グローバル社会を生き抜ける人材になる。21世紀に必要なのは『CQ』という能力だ。

国際化やグローバル化が進み、ダイバーシティ・マネジメントも推進されているなか、円滑なコミュニケーションをとるためにはIQ(知能指数)やEQ(感情指数)だけではなく、「CQ(異文化適応能力)」も必要なのだとか。

これからキャリアを積み上げていくために、どんなスキルを身につければよいのか分からないという方のために、今回は「CQ」を掘り下げ、それを高めるためのコツをご紹介します。

CQとは

CQとは、Cultural Intelligence Quotientの略で、「異文化適応能力」あるいは「異文化対応力」のことです。「文化指数」「文化的知性」とも呼ばれており、多様な文化的コンテクスト(言語、文化、習慣、風俗、宗教、価値観、規範、常識)に適応する能力を指します。

JASEANのサイトによれば、アメリカ合衆国の経営学誌ハーバードビジネスレビューが、「CQ は21 世紀のビジネスの成功に欠かせない中核となる能力だ」と述べてからは、多くの学術誌に取り上げられ、研究が進められているとのこと。

CQの重要性

では、なぜ、CQの重要性が高まっているのでしょう。

問題解決やあらゆるビジネスの状況においてIQはとても重要です。また、良好な人間関係を築くためにはEQも有効です。しかし、国際化やグローバル化が進み、多様な人材を積極的に活用しようという考え、いわゆるダイバーシティが推進されるいま、それだけでは困難になってしまう可能性が高いのです。

なぜならば、たとえIQやEQ、ビジネススキルが高くても、CQ能力が低いと多様な文化的コンテクストに直面した際に戸惑うことが多くなり、仕事が停滞してしまうから。それは、“いつも通りの方法”が、常に通用しない環境に置かれるためです。しかし、CQ能力が高ければ、ダイバーシティの理解や受容、対応力が備わり、それにより高いコミュニケーション力および交渉力を発揮することができます。もちろん、信頼の構築も容易になるでしょう。

なおかつ、多様性への適応力があれば、新しいマーケットへの参入や、ビジネスの拡大もよりスムーズになるはずです。そしてその能力は、新しい価値を生み出すことに役立ち、技術革新にもつながるでしょう。

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CQの4要素

CQには、意識・動機(Drive)、知識(Knowledge)、戦略(Strategy)、行動(Action)といった4つの要素があります。これらを訓練や実践によって高めることで、CQ を強化することが可能なのだとか。詳しくは次のとおりです。

1.意識・動機(Drive)は、異文化経験から喜びや利益を得て関心を持ち、その環境で有効な自信をもつこと。

2.知識(Knowledge)は、経済、法、価値観、宗教などについて、あるいは言語や表現の規制など、異文化間の類似点や相違点に関する知識をもつこと。

3.戦略(Strategy)は、異文化環境における行動プランを、異文化経験や知識を基に戦略的に計画すること。「こうきたら、こう対応しよう」といった行動レパートリーを、数多く持つことがポイント。

4.行動(Action)は、異文化環境でのジェスチャーや表情、あるいは言葉のアクセントやトーンなどに適応する能力。

なお、リクルートワークス研究所の論文によれば、基本的にCQは育成可能な能力なのでパーソナリティは関係ありませんが、知的好奇心が強く、新しいものへの親和性(経験への解放性)が高い人と、CQの能力の高さは相関するようです。それでは次に、CQを高めるためのコツをご紹介していきます。

CQを高めるためのコツ

CQを高めるコツは、大きく言えばただ1つ。「異文化環境に身を置く機会を多くもうけること」です。もちろん、留学やホームステイ、あるいは海外の文献を読んだり、研修に参加したりすることも有効ですが、方法はそれだけではありません。日本に居ながらにして、さまざまな場を利用することでCQを鍛えることができますよ。

1.コワーキングスペースに行ってみよう

コワーキングスペースとは、同じ空間を共有しながら、それぞれが独立した仕事を行う、オープンなオフィススペースです。フリーランスで働く人が事務所や作業場として活用したり、会議、打ち合わせなどで活用されたりする便利な場所です。

ビジネス目的以外にも勉強やカフェとして利用できるため、近所の人が立ち寄ることもあります。場所によっては外国人のお客さんも多いので、あらゆる職種や国籍の人々と交流しながら、仕事や勉強に集中できる多様性に満ちた空間なのです。

2.ゲストハウスに行ってみよう

ゲストハウスとは、一般的なホテルで見られるアメニティサービスなどを省いた素泊まりの宿のこと。最低限の設備で費用を抑えた宿泊施設なので、バックパッカーが利用する宿としても知られています。実は日本各地にあるゲストハウスは、異文化の宝庫。さまざまな国の人が訪れます。

食事のサービスはありませんが、飲食スペースがある場合が多いため、そこで宿泊者同士の交流がよく行われます。また、基本的に相部屋なので、会話は自然に生まれるはず。宿泊費の安さだけではなく、普段は味わえないコミュニケーションができる楽しさから、あえてゲストハウスを目指す日本人も少なくありません。口コミサイトなどで、信頼できるゲストハウスを探してみましょう。ただし、相部屋なので貴重品の管理はしっかりと。

3.外国人が教える料理教室に行ってみよう

「Tadaku」とは、日本で働きながら生活している外国人の方々が料理の先生となり、その先生の家で、母国の料理を一緒に作ることができる料理教室です。

料理に加え他国の文化や風土の話を聞くことができ、海外の文化や料理が好きな仲間にも出会えます。食事は打ち解けるには最適な場なので、リラックスしながら異文化交流ができるはずです。

*** なお、内閣府による次世代グローバルリーダー事業「世界青年の船」は、世界各地から集まった青年同士が船内において共同生活しながら、様々な活動を行うというもの。集中的にCQを鍛えていくことができるので、もしも可能であれば、こういった場に身を投じてみるのもいいですね。ぜひ自分に合った方法で、多様性に適応できる能力CQを高めてください。

(参考) ASEAN進出支援【JASEAN】|CQ(カルチャーインテリジェンス:Cultural Intelligence)=異文化適応能力 TABIPPO.NET|国内で外国人と英会話ができる場所まとめ!海外経験なしで英会話をペラペラにしよう ウーマンエキサイト|異文化交流の宝庫! “ゲストハウス”のメリットと楽しみ方 Tadaku|外国人が教える家庭料理教室 内閣府|次世代グローバルリーダー事業・世界青年の船青年国際交流 - マルコム・ヘンドリックス著,緒方秀夫著,藤井正嗣監修(2015),『グローバル時代のビジネス英語雑談力』,秀和システム. 笠井恵美(2009),『海外派遣勤務と文化的知性(CQ)--帰任前後の心境の分析から (グローバル人材の論点)』,Works Review,リクルートワークス研究所,Vol.4,pp.234-237

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