色が人の心理に影響することは広く知られています。今や企業にとってもイメージ戦略に欠かせないツールとなっているように、色の効果は大きく様々な場面で活用されています。

企画書作成に行き詰まった時やプレゼン前にガチガチに緊張してしまった時、色の効果を取り入れることで、少しでも気持ちをリラックスさせることができたら……。

今回は色の仕組みや心理的な効果、色を取り入れるコツについてお伝えします。

脳が色を作っている

おいしそうな真っ赤なリンゴ、晴れ渡る真っ青な空、清潔感あふれる真っ白なシャツなど、私たちの日常には色が溢れています。でも実は、色がこの世の中には実在しないことをご存知ですか?

人間の脳には光の三原色である青、緑、赤の波長を捉える視細胞があり、その視細胞への刺激の組み合わせで、「脳が色を作っている」という状態ができ上るのです。例えば、黄色は赤と緑の視細胞が同程度の刺激を受けることによって感じる色です。光のない暗闇では色を認識できないのもこれで説明がつきますよね。このことから、脳に刺激を与えているのは色の元である光の波長ということになります。

また、この光(色)のエネルギーが身体機能に与える影響については研究されていて、その刺激が人の感情、精神に影響を与えることは科学的に証明されています。

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色の持つ力

色を取り入れるだけで問題解決の糸口がつかめるなら、うまく利用しない手はありません。そんな色の持つ力がどんな風に活用されているのか見てみましょう。

■ファストフード店のロゴは赤が多い
マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ピザーラなど、ロゴに赤を使用するファストフード店は多いです。赤は購買欲や食欲を刺激する色と言われています。また、赤が与える興奮効果は、時間経過を体感よりも早く感じさせるのだそう。ファストフード店にとって、回転率が高くなることはメリットです。「うっかり長居してしまった」と焦ってしまっても、実は思ったほど時間はたっていないのかもしれませんよ。

■2016年アメリカ大統領選、候補者二人の服装の色
2016年の大イベント、アメリカ大統領選の候補者二人のテレビ討論会を覚えている方も多いと思います。その大事な第一回目、共和党代表ドナルド・トランプ氏と民主党代表ヒラリー・クリントン氏、二人の服装は色の力を活用したといえるでしょう。

本来なら共和党カラーの赤をトランプ氏が、民主党カラーの青をクリントン氏が身にまとうのが定番なのですが、この時はなんと両氏が逆の色合いをまとって登場したのです。

その理由は、健康不安が噂されていたクリントン氏は「顔色を良く見せるために赤の服を」、冷静さを欠いた言動が問題視されていたトランプ氏は「冷静沈着に見せる効果を狙った青のネクタイをそれぞれが選んだとされています。一国の運命を決める場でのイメージ戦略にも、色は大きな役割を担っていたのです。

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色の効果

色の効果を侮ることなかれ。仕事や勉強に活かせる色の効果を利用して、効率よく作業を進めてしまいましょう。

■集中力アップには青
青は様々な効果がある色です。なかでも時間経過を遅く感じさせ、飽きさせることなく、集中力を高めてくれます。鎮静効果もあることから、テスト前や締め切り直前などの焦った気持ちを静めてくれるでしょう

■効率を上げるベージュ
穏やかでニュートラルな色であるベージュ。木や肌など自然の色であることから、温かみがあり安心感を与えてくれます。面積が広い壁などにベージュを取り入れると、リラックスして集中できる部屋になるでしょう

■発想力を高めるには黄色
脳を活性化し頭の回転が良くなるとされている黄色。左脳を刺激し、知性を高めてくれるそう。青とはまた違う効果から、集中力を高める色とされています。黄色は、不安を解消し気持ちを開放させてくれ、理解力、判断力が増す効果もあるという素晴らしい色。新しいアイディアが必要な時は、黄色の文房具などを取り入れてみては

■心を整え人間関係を促す色、オレンジ
陽気で温かみのあるオレンジは、社交性を高める色です。また、恐怖感やプレッシャーを取り除く効果もあります。初対面の人に会うときや、プレゼン前の緊張から心の落ち着きを取り戻すときなどは、ノートやハンカチなど、手元にオレンジの小物を取り入れるといいでしょう。

■潜在能力を引き出す色は紫
紫は赤と青という正反対の色が混じり合ってできる色です。そのため、バランスを整える癒しの色とされています。また、潜在能力を引き出す色とも言われているので、精神統一したい時には身の回りに紫色を取り入れると良さそうです。

■赤は成績を下げる?
名古屋大学の八田武志博士たちの研究では、「パソコンのモニターの枠を赤にしたところ、仕事のパフォーマンスが下がった」ということが報告されています。これは、赤は満足感を与える色なので、その充足感から学習意欲が奪われてしまい認知機能が低下するためと言われています。勉強部屋や仕事場では、赤いパソコンや文房具はできるだけ避けた方が良さそうですね。

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色のイメージや、色が与える感情の変化についての研究の先駆けは、詩人のゲーテと言われています。ゲーテは晩年、その研究に20年をかけたと言われ1810年に「色彩論」を発表しています。ですが、当時はニュートンの物理学的光学研究が主流であったため、ゲーテの心理学的、生理学的側面からの色彩研究は受け入れられませんでした。しかし現在この著書は、心理学の分野で注目されています。

世界はカラフル。色はあなたの可能性を広げてくれる大切なツールになるはずです。

(参考)
freshrax |【こんなにも凄い】色が人の心理と行動に与える影響とは
色彩の心理学|色の認識|各色のイメージ|色に対する感情|色と勉強
視覚色彩心理研究所|視覚色彩心理学理論と応用
カラーセラピーランド|色彩心理学(色の効果と心身への影響)
NATIONAL GEOGRAPHIC|「色』は光にはなく、脳の中にある
光と色と|視覚が生じる仕組み 色が見える仕組み(3)
UNINEX|飲食店は「赤色」を取り入れると売り上げがアップする!?
松山雄三著(1993), シラーとゲーテ『色彩論』, 仙台ゲーテ自然学研究会「プロテウス」創刊号.
池谷裕二著(2012), 『脳には妙なクセがある』, 扶桑社.