パソコンやスマートフォンといった端末のおかげで、人は座ったまま幅広く、たくさんのことができるようになりました。そのため、勉強するにしても、仕事をするにしても、最近はほとんどの人が長時間座ったまま机に向かい作業をしています。とくに仕事をしている人にとっては、朝9時に出社して夕方退社するまで、食事とトイレの時間を除きずっと座っているなんてことも珍しくないでしょう。

しかし、長く座ったままでいるということは、長時間ずっと同じ姿勢をとり、下半身を圧迫しているということ。腰が痛くなったり脚がむくんだりして、不快感を感じる人も多いでしょう。それに実は、体の不快感以外にも重大な問題が起きているのです。

そこで今回ご紹介するのは、長時間ずっと座ったままでいると起こる弊害と、その予防策です。

1日8.5時間以上座っていると細胞は早く老化する

カリフォルニア大学サンディエゴ校・医学部の研究者たちが、興味深い論文を発表しました。
1日に座っている時間が長時間にわたる人は、そうでない人に比べて細胞年齢が8歳も老けているそうなのです。「長時間座ったままでいる」というのが一体どれくらいかというと、8.5時間以上とのこと。

実験では、被験者の腰に加速度計を設置して、彼らが1日どれくらい座っているか、もしくは運動しているかを調査しました。研究の過程でわかったことは、1日に8.5時間以上座っている被験者は、白血球細胞の「テロメア」と呼ばれるものが短いということ。そして、座っている時間が長くなればなるほど、それが短くなっていくということです。
反対に、長時間座っていても運動を定期的にしている人は、それほど短くなっていないことが実験で明らかになりました。

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テロメアとは?

「テロメア」とは、染色体の末端に存在する構造のことを言います。DNAとそれに結合するさまざまなタンパク質群からなっています。

私たち人間は、数え切れないほど多くの細胞を絶えず分裂させて生きています。そしてテロメアは、この細胞分裂の際にどんどん短くなってゆく存在です。つまり、テロメアの長さがその細胞の寿命を表していると言えます。そのため、小さな子供とお年寄りの細胞のテロメアを見比べると、お年寄りのテロメアの方が短くなっているのです。細胞分裂を繰り返してテロメアが擦り減っていき、最終的に限界までテロメアが短くなると、細胞が死を迎えることとなります。

前述した実験結果では、8.5時間以上座っている被験者のテロメアが短いと指摘されています。それはつまり、1日8.5時間以上座っている人間は、細胞死という危機により近づいているということ。テロメアは不可逆的な構造をしているため、短くなってしまったものはもとには戻りません。ゆえに、細胞の寿命を延ばしたいならば、長時間座ることを避けるか、定期的に運動を行うしかないのです。

オフィスでの対策1. 立つ

定期的な運動が必要だとはいえ、朝から晩まで仕事をしている社会人にとって、なかなか簡単なことではありません。そんな人におすすめなのは、「ときどき立って仕事をする」ことです。
立って仕事をするには背筋を伸ばし、足にも力をいれなければなりません。そのぶん、筋力を使いカロリーも消費するので、運動としての効果が上がります。そして、なんといっても座り続けるという行動を中断できます。

また、座ったままでは下肢に血流が集中して血行が悪くなりますが、ときどき立ちながら仕事をすることで血流が改善し、脳が活性化することも期待されます。足のむくみなども回避できるのでストレスが軽減し、仕事効率アップにも役立つはずです。この方法は既にいくつかの企業で取り入れられており、効果を上げているようです。

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オフィスでの対策2. 足をあげる

立ちながら仕事ができない環境にいる人には、座ったままできる運動がおすすめです。
それは、椅子に座ったまま足を床から10cmほどあげた状態でキープするというもの。両足もしくは片足ずつでもOKです。ただ足を上げ続けるだけでも腹筋と大腿筋(ももの筋肉)が鍛えられますよ。慣れてきたらオフィスの環境において許される範囲で、座ったまま足踏みをしたり、自転車を漕ぐような動作をしてみるのも良いでしょう。

オフィスでの対策3. 腕を引っ張り合う

下半身の運動だけではありません。椅子に座ったまま上半身の運動をするだけでも効果があります。たとえば、自分の胸の前で何かを抱きかかえるように、左手で右の上腕外側を、右手で左の上腕外側をもち、両腕で引っ張り合うという方法です。こうすることにより、上腕二頭筋(力こぶ部分の筋肉)と三頭筋(上腕の外側)の両方、つまり上腕全体を鍛えることができます。

この方法は、アイソメトリックトレーニングと呼ばれる運動のひとつで、有名なアスリートも実際に行なっています。そのほか、胸の前で手のひらを合わせ押し合ったり、胸の前で両手をかぎ型に組んで引っ張り合うなどのアレンジもできるので、なにかと便利ですよ。

***
長時間座りっぱなしが横行している現代社会ですが、その習慣が寿命を縮めてしまうことに繋がるとわかりました。
しかし、仕事をやめて運動三昧の日々を送るわけにもいきません。そんなときこそ、仕事場でもできるような運動を毎日の習慣に取り入れたいものです。

(参考)
Aladdin H. Shadyab (2017), “Associations of Accelerometer-Measured and Self-Reported Sedentary Time With Leukocyte Telomere Length in Older Women,” American Journal of Epidemiology, pp.172-184.
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