コミュニケーション能力は、トレーニングによって高められます。たとえ伝えることが苦手でも、「観察力」を鍛えればコミュニケーション能力がグンと向上するはずです。「自分は内向的だから」と諦める必要はありませんよ。さっそくご説明しましょう!

コミュニケーションに「観察力」が必要な理由

どんなに喋ることが得意でも、相手の状況や気持ちに適した対応ができなければ、良いコミュニケーションはとれません。

人は、なかなか心のままに気持ちを表さないもの。特に、ネガティブな意識は閉じ込めていることが多いため、たとえ筋が通った会話をしていても、相手が「言葉にしていない・言葉にできていない」ことを汲みとらないかぎり、会話がギクシャクしてしまいます。

その点、観察力があれば、相手の本心を察することができます。また、自分の対応によって相手がどう変化したか読み取ることができるので、それによって次の出方を決められます。

したがって、相手を知り、状況に応じた戦略立てもできるコミュニケーション能力を身につけるには、優れた観察者になる必要があるのです。

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コミュニケーションの際に観察すべきこと

では実際に、どのように観察したらよいでしょう。

NPO法人しごとのみらい理事長の竹内義晴氏は、著書『うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル』で、言葉に表現できていないことが表れているのが、表情・声のトーン・ジェスチャーだといい、観察の最初のステップは、相手のことをよく「見る」「聞く」「感じる」ことだと述べています。

また、認定NPO法人セルフメディケーション推進協議会が運営するサイトでは、言語的表現・非言語的表現の両方を観察するよう説明しています。言動の背後には感情があり、意味があるので、両方が一致したところには重要な情報が隠れているからです。

これらを踏まえて、次に具体的な観察ポイントをご説明します。

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コミュニケーションのための観察ポイント

主な観察ポイントは、次のとおりです。

<言語的表現>
以下のような表現には強い気持ちが隠れている場合があります。

・「ネガティブな言葉」が多い、あるいは「ポジティブな言葉」が多いとき
・「こう思う」「こう感じる」と自分の気持ちを述べるとき
・「絶対に」といった言い方をしたとき
・「『これは○○かなあ』と感じた」などセリフ調になるとき
・「ズッシリくる」「ドドーンと」「ヒヤッとした」など独特な言い回しのとき

<非言語的表現>
目の動き: 上を向く、輝く/落ち気味、泳ぐ
顔の表情: 明るい/暗い、曇る、表情が止まる
声の調子やトーン: 明るい、高い/暗い、低い
姿勢やしぐさ: 背筋が伸びる、胸を張る、集中している/後ろに引く、下を向く、うなだれている、だらだら、そわそわ
呼吸: 深く遅い/浅く早い

以上です。言語的表現の中に、相手の強い気持ちが隠れているかどうかを観察し、非言語的表現で相手が言葉にしていない心境を、また、自分の対応によってどう変化したかを観察します。非言語的表現については、「/」を挟んで前がポジティブな心境、後ろがネガティブな心境です。

もしも、相手の隠れた感情がネガティブなものであれば、「○○と思った」という言葉に対し同じように繰り返して「○○と思ったんですね」と確認・同調するように答えたり、じっくり相手の話を傾聴したりするようにしましょう。コミュニケーションスキルについては、Study Hackerでたくさんご紹介していますので、ぜひご参考に。

「観察力」を鍛える方法

では、ここで「観察力」を鍛える方法をご紹介します。

観察力の鍛え方は、とてもシンプルです。それは意識すること。例えば「カッコいい帽子が欲しいなあ」と考えていると、街歩く人や雑誌のモデルさん、テレビに出ている人からお店のディスプレイ、店員さんまで、かぶっている帽子ばかりが目に入るようになりますよね。それと同じく、前項で述べた「観察のポイント」を意識するようにしていると、意識がそこに向きやすくなり、観察力が鍛えられます

とはいえ、最初は声や呼吸、表情や姿勢にしぐさなど、全てを観察するのは大変ですよね。したがって、最初は例えば「表情」と「目の動き」だけなど、ポイントを絞って始めるとよいでしょう。その際の手順は次のように行います。

1.相手の「表情」と「目の動き」を観察し、隠れた気持ちを読み取る。
2.読み取ったことから、相手がして欲しいこと、欲しくないことを憶測し会話する
3.その会話によって生じる「変化」を見つける
→表情が明るくなった、視線を上げた→コミュニケーション成功
→表情がかたい、視線が少し落ちた→自分の関わり方が良くなかったかもしれない

このようにして観察しながら、相手の言葉だけでは表れにくい部分を読み取り、自分の関わり方が良くなかったと判断したら話題を切り替える、相手が話しやすいよう聴く姿勢になる、または相手の表情やしぐさ、声のトーンなどに自分を合わせて心理的な安心感を与え、信頼感を得られるよう工夫してみましょう。

今日は「表情」と「目の動き」を観察したから、明日は「声」と「姿勢」を集中的に観察しようといった具合に、最初は観察ポイントを絞っていても、そのうち細やかな変化に気づくようになります。そして、最終的には、無意識に様々な動作を行う車の運転のごとく、無意識のうちに様々なポイントを観察できるようになるはずです。

***
筆者が好きなセリフの中に「君は優れた観察者だろ。孤独な者の特権だ」という言葉があります。これは、『裏切りのサーカス (2011)』という映画のなかで、マーク・ストロング氏演じる英国諜報部員が、たまたま出会った内向的な少年に伝えた言葉です。

コミュニケーション下手と悩むことなかれ。むしろあなたは優れた観察者かもしれません。コツをつかんでコミュニケーション上手になりましょう!

(参考)
しごとのみらい|コミュニケーションの基本「観察力」の鍛え方
NPO法人セルフメディケーション推進協議会(SMAC)|効果的なコミュニケーション (コミュニケーションスキル講座)
ITmedia エンタープライズ|情報マネージャとSEのための「今週の1冊」(35):“観察力”がコミュニケーションのキモ
竹内義晴著(2015),『うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル』,秀和システム.