物が多くて部屋が散らかっているように見える。目的の物がいつまで経っても見つからない……。あれもこれも大切だと思っているうちに、いつの間にか部屋が雑然としていたなんてことは珍しくないと思います。そんな気持ちの人が少なくないからか、近年「断捨離」という言葉も流行していますよね。

「断捨離って、とにかくものを捨てることでしょう?」と思うかもしれませんが、それだけにはとどまりません。

断捨離とは、必要のないものを捨てることで整頓された状態を実現し、それによって物への執着心を失くして生活を上向きにする行為のこと。このように、表面的には、部屋が片付けられるという生活的なメリットが強調されがちですが、断捨離には思考までもが整理されるというメリットがあります。断捨離ができると、最終的にはビジネスパーソンとしての質が高まるという効果が得られるのです!

それでは、そんな断捨離の極意について、みていきましょう。

断捨離の豊富な効能

皆さんは部屋が片付いている状態だと、どのような気持ちになりますか?

部屋は自分の生活空間なわけですから、片付いていて気分が悪い、という人はまずいないかと思います。普段の生活が気持ち良く送れるだけでストレスが軽減されますから、仕事にも集中しやすくなりますよね。

また断捨離で重視するのは「物を捨てる」ということ自体ではありません。断捨離には、部屋が片付くことだけではなく「散らからなくなる」という点にもメリットがあります。

断捨離では、「大切なものが何かを判断する」ということと、「いらないものを増やさない」ということ、この二点を強く意識することになります。これらのことを徹底的に突き詰め、本来ならばいらないものを「後で必要になるかもしれない……」とついためこんでしまう癖をなくしていく。これが断捨離の一番の目標と言えるでしょう。

そしてこのような意識の持ち方は、仕事にも良い影響を与えてくれることにもなります。

「大事なものが何か」というのをしっかりと判断することは、仕事の優先順位を決定する際や、要点を絞り込む際に大いに役立つ思考です。また、「いらないものを増やさない」という方針を持っていると、あれもこれもと詰め込むことで仕事が停滞することがなくなるでしょう。

さらに、それらの精神をきちんと持つことができたなら、自分自身の人生についても「本当に大切なこと」を見失うことなく、自信を持って目標や計画を立てられるようになるのです。

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断捨離の本当の“コツ”

「それじゃあ自分も断捨離をして心機一転!」と意気込んでみても、断捨離に実際に取り組んでみると、なかなか簡単にできることではないことがわかります。物の整理をしていたらアレもコレも全部重要なものに見えてきて、結局ほとんど物を減らせなかった、なんて経験がある人もいるのではないでしょうか。

インターネットなどで断捨離のコツを調べてみると、「こういうものを捨てましょう」とか「こういう順序で整理しましょう」という情報がたくさん出てきます。それらの手順に従っていても、「いや、自分の場合はコレは絶対必要……」とついつい特別扱いしてしまうこと、ありませんか?

そんな踏ん切りのつけられない人のために、どうして人は断捨離に失敗してしまうのか、その根本的な人間心理をしっかりと解説したいと思います。断捨離に失敗する心理的な背景を押さえて、仕事もプライベートも上向きになる「本当の断捨離」を成功させましょう!

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物を捨てられないのはなぜ? 1.保有効果

物を捨てられない気持ちを起こさせるのは、保有効果という心理効果です。

保有効果とは、自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる心理現象のことをいう。

(引用元:コトバンク|保有効果

ある心理学の実験を紹介しましょう。

AとBの二つのグループの人間に対して、同じコップを異なる条件で手渡し、その価格を決めてもらうという実験です。Aグループには、コップを単に渡していくらで売れそうか書いてもらい、Bグループには、コップをプレゼントしていくらで売ってもいいか書いてもらいます。つまりBのグループだけが、「自分の物」に価格をつけるということです。

条件の違いはたったそれだけなのですが、Bグループの被験者は、Aグループに比べ30%も高い値段をつけたという実験結果が出たのです。

人間は、自分の持ち物になると、同じものでも30%も高い価値を見出してしまうということ。これが、自分のものをなかなか捨てることができない背景にある人間心理なのです。

物を捨てられないのはなぜ? 2.プロスペクト理論

もう一つ、断捨離を邪魔してしまう心理を説明するのが、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマン氏らによって示されたプロスペクト理論です。

この理論は非常に複雑なものなのですが、簡単にまとめると「人間は利益を得るよりも、損失を避けたいと思う傾向にある」ということ。

A:10万円を無条件で手にするか、50%の確率で20万円を手に入れるか
B:20万円の借金を確実に半分にするか、50%の確率で0にするか。

いずれもその利得面に関してはほぼ同じ問いかけになりますが
Aの質問では多くの人は前者を選びBの質問では後者を選びます。

つまり「利得」に対しては「確実なもの」を選ぶ傾向にある反面、
既に存在する「損失」に対しては損失そのものを回避できる
その可能性に賭けていきたいと考える傾向にある事がわかります。

(用元:コピーライティング至上主義の会|プロスペクト理論、損失回避の法則とは。

何かを捨てることを考えるとき、人間は常に「手放す」という側面に着目し、そのデメリットに気を取られてしまいます。その損失を目の前にすると、どうしても臆病な判断に偏りがちになるのです。捨てることによってデメリット(損失)があるなら、捨てずに済ませたい、ということです。

合理的に考えれば捨てたほうが良いのに、いざ捨てるとなると合理的な判断ができず、捨てないという決断をしてしまう。これが、断捨離を阻むプロスペクト理論の仕組みなのです。

“心理作用”に打ち克って断捨離に成功するために!

保有効果とプロスペクト理論、二つの理論を見てきました。それでは、これらの人間の性質を乗り越えて断捨離を成功させるには、どうすれば良いでしょうか?

まずは保有効果への対策法です。自分の持ち物に対しては過大評価をしているのですから、それを割り引いて考えましょう。

自分ではない他の誰かが、同じ物を持っているところを想像してください。あなたはわざわざお金を払って、それを買い取ろうと思いますか? もしもそう思わないのであれば、あなたの感じている価値は保有効果の「幻想」であるかもしれません。

「物」と「自分」との二者の間で価値を測るのをやめましょう。大事なのは、客観的な視線に近づいて、本当の価値を測ることなのですから。

次にプロスペクト理論への対策法も見ていきます。

「これ結構気に入ってたのに……」「だけどこれ、まだ使うかも……」と思うとき、手放すことのデメリットを裏返し、メリットについても考えてみましょう。

例えばあなたがある物を捨てなかった時、どれだけのデメリットを背負うことになるでしょうか。物が増えて見栄えが悪い。もっと必要なものが埋もれてしまう。保管するスペースだって、家賃や掃除の手間を考えればタダという訳ではありません。早いうちに捨てなければ、今後もだらだらとその不利益を被って生きていくことになるのです……。大袈裟なようですが、それくらい極端に考えれば、ようやく物への執着心も捨てられるのではないでしょうか。

***
物を大切にするのはとても良いことなのですが、不要なものまで後生大事に抱え込んでしまうのはあまり賢いとは言えません。
思い切って身の回りをすっきりさせて、生活だけでなく仕事にも、新しい風を呼び込んでみてはいかがでしょうか。

(参考)
iemo|断捨離のコツとメリット。すっきり捨ててミニマリストを目指そう
コトバンク|保有効果
こぴたつ|失うことの恐怖を逆手にとる心理効果「保有効果」とは?「コピーライティング×心理学」
Wikipedia|ダニエル・カーネマン
Wikipedia|プロスペクト理論
コピーライティング至上主義の会|プロスペクト理論、損失回避の法則とは。