筋の通った話ができますか? "受験現代文" で身につける、大人の論理的思考力。

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社会人のみなさん、最後に「現代文(=国語)」に触れたのはいつのことでしょうか。現代文や国語と言えば、中学・高校の科目。受験以降現代文は勉強していない、という方も多いのではないかと思います。社会人であれば、日々の仕事で求められる専門知識や英語などを勉強するのに忙しいので、現代文に触れようとは考えたこともないかもしれません。

しかし、社会人こそ、現代文の勉強が必要なのです。今回は、社会人に現代文が必要な理由をご説明し、現代文が学べる新書二冊をご紹介します。

 

論理的思考力は、国語で身につける

 

ビジネスの現場では、論理的思考力が必要不可欠。特に若手社会人の中には、「もっと論理的に説明しなさい」と言われて、恥ずかしい思いをしたことのある方もいるのではないでしょうか。

例えば、Xエリアで売れ行き好調なAという商品をYエリアでも発売したいと思っており、会議で上司に向けてプレゼンしたいとします。Yエリアでも発売する理由として「ただ売れそうだから」ではもちろんダメ。様々な情報を下調べし、どうしてYエリアでも発売したいのか、Yエリアでも売れるのか、といったことを、論理的に考えたうえで説明し、上司を納得させる必要があるのです。

では、論理的思考力は、いったいどのように身につけたらよいのでしょうか。

元外務省分析官で作家の佐藤優氏は、社会人には即戦力(仕事に役立つ専門知識)も必要だが、それ以前に論理的思考力を身につけるべきだ、と語ります。論理的思考力を鍛えるために学ぶべきなのが、数学と国語だと言います。

日本の義務教育では「論理」という科目名で教わることはないが、数学と国語を通して、その素養を学んでいるのである。一見すると数学と国語はまるで別物だと思われがちだが、それは誤解であり、どちらも論理的な物の考え方を扱うという点で同じものだ。
ビジネスパーソンが仕事で接するほとんどの文書は、論理的な文章と数字(数式)でできている。これらをきちんと理解し、得た情報や知識を活用するためには、論理的思考力を高める必要がある。そのために、数学と国語を学び直すことが近道になるのだが、中学・高校の教科書を読み直すような、ごくベーシックな勉強でも効果的だ。これだけでも、論理的思考力をかなり向上させることができる。

(引用元:東洋経済オンライン|スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け

公式や定理などの暗記事項を多く必要とする数学は、勉強するハードルが高いと感じるかもしれませんが、国語なら、比較的気負わずに取り組むことができるでしょう。とは言え、手元に学生時代の教科書など持っていないという方も多いはず。本コラムでは国語の勉強に焦点を当て、社会人の方が国語を学ぶのに最適な、おすすめの書籍二冊をご紹介します。忙しい方でも手軽に読める新書で、現代文を勉強しましょう。

 

 『考える力をつける論文教室』今野雅方 著

 

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考える力をつける論文教室 (ちくまプリマー新書)|今野雅方著|筑摩書房(2011)(Amazon)

著者の今野雅方氏は、長年論文教育を手がけ駿台予備学校での論文講師も務めてきたベテラン。一冊の中に論文課題が三題掲載されており、課題文を読み解きしっかりと理解しながら、自分でも手を動かして論文を作成し、論文の書き方を身につけていくという内容です。本書を読み進めながらじっくりと論文作成に向き合う体験は、非常に価値あるものです。

今野氏は、本書で次のように語っています。

要するに、論文試験における論文なるものは、世の中のことをどれだけ考えてきたか、自分のことをどれだけ知るようになったかを、限られた字数の文章で示すものなのです。現実のさまざまな問題に対処し、それを捌くための力と態勢をどれだけ養ってきたか、自分をどれだけ見つめられるようになっているか示すものと言い換えてもかまいません。

(引用:本書より)

現代社会を乗り切るための「考える力」を身につけ、それを論理的に説明する力を養うために、ぜひご一読を。

 

 『教養としての大学受験国語』石原千秋 著

 

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教養としての大学受験国語(ちくま新書)|石原千秋著|筑摩書房(2000)(Amazon)

この本では、文章を読み解き自ら考える論理的思考力はもちろんのこと、思考のための座標軸とも言えるものを身につけることができます。

現代社会はさまざまな考え方、思想が渦巻く世の中です。その中で自分がどれを選び取っているのか、批判的に自分の頭で考える必要がある。著者はそう語ります。

大学入試現代文の問題を17題収録し、それらを「近代」「二元論」「自己」「身体」「大衆」「情報」「日本社会」「国民国家」の8テーマに分類しています。それぞれのテーマに沿って問題を読み解くうちに、それぞれの文章に対し批評的に向き合う力が身につきます。

文章に批判的に向き合い、論理的に考える力は、社会に立ち向かうための力にもなります。社会では、自分の頭で考えることが必要です。その力を養いたいなら、この本は非常に刺激的な一冊となるでしょう。

 

参考 東洋経済ONLINE|スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け Amazon|考える力をつける論文教室 (ちくまプリマー新書) 筑摩書房|考える力をつける論文教室 Amazon|教養としての大学受験国語 (ちくま新書) 筑摩書房|教養としての大学受験国語


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。

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