クリスマスムードを盛り上げる少年少女文学です。降誕劇、クリスマス休暇、サンタさんといったクリスマス要素を持った作品を集めました。日本でクリスマスといえば恋人達の宴ですが、これらの作品にふれてイノセントな方面での引き出しをもっと増やして見聞を広めていきましょう。

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badge_Columns_100クリスマスに読みたい3冊の本

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『飛ぶ教室』(1933)

著者:ケストナー-エーリヒ

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ときは1930年ごろ、ところはドイツのキルヒベルク、クリスマス劇「飛ぶ教室」の練習にはげむギムナジウム高等科一年生の仲良し五人組は、ふとしたことから近所の実業学校の生徒との抗争に巻き込まれてしまう。一対一の決闘、そしてさらわれた仲間を助けに本拠地殴り込みなどの冒険活劇を経て、果たして彼らはちゃんとクリスマス劇をやり遂げられるのか?彼らを見守る大人たちの采配は?といった感じのお話です。

christmas pageant(クリスマス劇、降誕劇)という、聖書にまつわる劇を子供達が演じるというのがキリスト教文化圏でのクリスマス風物詩だそうです。劇中劇「飛ぶ教室」は、学校教育が現場主義を徹底し飛行機で世界中をみて回るようになったらという設定で、どこが聖書劇なのかという感じもしますが最後に天国に行ってペテロによる現地授業が始まるのでギリギリ聖書劇です。

これが出版された1933年という年も重要で、ちょうど「自由主義的な」出版物がナチス統制下で肩身のの狭い思いをしつつある時期です。『飛ぶ教室』は児童文学として人気があったため出版できたとか。
個人的には校門で売られているお菓子を買ってきて食べるところが好きです。


『ライ麦畑でつかまえて』(1951)

著者:J・D・サリンジャー

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クリスマス休暇のお話です。色々あって学校を辞めて、とりあえず寄宿舎から退去しクリスマス休暇のニューヨークを三日間ふらふらする少年のお話です。主人公はもう自分は大人のつもりで、妹や小さく守るべき存在の庇護者、Catcher in the Rye(ライ麦畑で遊んでる子供が危ない方へ行きそうになったらとっ捕まえて引き戻す役) になりたいと言っていますが、ニューヨーク放浪中の主人公は様々な人から子供扱いされていて、そこがなんとも言えない魅力です。悪ぶってホテルで女を呼んで結局何もしない、街の落書きを子供が目にすることに心を痛める、両親とは対話しないが妹とはこっそり会うなどなど、感性がみずみずしく似たような行動をとってしまいかねない年齢のうちに読んでおくのがおすすめです。

近年 村上春樹による新訳が出版されました。様々な場面で新訳らしい表現があり、例えば
“I’m the most terrific liar you ever saw in your life. It’s awful. If I’m on my way to the store to buy a magazine,even,and somebody asks me where I’m going,I’m liable to say I’m going to the opera. It’s terrible.”
という本文に対し、野崎訳では最後の“It’s terrible.”を「ひでえもんだよ。」、村上訳では「とんでもない話だよね。」となっており、よりシティボーイ感が増しています。さらに“Jesus Christ!”は「なんてこったい!」と訳されるの多かったところ、村上訳では「ジーザス・クライスト!」と訳されて(?)おり比較もとても面白いです。原文も上記の通り高校英語で十分読めます。


『急行「北極号」』(1985)

著者:クリス・ヴァン・オールズヴァーグ

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サンタさんが良い子のためにプレゼントを用意しているお話です。とにかく絵本としての完成度が高いこの作品、映画化もされました。
【映画版のトレーラー】

とても幻想的で心温まります。

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以上、クリスマスに関連した作品でした。良い休暇をお過ごしください。


東京大学文科三類から地域文化研究学科アジア科へ進学。マレーシア農村研究で卒論を書いている。