新連載『カリスマの言葉』。前回に引き続き、今回も教育学者・明治大学文学部教授の齋藤孝氏の格言をお送りします。

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人はよく、目に見えないものを多く見積もりがちです。その典型的なものが「時間」。たっぷりあると思っていた時間がいつの間にかなくなって、締め切り前にあくせくした経験は誰にだってありますよね? 同じことは、「お金」や「やる気」などにもいえるかもしれません。

ただでさえ大雑把にしか把握できていないものに対して、曖昧な姿勢で取り組んでいては、結果はなかなかついてきません。今回は集中力をうまく持続させながら、サクサク仕事をこなしていけるとっておきのコツをご紹介します。

【格言】
集中力がなくてイライラしてしまいがちな人は、
ストップウォッチを手に
アスリート感覚で仕事をしてみましょう

多くのビジネスパーソンが仕事をするときに、終了までの「一応の目安」を設定します。家事を行う主婦の場合も同様でしょう。ただ、それが、あまりにも大雑把ために、結局は自分を苦しめることになりがちです。

たとえば、今日中に提出しなければならない書類を作成するときはこんな感じではありませんか?
「午前中には終わらせよう」
「2時間くらいあればなんとかなるか」

このくらいの意識ではじめてしまい、目論見どおりに終わらないと焦りを感じます。そして、そのイライラによって仕事がはかどらず、さらに焦るという悪循環におちいってしまうのです。

どんなことであれ、仕事をするときにはもっと細かく時間設定をすべきです。その基準は、「前例」から導き出すといいでしょう。同じような仕事を前回は30分でできたなら、今回は25分に設定するのです。いちどやったことのある仕事なら、それが可能なはずです。

できれば、ストップウォッチを使って正確に計測してみるといいかもしれません。こうしてアスリート感覚で仕事をしていると、一つひとつに集中でき、かつ小さな達成感が得られて、心のありようも変わってきます。

【プロフィール】
齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授。1960年、静岡県に生まれる。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士過程を経て、現職に至る。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書には『読書力』『コミュニケーション力』『新しい学力』(岩波新書)、『理想の国語教科書』(文藝春秋)、『質問力』『現代語訳学問のすすめ』(筑摩書房)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『語彙力こそが教養である』『文脈力こそが知性である』(角川新書)などがある。TBSテレビ「情報7daysニュースキャスター」など、テレビ出演も多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を行っている。著書累計出版部数は1000万部を超える。

Photo◎佐藤克秋

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ストップウォッチで時間を計りながら仕事をするという、意外だけど簡単な工夫をするだけで集中力が上がり、気持ちもポジティブになっていくなんて試さない手はありませんよね。

ポイントは、前回よりもほんの少し時間の設定を短くすること。こうした行動を積み重ねて習慣化していけば、あなたの仕事は劇的に変わっていくはずです。

■第1回はこちら↓
いつの間にか、毎日の仕事に慣れてしまったあなたへ。もう一歩突き抜けるための「仕事力」【齋藤孝『カリスマの言葉』第1回】