その幸せは"内的"? それとも"外的"? いつも幸せでいる人のシンプルな考え方

毎日の仕事の忙しさに追われるうちに、ふと気が付くとイライラしている。そんな状態に陥ってしまう人は多いでしょう。

このように心が疲れている状態になると、全力で仕事に取り組むことができず、良いパフォーマンスをあげるのは難しいと思います。それに加えて、ストレスがたまって食生活が乱れたり、お酒を飲む量が増えたりして、公私ともに自暴自棄になってしまう人もいるのではないでしょうか。

確かに、良い仕事をするためには、自分にプレッシャーをかけて適度に追い込むことも時には重要だと思います。しかし、自分を追い込み続けていては、精神的な疲労を招くことは言うまでもありません。誰にとっても、ある程度頑張ることは当然必要なことだとはいえ、頑張り過ぎは良くないのです。

今回の記事では、忙しい毎日でも実践できる、「心の健康」を保つためのシンプルな方法について考えていくことにしましょう。

人間の幸せの4パターン

自己啓発セミナーを数多く手掛けるカリスマコーチ、マーシー・シャイモフ氏が、ポジティブな人生を送るための方法を説いているベストセラー『Happy for No Reason: 7 Steps to Being Happy from the Inside Out』。これによると、人間の幸福の度合いは、「1:外的要因によって不幸な状態、2:悪い外的要因によって幸せな状態、3:良い外的要因によって幸せな状態、4:内的理由によって幸せな状態」の4つに分類することができます。

2と3が少しわかりにくいかもしれませんので、例を挙げてみます。2悪い外的要因によって幸せな状態とは、例えば、ドラッグやアルコールの摂取による幸福感。3良い外的要因によって幸せな状態の例は、競争ごとに勝つことや昇進することなどによる幸せです。

この4つのなかでシャイモフ氏が特に大切だと言っているのは、4内的理由によって幸せな状態です。なぜなら、2に分類される幸せは言わずもがなもってのほかですし、3に分類される幸せは非常に不安定なものだから。

確かに、仕事で昇進したり何か勝負ごとに勝ったりした時の幸福は、大きいものでしょう。しかし、その幸せは、別の外的要因により崩れる可能性があるものだと言えます。例えば、仕事で昇進したとしても会社の経営が悪化してリストラに遭えば、その幸福は消えてしまいますよね。また、何かの勝負に勝っても、次もまた勝たなければという思いから大きなプレッシャーを感じてしまえば、当初抱いていた幸福は次第に薄れていってしまうかもしれません。

このように、外的要因によってもたらされる幸せは、意外と不安定なものなのです。

そこで、外的要因とは別に内的要因による幸せをも感じることができれば、日々の生活をより心豊かに送ることができるというわけです。

最近心が疲れているなと感じたり、仕事上では成功しているように見えてもいつも何かに追われている感覚があったりして、どこかイライラしている……。もしあなたがそのように思っているとしたら、それは「外的な幸せ」と「内的な幸せ」のバランスが乱れているのかもしれません。「心から幸福だ」と感じる努力をしてみれば、心の疲れを一気に軽減させることは可能になります。

「内的要因による幸せ」を感じるには?

内的要因によって感じる幸せとは、言い換えれば、自分でコントロールして生み出す幸せのことです。これを感じる方法についてシャイモフ氏は、「心をアクティブに保ち、インスピレーションに従う」ことをアドバイスしています。それはつまり、自分のインスピレーションに素直に生き、自分の行動に責任と情熱を持つということ。ちょっと漠然としていますので、身近な例で見てみましょう。

例えば、昼の休憩にどんな食事をとるか、について考えるとします。この時、幸せを求めるのと正反対の姿勢が、なんとなくコンビニでいつも通りおにぎりを買うといった姿勢です。しかし自分で幸せを求めるのなら、なんとなくコンビニのおにぎりを買う代わりに、カロリーやその日の気分、値段などを真剣に吟味して、「本日のマイベストランチ」をできる限り追求してみてください。自分が何がほしいかを考えた結果、気になっているカフェのランチを食べに行こうと思うかもしれません。

このように、日常のささいな場面であっても、真剣に「自分がしたいこと」を追求するのが、内的な要因による幸せを自ら作り出そうとする姿勢です。

「なんだか心が疲れたな」と思ったら、どんなに小さいことでも構わないので、「自分がしたいことって何だろう」と思いを巡らせて、追求してみてください。そうすることで、ストレスを抱えた毎日の中であっても情熱を取り戻すことができるはずです。

 

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幸せを自ら作り出せば、生産性は高まる

このようにして内的な要因による幸せを追求することは、「自分でコントロールして」幸せを生み出すという点で、大きな意味があります。

さきほど、「良い外的要因による幸せは、別の外的要因によって容易に崩され得る」と述べました。それは、外的な要因は自分でコントロールすることができないからだ、とも言えます。自分でコントロールできない幸せに頼っていたのでは、心が安定するわけがありませんよね。

上の昼食選びの例は、ごく身近な日常の例として挙げたものですが、仕事においても同じようなことが言えるのではないかと思います。仕事は相手があることですから、すべてを自分の思い通りにとはいかないと思いますが、できる範囲で、自分が幸せに思える仕事のやり方を工夫してみてはいかがでしょうか

例えば、「いつもはAのやり方でおこなう仕事を、今日は少し変えてBのやり方でやってみよう」といったようなことです。もしかしたら、仕事の効率が少し良くなり、満足感が高まるかもしれません。つまり、自らコントロールして幸せを作りだすことが、結果的に仕事の質の向上にもつながっていくということです。

これに関連して、以下のような研究結果があります。

ある研究で、仕事におけるコントロール感覚が生産性や幸福感、健康などに及ぼす影響を調べたところ、コントロール感覚が高いほど、あらゆる面での満足感が大きいことが明らかになりました。興味深いのは、それらの影響は、その人が実際にどれくらいコントロールできているかではなく、どれくらいコントロールできていると思っているかに関係するという点です。

(引用元:STUDY HACKER|幸福感が生産性をあげる! 松井、イチローも実践した「コントロールできないことは無視」という考え方。

自分が幸せに感じられそうな仕事のやり方を自分なりに模索すること、つまり内的な要因による幸せを追い求めることで、ビジネスライフに対する満足感も、仕事の質も、ともに高めることができるのです。

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「情熱をもって行動すれば毎日を心豊かに送れる」などと言われると、「それができたら苦労はしていない!」と感じるかもしれませんね。しかし実際は、あまり大それたことではないのだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

シャイモフ氏の書籍(原書)には、上述のように簡単にできるハッピーになるためのちょっとした心がけが、平易な英語で記されています。英語オリジナルのまま読むのもよし、茂木健一郎氏による和訳バージョン『「脳にいいこと」だけをやりなさい! : 心と体がみるみる元気になる生活術!』を読むのもよし。ぜひ、日々の仕事のストレスから心を解放し、幸福感を高めてみてはいかがでしょうか?

(参考) Marci Shimoff (2009), "Happy for No Reason: 7 Steps to Being Happy from the Inside Out", Atria Books. 茂木健一郎著(2013),『幸福になる「脳の使い方」』,PHP研究所. マーシー・シャイモフ著,茂木健一郎訳(2012),『「脳にいいこと」だけをやりなさい! : 心と体がみるみる元気になる生活術!』,三笠書房. STUDY HACKER|幸福感が生産性をあげる! 松井、イチローも実践した「コントロールできないことは無視」という考え方。

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