「プレゼンが怖い」は克服できる。人前で話す “恐怖心” を和らげる6つのテクニック

みなさんは人前で話すのは得意ですか? 苦手だという貴方がビジネスパーソンであれば、会議での報告やプレゼンテーションといった、「人前で話す機会」を恐れてやまない日々をお過ごしでしょう。実をいうと、筆者も同じです。

そこで今回は、「優れたパブリックスピーカーなんてならなくてもいい。とにかく、人前で話す“恐怖心”を少しでも和らげたい……」という切実な思いを抱えている方のために、ちょっとしたコツをお伝えします。

なぜ、こんなに大勢の人の前は怖いのか

極度の緊張はパニック状態を生む

筆者がこれまでの人生でもっとも緊張したプレゼンテーションは、大きな会場であるリテーラーの社員・関係業者からなる数百人を前にして壇上に立ち、プレゼンテーションを行ったとき。

自分の番になる30分前から血圧や心拍数が上昇して、呼吸が浅くなり汗がにじみ、もはや自身をコントロールすることが不可能なパニック状態に陥ってしまいました。手の震えで演説台に置かれたコップの水も飲めなくなり、口がカラカラになって咳き込む始末。

なぜ、大勢の人の前に立つと、ここまで緊張してしまうのでしょう。こんなに恐怖を感じてしまうのは、なぜでしょうか。人前に出ることに慣れている人でさえ、緊張しないことは“ない”といいます。

プレゼンテーションが怖いのは本能のせい?

『パブリックスピーカーの告白』の著者で、多くの講演経験を持つScott Berkun氏によれば、プレゼンテーションが怖いのは本能のせいなのだとか。

プレゼンテーションの場では、発表者が「隠れる場所もない広いスペースに、ただ1人、武器も持たず、生き物の大群にじっと見つめられて立っている」状態に置かれます。これがもし、私たちの祖先が過ごした時代であれば、獲物を狙う生き物に丸腰の状態で囲まれた絶体絶命の状態。

つまり、祖先のDNAを受け継いだ私たちにも、「もうすぐ攻撃される」「食べられる」という恐怖心が植えつけられているわけです。そこで、ぜひ苦手なプレゼンテーションの前には、こう唱えてほしいのです。

この大勢の人々は、私を生きたまま食べようとはしないから、絶対に大丈夫

これを唱えると、少しだけバカバカしくて笑いたくなるかもしれません。もしも笑えたら、副交感神経(安息の自律神経)が優位となり、交感神経(活動の自律神経)が少し静かになって血圧や心拍数なども落ちつくでしょう。また、祖先から受け継いだ本能がこうさせると、自分が置かれている状況を論理的かつ客観的に考えようとするだけで前頭葉が働き始め、恐怖という感情をなだめてくれるはずです。

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聴衆に「弱み」を見せてみよう

数多くプレゼンテーションを経験している、シフト・シンキングの創設者兼最高洞察責任者のマーク・ボンチェク氏や、舞台・テレビ・映画で活躍する女優・シンガーのマンディ・ゴンザレス氏といった2人でさえも、「人前で話すことの恐怖」を知っているそう。

その彼らは、人前で話す不安を和らげる方法として「弱みを見せる」ことをアドバイスしています。「自信満々で揺らぎがないよりも、弱みこそ最大の強みになる」のだとか。なぜならば、プレゼンテーションする側が「欠点も間違いもある」といった人間らしさを見せることによって、心を開いた状態になり、聴衆とつながりやすくなるからです。

以前、筆者は披露宴のスピーチで、肝心な箇所を言い間違えたことがあります。すると、それに笑った人々の声と表情のおかげで緊張がとけ、その後はリラックスしてスピーチを行うことができました。その現象は、ほかのプレゼンテーションでも体験しています。筆者がたまたま失敗したことで、弱みが見えて心を開いた状態になり、聴衆も親しみをわかせてくれたのでしょう。失敗しても誠実に話そうとすればするほど、ますます聴衆は好意的に耳を傾けてくれた気がします。

いくつかの研究によれば、人は会話中に脳をシンクロさせるといい、それは、聞き手の理解度とも関連するそう。「弱み」を見せたことで、脳のシンクロを強められのかもしれません。だから、ぜひ人前に立つ前にはこう考えてください。

自分の(人前で話すことが苦手という)不得意は、最大の強みになる

外と中に、仲間を見つけて勇気をもらおう

マーク・ボンチェク氏らのアドバイスには、「仲間を見つける」というものもあります。

例えば、同じように人前で話すことが苦手な仲間を見つけ、プレゼンテーションなどの前に泣き言メールを送ってみるのです。「逃げたいよー」「緊張して死にそうだ」などでも構いません。相手はあなたの気持ちを痛いほど分かっている人。きっと「失敗したっていいんだよ!」「○○○なら絶対に大丈夫!」「私がついている!」など、さまざまな言葉で元気づけてくれるはず。

しかし、言葉そのものは重要ではありません。「あなたの気持ちを共感してくれる人がいる」という事実に、勇気をもらえるからです。

また、プレゼンテーションの最中、「あなたの言葉にうなずく、笑う、目を見開く」など、好意的な反応を示してくれる「仲間」を見つけてみてください。そして、不安になったらその人に話しかけるようにしゃべってみることです。「仲間がいる」と感じるだけで、少しずつ恐怖が和らいでいくはずですよ。

人前で話す“恐怖心”を和らげるコツとは

これまでのことをまとめると、「人前で話す“恐怖心”を和らげるコツ」は次のとおり。

1.「ここにいる人々は、私を食べようとはしないから大丈夫」と考える 2.「人前が恐怖なのは、生き物の大群の前で武器も持たずに立ち、じっと見つめられているからだが、実際には誰も襲ってこない」など、自分の状況を俯瞰し、論理的に言葉を並べて前頭葉を働かせ、恐怖という感情を発している扁桃体を落ち着かせる 3.口角をあげて笑い(無理矢理でもいい)、副交感神経を優位にしてリラックス 4.「弱みは最大の強みになるから、“失敗”大歓迎」と考える 5.人前で話すことが苦手な「仲間」とやりとりをする 6.聴衆の中から、勝手に自分の「仲間」を見つける

*** なお、聴衆の中には、あなたと同じように人前で話すのが苦手な人もたくさんいることを忘れずに。そこにいる大勢の人々は、あなたを狙う獣ではなく、「何かしらの苦手意識」を抱える同じ人間です。

(参考) 高柳和江(2007), “補完代替医療としての笑い”,日本補完代替医療学会誌,vol.4,No.2, pp.51-57. DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|人前で話す不安を和らげる5つのアドバイス エンジニアライフ|「プレゼン怖い」を克服するプロの技―― 『パブリックスピーカーの告白』 日経Gooday(グッデイ)|怒り:脳科学から「怒り」のメカニズムに迫る! カチンと来ても6秒待つと怒りが鎮まるワケ WIRED.jp|その人が「話せばわかる」かどうかは、脳で分かる Wikipedia|扁桃体

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