜コメンテーター)『英雄たちの選択』(NHK BS プレミアム)『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、近著に『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)などがある。

Photo◎佐藤克秋

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攻撃や嫌がらせをしている人は、自分が正しいことをしていると思い込んでいるため感覚が完全に麻痺しています。そんな相手に真っ当な意見をぶつけても、ほとんどは無駄に終わるか、かえって状況が悪化してしまうだけ。

むしろ、そんな正常でない相手の心理をとことん利用して、相手の行動を積極的にコントロールしていくことで、自分の身を守り快適な毎日を取り戻しましょう!

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