仕事でも趣味でも、もちろん勉強でも、みなさんには良きライバルたちと切磋琢磨しながら成長した経験がありますか? 逆に、「自分ひとりで頑張ってやる!」と思いながら、ついサボってしまった経験もあるかもしれませんね。

でも、ついサボったり休んでしまうのは、脳科学的に見てもとても自然な現象といえます。今回は、自分だけで頑張ることに限界を感じはじめたときに、ぜひ試してほしい方法をご紹介します。

【格言】
休ませ過ぎると戦えなくなる脳に、
「ライバルの存在」で刺激を与える

フランスの研究所時代に一番仲の良かった同僚研究者のFさん。彼女はライバルを見つけるのが得意でした。そして、ライバルを見つけるやいなや、その人の良い部分に目をつけて、自分に取り入れよう、自分もできるようにしようと取り組むのです。

人間は共に強くなる相手がいないと、どうしても慢心してしまい「この辺で十分だろう」とだらけてしまうものです。松下電器(現・パナソニック)の創立者・松下幸之助は「ライバルが強くなければ自分も強くならない」といったそうです。

脳は大量にエネルギーを消費することもあり、ずっと戦い続ける状態に耐えられるようにはつくられていないので、すぐに休もうとする性質をもっています。でも、あまり休み過ぎると今度は戦えない脳になってしまい、うつを引き起こす原因になりかねません。休むことも大切ですが、上手に脳を戦わせてやる工夫も必要なのです。

いまの自分にとって最高のライバルを見つけ、そのライバルと戦える自分に誇りをもつ。誰かにライバル視されることがあったら、光栄だと思う。戦うのはしんどいことですが、ひるまず戦っているうちに、脳が上手に使われてどんどん力がついていくのです。

【プロフィール】
中野信子(なかの・のぶこ)
1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。脳科学者・医学博士・認知科学者として横浜市立大学、東日本国際大学などで教鞭を執る。脳科学や心理学の知見を生かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週木曜コメンテーター)『英雄たちの選択』(NHK BS プレミアム)『有吉ゼミ』(日本テレビ系)、近著に『サイコパス』(文藝春秋)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館)などがある。

Photo◎佐藤克秋

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すぐに休もうとする脳の性質を認識し、逆に脳に上手に刺激を与えていけば、自分が設定した限界を超えて成長していくことができます。ライバルという変数を掛け合わせることで、自分が想定した以上に成長できる可能性が高まるのです。

もちろん競争には大変な面もありますが、自分が取り組んでいることでなんらかの壁にぶつかっている人は、「良きライバル」という視点を取り入れてみてはいかがですか?

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