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人前で話すのは得意ですか。それとも、苦手ですか。「俺は得意だ! 」と胸を張れる人は、あまり見かけたことがありません。それも当然ですよね。人前に立てば緊張しますし、何も知らない人に物事を説明するのは、難しいものです。

小学生のころ、校長先生の挨拶は死ぬほど長く感じました。
大学の講義は眠くて仕方ないこともありますし、アルバイト先の上司の説教は早く終われと思ってしまいます。

もし自分が、そんな風に思われているとしたら? 面倒くさがられて、聞き流されているとしたら? これほど悲しいことはありませんね。今日は、そんな悲しい状態から抜け出すための方法をご紹介しましょう。

スピーカーが手を抜くか、聴衆が手を抜くか

まず意識すべきは「誰かが頑張らなければいけない」ということです。スピーチ、プレゼンは、なかなか難しい話題を扱いますよね。会社の経営方針であったり、研究の内容であったり、新商品であったり。その場にいる全員が内容を完璧に把握している……なんてことは、まずありえないわけです。

つまり、プレゼンの方式には2パターンあると考えられます。

1, スピーカーが難しい内容をそのまま紹介し、それを聴衆が頑張って理解する「聴衆が努力する」タイプ。

2, スピーカーが難しい内容を頑張って簡単に嚙み砕き、それを聴衆がそのまま理解する「スピーカーが努力するタイプ」。

エネルギー保存則とでもいいましょうか、こちらを立てればあちらが立たぬといいましょうか。難しいことを伝えるわけですから、誰かしらが頑張って理解しなきゃいけないんですね。問題は、それがスピーカーなのか、聴衆なのかということ。スピーカーが楽して難しい内容をそのまま伝えれば、苦労するのは聴衆です。一生懸命聞いて、考えて、理解しようとしなければいけません。

実際には、そんな聴衆はいません。だから、プレゼン・スピーチは「2, スピーカーが努力する」でなければならないのです。それでは、具体的にどんな努力をすればいいのか、ご紹介していきましょう。

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1, 「内容を嚙み砕く」努力をする

まずスピーカーがすべきなのは、内容を嚙み砕く努力です。ビジネスの場でも、研究発表の場でも、難しい内容は山ほどあります。問題は、それをどう簡単に嚙み砕くか、です。

まず、専門用語を使わないようにしましょう。なるべく一般用語に言い換えるか、どうしても適切な言い換えがない場合には、簡単な説明を入れるようにしましょう。また、数式・グラフ・表は、そのまま見せるだけではなんの意味もありません。専門家相手ならともかく、スライドに映しただけで見せた気になるのは大問題です。

数式・グラフ・表を見せる時は「どんな目的でこれを作ったのか」「結局それは何を意味するのか」の二点を明確に日本語で説明しましょう。これらの努力を怠れば、聴衆には何も伝わりません。

2, 「スライド・資料を簡単にする」努力をする

二つ目にすべきなのは、資料をわかりやすくする努力です。スライド、配布資料の両方に言えることですが、読む内容そのままでは意味がありません。みんな忙しい中わざわざ時間をあけて来ているのです。そんなプレゼンなら、配布資料をメールで送って各自で読ませた方がマシです。

また、スライドと配布資料も別々に作る必要があります。

スライドは「見せながら話をする」ための資料、配布資料は詳細な情報などを「読んでもらう」ための資料です。つまり、役割が全く違うので別々に作らなければなりません。

(引用元:西原猛著(2015),『ぐるっと! プレゼン』,すばる舎.)

スライドは、見せながら話す。つまり、文章を書いてはいけません。文章を読み始めた聴衆は、あなたの話なんて聞いてくれませんから。内容を絞り込んで、ギュッと凝縮されたものを作らねばなりません。一方、配布資料はスピーチを聞いていない人も後で読む可能性があります。ですから、スピーチを聞かずに理解できる内容にする必要があります。結論とその論拠を大きくわかりやすく書き、図やグラフも一緒に載せておきましょう。二つの資料を作るのは大変かもしれませんが、これも必要な「努力」のうちです。

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3, 「話して伝える」努力をする

みなさんがすべき努力の三つ目は「話す」努力です。わざわざ取り上げる必要すらないかもしれませんね。スピーチは、練習なしに成功しません。何度も練習してください。必ず、時間を測りながら練習しましょう。毎回誰かに見てもらう必要はありませんが、必ず一度は一般の人に見てもらうとよいでしょう。本当に聴衆に伝わるか確かめるためにも、予備知識の全くない、家族や友人がおすすめです。

原稿は作らなくていい、という意見の方もいますが、筆者は作ることをおすすめします。緊張すると、何が起こるかわからないものです。あれだけ練習したのに、頭が真っ白になる、なんてことも珍しくはありません。「本番には魔物がいる」のです。リスク回避のためにも、どんな順番で話すかというフローチャートくらいは作っておきましょう。

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私が冒頭で「努力しろ」と言ったのは、単純にクオリティをあげるためだけではありません。スピーカーの努力は、必ず聴衆に伝わります。あなたが頑張れば、聴衆はそれを理解してくれるはずです。

その真摯な姿勢が、聴衆に「聞こう」という姿勢を作らせるのです。綺麗事ではありません。どんなに立派なことを言っていても、手抜きだらけのスピーチを聞こうという気にはなりませんよね。

あなたが変われば聴衆も変わる。ぜひお試しあれ。

(参考)
西原猛著(2015),『ぐるっと! プレゼン』,すばる舎.


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。