仕事でも余暇活動でも、人との関係の中で活動する私たちは、日々さまざまなフィードバックを受けます。そして、その中にはネガティブなものも少なくありません。これらは、うまく活かすことができれば確かに自分のためになるでしょう。しかし、つい落ち込んでしまって結局次につながらない……と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は、ネガティブなフィードバックを受けて落ち込んでしまった心への対処法と、それを最大限に活かすための方法をご紹介いたします。

多くの人がネガティブなフィードバックも求めている!?

上司からのフィードバックを受けるとき、それが好意的なものであれば嬉しい、というのは当然ですよね。しかしその一方で、否定的でネガティブなフィードバックこそ、自分を成長させるために必要だということも納得できます。

実際、被雇用者はポジティブなフィードバックよりもネガティブなものを強く求めているという調査結果もあります。そしてその中でも、何らかの改善を示唆するフィードバックが非常に有効であることは明らかでしょう。

しかし、それらは時に心に突き刺さるものもあります。十二分に活用するためにはその内容を精査して自分のものにする必要がありますが、感情的にとらえてしまってその段階までいかない、というのが多くの人の悩みなのではないでしょうか。

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感傷を抑えるためには、「2分間ほかのことに集中する」

ナンセンスとわかっていても、ネガティブなフィードバックによる感傷は避けられません。問題は、それらにどう対処をするかということです。そこでおすすめしたいのが、「2分間ほかのことに集中する」という方法です。

これは心理学者のGuy Winch氏が提唱する方法で、心理学用語でいうところの反芻(ruminate)、すなわち思考のループを防ぐ効果があります。

ネガティブなフィードバックを受けたときや失敗したとき、人はそのことを感傷的に何度も思い返してしまいます。この思考のループは自分の心を何度も傷つけているだけで、そこから得られるものはありません。身体に例えると、怪我したところをナイフで再度傷つける、あるいはできかけたかさぶたをはがし続けるような行為です。そう考えると、反芻することがいかに誤ったものであるかが認識できると思います。

そこで「2分間ほかのことに集中する」というハックが効果を発揮します。なんでもいいので、ほかのことに2分間集中する。ゲームやおしゃべり、スポーツなど、自分が楽しめるものに打ち込むこと。言わば、気分転換ですね。大それたことをする必要はありません。ループしてしまう思考を断ち切るために気分転換をする。これが、フィードバックを活かすための重要な第一歩となってくるのです。

しかし私たちは、そのような状況に陥ると「それどころじゃない」「ほかのことなんて手につかない」と、思考の泥沼に自ら入っていってしまいがちです。それを防ぐために、フィードバックを受けた後には、内容の良し悪しに関係なく必ず一呼吸を置けるように準備をしておきましょう。そういった習慣作りや意識づけが、感傷を抑えるための最大のソリューションとなるのです。

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「他者視点」で省みる

さて、感傷を乗り越えた先、いよいよそのフィードバックを活用する段階に入ります。つまり、指摘された内容を振り返り、自分を省みる段階です。

このときに意識するべきなのは「他者視点」で行うということ。フィードバックで投げかけられた言葉や相手の態度、そしてそのときの自分の行動や心理状態、そういったものを一歩引いた立場で考えるのです。

決して難しいことではありません。意識して客観視することで、状況を正確にとらえたり、再び感傷的になってしまうことを防いだりでき、フィードバックの活用へとつながるのです。

では続いて、「他者視点」で考えるためのコツをご紹介します。

・ノートをとる
言われたことを書き出すという行為は、情報の整理だけでなく、感傷的になりそうな発言を認知・切り離して考えることにも役立ちます。これについては、過去記事もご参照ください。
(参考:StudyHacker|StudyHackerで大反響の『なんでもノート』を京大生が実際に始めてみた。これはすごい!

・適切な指摘と感情的な批判とを選り分ける
上記のノートテイキングとも重なりますが、フィードバックの中で、適切な指摘はどれであるかを考えてみましょう。適切な指摘と感情的な批判とを混同しないことが肝要です。

例えば、「なんで報告しなかったのか」という言葉であれば、とるべき代替案があったことを明示したうえで、あなたの失敗を非難しています。一方で、「こんなこともわからないのか」「お前は無能だ」といった内容は、相手が不満をぶつけているだけで不当なものです。いわゆる人格否定のパワハラに過ぎません。もちろん、この不満を引き起こした原因を把握することができれば、それはフィードバックを活用できたことになりますが、それは落ち着いた状態で言葉尻にとらわれずに行うべきものでしょう。

相手の発言をいったん把握して、それが感情的な言葉かそうでないか、正しい内容か誤っているか、感情的な言葉の中に示唆する内容があるかないかと整理してから考えてみましょう。

非常に簡単な概念図ですが、言われた言葉を下のように4つに分けてみると、フィードバックの内容がわかりやすくなるのではないでしょうか。この分け方ではうまくいかないことも多いかもしれませんが、フィードバックを活用するための第一歩として、ぜひ参考にしてみてください。

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ご紹介した内容は非常に単純なことばかりです。しかし、いざフィードバックを受けるときになると、私たちは傷つきやすくなり思考の泥沼に入ってしまいがちです。今回ご紹介した内容を日頃から意識し続けること、あるいはそれをメモして、常に目に入るようにしておくこと。そうすればきっと、フィードバックを最大限に活用することができることでしょう。

(参考)
Harvard Business Review|Your Employees Want the Negative Feedback You Hate to Give
FastCompany|This Is How To Use Negative Feedback To Be More Successful
TED Talk|Guy Winch:Why we all need to practice emotional first aid
日経スタイル|ヘルスUP|なぜ心の傷に応急手当てが必要か ガイ・ウィンチ氏 「NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法」著者インタビュー(1)
日経スタイル|ヘルスUP|「苦しいときは話すことが大切」のウソ ウィンチ氏 「NYの人気セラピストが教える 自分で心を手当てする方法」著者インタビュー(2)