ある目標を達成するには、自分なりの「時間の戦略」が必要です。でも、この「時間」というものほど、見積もりを誤りがちですよね。「たくさんある」と思って見積もりを見誤ると、時間がないのにやることだけがどんどん増えていく状況に陥ってしまいます。

同じことは、「やる気」や「モチベーション」にも言いえるかもしれません。やるべきことをやっているはずなのになかなか結果が出ない……と悩んでいる人は、一度目標に向かうアプローチを変えてみる必要がありそうです。

【格言】
やらないことを決めると、
やるべき目標を達成しやすい

目標達成のためには期限を設けて、「やるべきこと」を考えると同時に、「やらないこと」を明確にすることです。

例えば、「TOEICで今年は800点以上を取ろう」と目標を決めたとします。期限を今年中にすると、好きなことをなんでもやるわけにはいきません。むしろ「やらないこと」を探さないといけないのですが、このあたりまえのことを最初に決める人は意外と少ないでしょう。

新しい参考書や問題集を買い続けて“できるような気分”になってしまう人なら、新しい本を買わないことが必要です。勉強するときのモチベーションを上げるために勉強仲間を増やし、成績の良い人から勉強法を教えてもらっても、そのあとに勉強しなければ意味がありません。

期限が決められた目標を達成するには、できるだけ「やること」の数を減らし、余った時間や労力を「やるべきこと」に回す必要があります。「やらないこと」を決めておかないと、目的達成のために「やること」がどんどん膨れ上がり、1日24時間ではとても足りません。やろうと思っていて挫折してしまった……というのは、怠惰だからではなく、やることがどんどん増えた結果、できなくなってしまうからなのです。

【プロフィール】
中野信子(なかの・のぶこ)
1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週木曜コメンテーター)『英雄たちの選択』(NHK BS プレミアム)『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、近著に『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)などがある。

Photo◎佐藤克秋

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目標を確実に達成させるには、焦点を絞った戦略が大切です。そのためには、「あれも読まなきゃ」「これも覚えなきゃ」と焦ってしまう気持ちをぐっと押さえて、勇気を出して「やらないこと」を決めることが効果的です。

時間は有限です。放っておくと膨れ上がるばかりの「やるべきこと」をいったん整理し、自信をもって明確にすることで、限られた資源を最大限に活かしてみましょう!

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