教育学者・明治大学文学部教授の齋藤孝さんの『カリスマの言葉』。第3回は、環境と心についてです。

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わたしたちの身の周りで起こる出来事は、まるで人間が環境に対して無力であることを示すかのように、あなたの運命を激しく翻弄します。もちろん、ときにあなたを熱く奮いたたせることもあるでしょう。そう、人間は身の周りの環境にとても影響を受けやすい生き物なのです。

でも、どんな状況であっても、ただひとつ変えられないものがあると齋藤孝さんはいいます。身の回りの環境や誘惑などに屈することなく、強く生きたいと願う人に大きな力となる考え方をご紹介します。

【格言】
さまざまな環境が、わたしたちの心を侵食してくる。
しかし、心は自分の好きなようにできる。
そのせめぎ合いに勝利すること

わたしたちの心は、周りの状況に影響を受けてしまうという側面をもっています。うっそうとした森にいればうっそうとした気分に、晴れ晴れとした海岸では晴れ晴れとした気分になるものです。

このように、心というのは置かれた環境につねに浸食されてしまいます。それを理解したうえで、上手に心の独立性を保っていく必要があります。

心のなかというのは、唯一、自分の自由にできる領域です。外の状況は変えられなくても、あるいは、自分の健康状態すらままならなくても、心のなかはあなたの好きなようにしていいのです。「心頭滅却すれば火もまた涼し」という言葉がありますが、心の持ち方次第で状況はまったくちがう意味になってきます。

なにか苦しい事態におちいったとき、「ついていない。最悪だ……」と感じる人もいれば、「この逆境は、むしろ自分を伸ばすチャンスかもしれない」ととらえる人もいます。つまり、その状況のなかにどんな意味を見い出すかは自分次第。
すべて、あなたが決めることなのです。

【プロフィール】
齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授。1960年、静岡県に生まれる。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士過程を経て、現職に至る。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書には『読書力』『コミュニケーション力』『新しい学力』(岩波新書)、『理想の国語教科書』(文藝春秋)、『質問力』『現代語訳学問のすすめ』(筑摩書房)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『語彙力こそが教養である』『文脈力こそが知性である』(角川新書)などがある。TBSテレビ「情報7daysニュースキャスター」など、テレビ出演も多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を行っている。著書累計出版部数は1000万部を超える。

Photo◎佐藤克秋

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どのような環境に身の周りを取り囲まれようとも、心だけはいつだって自由———。そう信じることで、最悪と思えた状況でも主体的に生きる勇気が生まれ、そうした行動の結果、人生がよい方向へと動いていきます。

最初はうまくできないかもしれませんが、小さな心がけを積み重ねることが、やがて大きな結果へと変わっていきます。自分に起こることすべてを、自分だけが自由にできる心で正面から受け止めていく。そんな心がけからはじめてみませんか?

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