「仕事が楽しくない。だけど、収入を得るためにどうにか頑張って仕事しなくてはいけない」
「がんばって働いているのに、お金が貯まらない。成功して稼いでいる同世代もいるのに……」

そんなふうに、辛い気持ちで日々の仕事に向き合っている人はいませんか。

確かに、楽して稼げればそれほど嬉しいことはないでしょうし、成功している人ほど効率よく稼いでいるように見えるものです。自分は毎日こんなに残業しているのに、疲れて仕方がないほど仕事をしているのに、どうして成功者の象徴である富を得ることができないのか。そう思うビジネスパーソンは少なくないはずです。

では、仕事とは本当に辛いものなのでしょうか? 辛い苦労をひたすら重ねる以外に、財を築く方法はないのでしょうか? 今回は仕事と富についての考え方を、ある一人の偉大な人物から学びたいと思います。

莫大な資産を築いた、本多静六という学者兼実業家

みなさん、本多静六と言う方をご存知ですか?

貧農に生まれながら苦学し、国内外の大学で学んだのち林学博士の学位を得て東大教授に。明治時代には「日比谷公園」をはじめ、「東京駅丸の内口駅前広場」、皇居前から東京駅までの「行幸通り」など、たくさんの公園や建築物等の設計を手掛け、学問と実業の両方で立派な業績を残した、日本の「公園の父」と呼ばれる人物です。

本多先生がユニークなのは、独自の理論による貯金と投資により莫大な資産を築いたことに加え、「人生の最大の幸福は職業の道楽化にある」と話していることです。

学者でありながら、「自由を得るためにも、カネを遠ざけてはならない」と説いた本多先生。まず収入の25%を強制的に貯蓄するというシンプルな蓄財手段でお金を貯めた後は、その資産を利用して、独自の仮説に基づき株式と山林を購入し資産を築きました。

本多先生のこうした考え方は、「金というのは重宝なものだ。ところが、世の中には、往々間違った考えにとらわれて、この人生に最も大切な金を、頭から否定してかかる手合いがある」という自説に基づくものでした。

「仕事とは元々楽しいものであり、カネを稼がなければならないという呪縛から一定の自由を得ることで、仕事の面白さを追求できる」「金儲けを甘くみてはいけない。世俗的な成功の第一義は、まずなんとしても経済生活の独立にある。これなくしては何ごとの成功もおぼつかなく、またどんな成功も、本当の成功とは世間で認めてくれない。」

(引用元:本多静六著(2013),『私の財産告白』,実業之日本社.)

本多先生は、仕事や財産だけでなく人づき合いなどについても、普遍の人生訓を語っています。富を成すことに積極的だった本多先生の、職業哲学、人生哲学とはとのようなものだったのか、見てみましょう。

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経済生活の独立

「満40才までの15年間は、馬鹿と笑われようが、一途に奮闘努力、勤倹貯蓄、もって一家の独立安定の基礎を築くこと」という持論を展開し、本多先生自身、収入が少ない間も1/4は必ず貯蓄をし、「好景気には貯蓄、不景気には投資」の鉄則を守り、貯金と株式に分散投資を実施していました。

「何人も貯金の門をくぐらずに、巨富には至り得ない。貧乏や失敗は、人間が一人前になるのに、どうしても一度はやらねばならぬハシカだから、同じやるなら、なるべく早いうちにやるがいい」と、やむを得ずではなく、積極的に勤勉貯蓄につとめるべきだと説いています。その結果、本多先生は貯金が不必要になるほどまで蓄財したのです。

よき人生は、よき人生計画に始まる。

また、本多先生は、早くから自らの「人生計画」を立て、実行する必要性を説いていました。自身も、毎日1ページ原稿を書くという計画を守ったため、最終的には370冊を超える著作を生み出しました。その行いは、「真の成功には速成というものはない。登山も人生も同じで、牛の歩みよりおそくとも倦まず、たゆまざることを、第一の心掛けとしなければならぬ」という言葉に象徴されています。

本多先生が語る常に不敗の職業戦術とは「仕事に追われないで、仕事を追う」こと。仕事は真面目にコツコツと。仕事に追われがちな現代のビジネスパーソンがぜひ見習うべき考え方ではないでしょうか。

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人とのつきあい方

学者でありながら膨大な資産を築いていた本多先生は、周囲から妬まれることもあったようで、傲慢になってはならない、とことさら注意していたそうです。

対人関係はお互いの誠心誠意が基調であると考え、些細なことでも周囲の思惑を考慮し、「人の長所を用いて、人の短所を責めてはいけない」、「他人の説や他人の仕事を批評する場合には、必ずその改良案を添える」など、謙虚であろうと常に心がけていました。

努力そのものが幸福

本多先生は、「最高の満足は、努力そのものの中にある」と言い、プロセスを重視する人でもありました。人生の成功と幸福は青年時代の汗の量に比例するものであり、「常に上位を取れる実力の勉強を先回りしてする」ことが大切なのだと話しています。

また、「比較の対象は他人ではなく、自分の中におくこと」、「仕事に遠慮、謙遜は無用」とも語っています。私たちは、社会にいれば必ず競争にさらされます。そうした環境では、つい何かと自分と他者を比較してしまいがちですが、比較する以前に自分がどれだけ努力するかによって成功するかどうかは決まるのであり、その点においては遠慮することなく全力を出し切るべきなのだ、と説いているのです。

「人間というのは、結果を得て幸福になるのではない。努力そのものが幸福なのだ。」

(引用元:同上)

***
本多先生の人生哲学からは、仕事によって富を得ようとする気持ちは大事だが、金を目当てにした仕事ではいずれ苦しくなってしまう、ということが学べます。稼ぐことからは離れて、真面目に仕事をコツコツとやっていけば、仕事の面白さを追求することができ、結果的に成功して蓄財できるということなのです。

いくら積極的に財を築くとはいえ、人並み外れた大財産は身のため子孫のためには全くもって有害無益である、という考えから、本多先生は東大教授を定年退官したのを機に、築き上げた財産すべてを教育・公共機関に寄付したのだと言います。無欲さと有言実行が見事ですね。私たちが先生の偉業を簡単にまねできるわけではありませんが、そのエッセンスを取り入れることはできるでしょう。

さあ、本多先生のように「職業の道楽化」を目指しましょう!

(参考)
本多静六著(2013),『私の財産告白』,実業之日本社.
本多静六著(2013),『人生計画の立て方』,実業之日本社.
本多静六著(2013),『私の生活流儀』,実業之日本社.
地球の名言|本多静六の名言
Wikipedia|本多静六