会社や学校、就活など、様々な場で行う機会の多いディスカッション。ディスカッションは、自分では考えもつかなかった面白いアイデアを見聞きできる非常に有意義な場です。しかしそれと同時に、限られた時間でたくさんの人と意見交換をし、結論を出さなければいけない場でもあります。議論しているうちに論点がずれてしまったり、自分の意見をうまくまとめられなかったり、意見が割れたまま合意できなかったりして、ディスカッションに苦労した経験は、誰にでもあるでしょう。

そんな、なかなか難しいディスカッションをうまく進めるにはどうしたらよいのか、そのコツを書きたいと思います。

まずは具体的な論点を共有しよう

古代ギリシアの哲学者、ソクラテスは議論をする上で重要なこととして次のようなことを言ったとされています。

人がどんなことを議論するにしても、そこからよき成果をあげようとするなら、初めにしておかなければならないことが一つある。それは、議論にとりあげている当の事柄の本質が何であるかを、知っておかなければならないということだ。

(引用元:平原卓著(2016), 『読まずに死ねない哲学名著50冊』,フォレスト出版.)

つまり、与えられたテーマや質問は具体的にどういう意味で、どういうことを答えなければいけないのか、ということを参加者全員で共有すべきだということです。具体例で考えてみましょう。

「この商品のキャッチフレーズを考えてください」というテーマがあるとします。「この商品」から受ける印象は、ありきたりで誰でもよく使う物でもない限り、人それぞれですよね。そもそも、その商品のことを全く分かっていない人もいるかもしれません。そういうわけなので、まずは「この商品」の特徴についてまとめ、共有しましょう。また、誰へ向けてのキャッチフレーズなのか、どういう意図を持ったキャッチフレーズなのか、ということも最低限決めて共有しておく必要があります。こうすることで、論点がぼやけずに済み、かなりディスカッションがしやすくなります。

ただし、論点を共有することに時間を使い過ぎないように気を付けましょう。ディスカッションで最も重要なことは、最終的にまとまった意見が出せるかということなのですから。

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意見を出すときの注意点

論点が共有出来たら、活発に意見を出していきましょう。ここで重要なことは、せっかく共有した論点からぶれた意見を出さないようにするということです。

もし論点がずれたアイデアを出してきた人がいたら、うまいこと修正してあげるか、「確かに重要な意見だけど、今回の論点から外れているので、その点については別の機会に話し合いましょう」などと言いましょう。強烈な否定だけは絶対にやめておきます。なぜなら、協調性が大切な議論の場で、空気を悪くすることはやってはいけないことだからです。同様に、話が脱線した時にも、「話を元に戻しましょう」などと言い、軌道修正を図りましょう。

他に重要なことは、他人の意見に賛成、反対するときには、その人の意見を正しく受け取ったうえで賛成反対を述べるべきだということです。具体例を挙げて考えてみます。

A:私は子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う。
B:そうは思わない。なぜなら子どもが屋外で遊ぶのは良いことだからだ。A氏は子どもを一日中家に閉じ込めておけというが、果たしてそれは正しい子育てなのだろうか。

(引用元:Wikipedia|ストローマン

この議論におけるBは、Aの意見を勝手に拡大解釈(道路→屋外)し、Aの意見に反対しています。このようなBの反論には全く意味がありません。しかし困ったことに、このような議論は一見正しく思えてしまうこともしばしばあります。だから気を付ける必要があるのです。議論が変な方向へ行かないようにするためにも、賛成反対を言うとき言われるときには、細心の注意を払いましょう。

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意見の出し方のコツ

自分で何か意見を出す時には、なるべく簡単でわかりやすい言葉を使いましょう。「難しい言葉の方がスマートだ」と考える人がいるかもしれません。確かに、難しい熟語やカタカナ語をうまく使いこなせたらかっこいいですよね。しかし、かっこいいだけなのです。他者には伝わりません。

なぜかというと、まず、単純に難しい言葉なのでそもそも知っている人が少ないから。知らない言葉は、当然理解することはできませんよね。また、難しい言い回しは、皆が共通理解出来ない可能性があります。例えば、「失笑」という言葉を例にとると、ある人は「笑いがこらえられず噴き出すこと」として使っていますし、またある人は「呆れること」という意味で使っています。使う場面次第では思わぬ誤解を生むことも……。(ちなみに、失笑の正しい意味は前者です)

議論の過程で、出来る限り変な誤解を生まないようにするためにも、慣れ親しんだ簡単な言葉を使うことが重要なのです。簡単な言葉で説明するのは意外と難しいので、普段からそういうことを心がけてみると良いかもしれません。

他には、発言の最後に自分の意見を要約して伝えるというのも、大事なコツです。これは、自分の意見を他の人々に覚えてもらうため、そして思わぬ誤解を生まないために必要なこと。要約は、根拠や具体例などを省き、本当に自分が伝えたかったことだけを残して、自分の発言の締めくくりに言いましょう。

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最近では、就活の場や新入社員の中に難しい言葉を連発する人たちが増えていると聞きます。しかし、議論を含め、コミュニケーションで一番大切なことは、いかに自分の意見を相手に伝えるか、ということですよね。語彙自慢大会ではないはずです。相手に自分の意見を共有したいと願うのであれば、出来る限り簡単な言葉を使うように心がけると良いと思います。

(参考)
Wikipedia|ストローマン
秋田大学工学資源学部土木環境工学科環境構造工学講座|良いプレゼンと悪いプレゼン(準備中)
平原卓著(2016), 『読まずに死ねない哲学名著50冊』,フォレスト出版.