勉強の「経験値」をあげる! 『エピソード記憶』と『学習転移』でレベルアップする方法。

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badge_columns_1001711気合で暗記! は卒業してもっとスマートに覚えよう

勉強というとがむしゃらに長時間やるのが王道・美学とされていることが多いです。 やればやっただけ伸びるのは確かですし、時々予備校などでねじりはちまきをして何か叫びながら最後の追い込みをやっている特集などを観ますが、これでは大昔と何も変わりません。これだけ脳科学が発達した今、もう少し効率的な方法は無いのでしょうか。ここでは脳の性質を生かしてスマートに勉強する方法を紹介します。

badge_columns_1001711意味記憶とエピソード記憶

記憶は一般的に記憶できる時間で分類した「長期記憶と短期記憶」と、覚え方そのものの違いで分類した「意味記憶とエピソード記憶」があります。

<意味記憶とは> 1962年に、心理学者のキリアンが考えだした概念。特定の場所や時間に関係せず、物事の意味を表わす一般的な知識・情報についての記憶。例えば「1+1=2」「8×8=64」「645年大化の改新」など。学校や仕事で学んだことなど、自分の経験には一切基づかない「覚えようとして覚えた知識」全てを指す。一生懸命覚えようとするが忘れやすい。

<エピソード記憶とは> 1972年に心理学者タルヴィングが考えだした概念。幼少から大人にいたるまで、自分の経験を元に組み立てられた記憶。例えば「小学校1年生の時に徒競走で1番をとって、メダルをもらった」「幼稚園の頃に桃太郎の劇をやって、桃太郎をやりたかったのにぼくは犬の役だった」など、意識して記憶した訳ではないのにしっかりと長期記憶になっている記憶。

badge_columns_1001711意味記憶をエピソード記憶に移行させる

「覚えようと頑張って覚えた記憶である意味記憶よりも、何も意識していないのにいつの間にか記憶に残っているエピソード記憶の方がずっと残る」という話をしました。一所懸命単語を書き写したり声に出したりして覚えた努力派にはちょっとショックな話ですね。しかしこのからくりが分かったからには、必死に覚えることをやめて、意味記憶からエピソード記憶に移行するよう努めましょう。 では具体的に、どのように意味記憶をエピソード記憶に塗り替えれば良いのでしょうか。

小学生でも習う歴史に、「1575年年長篠の戦い」があります。これを年号とセットでただ覚えようとするのは典型的な意味記憶。覚えるのも大変ですがすぐに忘れてしまいます。ところがこの時に「長篠の戦いは織田信長が初めて鉄砲を使い、当時無敗の武田の騎馬隊を破った有名な戦い。戦国時代のその後の戦い方を変えた転換期となる戦いだ。鉄砲を使った戦いだから、年号は『人が粉々(ヒトガコナゴナ)』と覚えよう」と、色々なストーリーを組み立てたら、すっと記憶の中に入って行くのではないでしょうか。これこそが意味記憶をエピソード記憶に変換する方法です。 この丸暗記で退屈な内容こそ、このようなエピソード記憶を自分で色々と考えてみましょう。

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badge_columns_1001711学習は転移する!

また、効率的な勉強の方法の一つとして「学習は転移する」ということを覚えておいてください。

ある行動についての学習が、その後の異なる学習に対しても影響を及ぼすこと。例えば、ピアノを学んだことのある人が、学んだことのない人に比べ、その他の楽器も容易に習得できるなどといった現象をいう

出典:コトバンク

周りに参考書マニアのような人がいたとします。その人は参考書をマニアックにたくさん読んだ結果、「まずは基本を徹底的に極め、その後に他の分野に応用する」という術を身につけます。すると、次に他の教科の勉強を始めた時には一回目よりもうんと早く、知識を基本から応用へと転換できます。また新たな教科に取りかかった時、三度目はさらに速度がアップします。このように、知識そのものではなくとも、経験があなたの記憶となり、勉強の精度や速度を高めてくれるのです。

これを外から見ると、複数の科目で高得点が取れる人が超人のように見え、とても追いつけないと思ってしまうかもしれません。しかし、一番労力がかかっているのは最初に「参考書の読みこなし、使いこなし方」を習得している時なのです。それ以降はずっとかかるパワーは少なくなります。 あなたもまずは一分野、彼らに追いつくように特化してみればその方法論を生かして早く追いつくことも可能なのです。

参考: 記憶法&発想法 エピソード記憶と意味記憶 コトバンク エピソード記憶 語呂合わせ日本史 1575年 コトバンク 学習転移

東京大学文科一類所属。東大寺学園卒業。現在は一般社団法人Bizjapanにて海外戦略と国内渉外を担当。とにかく面白いことが好き!教育問題全般に興味あり。

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