プレゼンを聞いている時、気付いたら話が進んでいて何も理解できないまま終わってしまった……。会話の内容を理解できていないのに相づちを打ってしまい、結局最初からもう一度話してもらうことになってしまった……。

相手の話を集中して聞けなかったばかりに、このような失敗をした経験はありませんか? 人の話をきちんと聞くことができないと、「言った」「言ってない」論争が起こったり、会議で的外れな意見を言ったりしてしまいます。これらは仕事の効率を落とすだけでなく、繰り返していては相手との信頼関係も崩れかねません。

いつでも集中して話を聞くことができれば、コミュニケーションにおける多くの問題を解決でき、仕事もスムーズにこなせるようになります。しかし、「人の話を聞き逃さずにすべて理解する」というのは、簡単なことではありません。そこで今回は、集中して人の話を聞くための方法を紹介します。

相手の話に集中できないのは、自分の考え事をしてしまうから

そもそも、人の話を集中して聞けないのは、話を聞いている途中で自分へと意識が向いてしまうことが原因です。官公庁や大手企業、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行なっている、日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子さんは、次のように述べています。

私たちは人の話を聞きながら、それをきっかけに、自分の記憶やそのときの気持ち、相手との対応に心が向いてしまう瞬間があります。そんなときは相手ではなく、自分に意識が集中してしまい、その結果、きちんと話を聞いている「つもり」でも聞こえていない状態が生まれているのですね。

(引用元:東洋経済ONLINE|あなたが人の話を「半分」も聞けていない理由

例えば、友人の愚痴を聞いている時。「今日も上司に怒られちゃって……」と言われると、自分が上司に怒られた時の経験を思い出す人は多いでしょう。また、友人にどんな言葉をかけようかと考えますよね。この時、意識は一瞬友達との会話から自分へと向かいます。この一瞬が、聞く姿勢を妨げ、話を理解できなくしてしまうのです。

会議やプレゼンを集中して聞けないのは、「自分だったらこう伝えるな」「スライドが見づらいな」など、話の途中で自分の考えにふけってしまうからなのです。特に内容が難しい場合、たった一言二言を聞き逃しただけであっても、その部分の情報を文脈から補いきれずに話を理解できなくなりがちです。したがって、いつでも集中して人の話を聞けるようになるには、この「意識が自分へ向く一瞬」を無くす必要があります。

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人の話に集中するには「シャドーイング」が効果的

その方法が「シャドーイング」です。シャドーイングは、もともとは同時通訳者の方々が行うトレーニングの1種。やり方はシンプルで、聞こえた内容を数秒遅れで聞こえた通りに復唱していくだけです。

同時通訳者の方は、単に言語を翻訳するのにとどまらず、話し手の言葉の奥にある感情を感じ取り、最もふさわしい言葉を選ばなければなりません。そのために効果的なのが、話し手になりきる「シャドーイング」なのです。話す内容だけでなく、音の強弱や息継ぎのタイミング、話すスピードまで細かく再現しようとすれば、自分に意識を向ける余裕などありません。

例えばニュース番組やTEDを見ている時には、なるべく話し手と同じ話し方になるように、シャドーイングを行ってみましょう。何度も繰り返していく中で、相手の話だけに意識を100%向けることに慣れ、いつでも抜群の集中力を発揮できるようになりますよ。

シャドーイングのネックは、普段の会話では使えないこと。話し手の言葉をそのまま復唱していては、プレゼンや会議といった場では進行を阻害してしまうことにもなりかねません。続いて、人前でも実践可能な「聞くための集中力を鍛えるトレーニング」をご紹介します。

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聞く意識の改善をするには「メモ」を取ること

普段からすぐにできることとして、話を聞く時にメモを取るのがおすすめです。

数々のキャンペーンを成功に導いたブランド戦略のプロであるブランディング・ディレクターの宇佐美清さんは聞くことに集中するためにメモを取るようにしているのだそう。

 僕のやり方はなにかを聞くときには、必ずメモを取ることです。え、そんなの当たり前でしょうと思った方もいるでしょうね。でも、僕が言っているのは、仕事の時も、遊んでいる時も、眠っている時も、つまり24時間メモを取ることです。

(引用元:DIAMOND online|「聞く」チカラを養うには「集中力」が大事

24時間メモを取るといっても、単に聞いたすべての会話のログを取るということではありません。仕事中はもちろん、食事中や寝ている間でさえも肌身離さず手帳とペンを持ち歩くことで、「情報を聞きもらさない」という意識を持てるようになるのです。聞いた話の要点だけでなく、思いついたアイディアや、ずっと放っておいてしまったタスク、見かけた情報など、あらゆるものをメモするようにしましょう。

手帳とペンを持ち歩くのが面倒という方はスマートフォンなどを利用してもかまいませんが、手書きをする際、指先を繊細に動かすために脳の神経細胞が活発に働きます。また、発話や文法理解・構築などを司るブローカ野という部位への血流も活性化するため、脳のためには手帳とペンを持ち歩いたほうが効果的ですよ。

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人の話を集中して聞くためには、自分のことを考えずにただ相手の言葉に集中する必要があります。まずは手帳を開いて、意識のスイッチを切り替えるようにしてみてください。状況を見てシャドーイングも取り入れると、より「聞くための集中力」を養うことができますよ。

(参考)
東洋経済ONLINE|あなたが人の話を「半分」も聞けていない理由
DIAMOND online|「聞く」チカラを養うには「集中力」が大事
Huffington Post|「聞く」集中力を高めるシャドーイング
Inc.|7 Most Common Habits of the Best Listeners
Wikipedia|シャドーイング
Study Hacker|簡単にクリエイティブ力と記憶力をアップさせる方法