仕事でもプライベートでも交渉事がいまいち苦手……。そんな人は多いのではないでしょうか。自分のことだけを優先すると角が立つし、相手の意見を尊重しすぎるのもなんだか納得がいかない。でも、交渉をうまく進めるには、3つのポイントさえ押さえておけばたいていはうまくいくと齋藤孝さんはいいます。

思えば、「今日のランチになにを食べるか」といったささいなことから、ビジネス上の大きな問題まで毎日は交渉の連続です。今回は、交渉がうまくまとまる基本的なコツをご紹介します。

【格言】
人と交渉するのは苦手……。
そんな人でも大丈夫。
「利益」「選択肢」「代替案」の3つを押さえておけば、
たいていうまくまとまります。

ビジネスはもちろんのこと、プライベートのつき合いでも、はたまた家族関係においても、さまざまな「交渉」が行われています。

「この仕事は、どう考えても今週中には終えられない。なんとか、締め切りを1週間延ばしてもらいたい」
「どうしてわたしばかり家事をしなくてはならないのか。休みの日にお風呂掃除くらい夫にやってもらいたい」
こうしたことをできるだけ穏便に伝え、結果的に自分の要望が通ったなら最高です。でも、たいていの場合、険悪になったうえに要望は通らないのです。

交渉で大事なことは3つ。まず「お互いの利益はなにか」について俎上に載せます。自分の利益だけを持ち出さないことが肝要です。
そのうえで、お互いの利益を守るためにどんな選択肢(オプション)があるかを示します。それでも同意に至らなかったときのために、代替案(BATNAといいます)を用意しておきましょう。
代替案があると気も楽になります。

交渉ごとも慣れが大切です。最初は気乗りがしなくても、やっているうちにどんどん上手になります。気楽にチャレンジしてみてください。

【プロフィール】
齋藤孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授。1960年、静岡県に生まれる。東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士過程を経て、現職に至る。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書には『読書力』『コミュニケーション力』『新しい学力』(岩波新書)、『理想の国語教科書』(文藝春秋)、『質問力』『現代語訳学問のすすめ』(筑摩書房)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『語彙力こそが教養である』『文脈力こそが知性である』(角川新書)などがある。TBSテレビ「情報7daysニュースキャスター」など、テレビ出演も多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」の総合指導を行っている。著書累計出版部数は1000万部を超える。

Photo◎佐藤克秋

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交渉がうまくなると、ビジネスはもちろんのこと生活も含めてうまく回りはじめます。妥協ばかりすることなく、でも我を通して人間関係を壊すこともない、そんなスマートな交渉のスキルを身につけたいものですよね。

「自分の要望をいかに通すか」などと肩肘を張らずに、まずは「お互いの利益」を考えるところから気楽に練習していきましょう。

■齋藤孝さん『カリスマの言葉』はこちら
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