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漠然とした不安は、私たちが何かに取り組んだり、目標を達成しようとしたりする際に立ちはだかる最も大きな敵のひとつです。不安を受け流すためのマインドセットを手に入れることができれば、大きなチャレンジや困難にも立ち向かうことができそうですよね。

仕事に勉強に追われて毎日へとへと。毎日忙しくしているうちはいいものの、ふと思いを巡らせたとき、このまま惰性で日々を乗り切ってていいのだろうか、といった漠然とした不安に気付くという人はいませんか?

この季節は、社会人にとっては年度末に向けて忙しくなってくる時期。また学生、特に受験生にとっては、まさに今が追い込みの期間ですね。せわしなく、ピリピリとした雰囲気の中に、焦りや不安が入り混じる時期と言えるでしょう。

では、こうした焦りや不安の感情と、一体どうすればうまう付き合っていけるのでしょうか。そのヒントをお伝えしたいと思います。

不安とは一体どんな感情なのか

そもそも不安とは、一体何者なのでしょうか。不安という敵を攻略するなら、まずはその正体を見抜かねばなりません。

不安と似ている感情に恐怖があります。これらの感情は、非常に原始的なもので、恐怖や不安が原因と思われる行動は魚類にも見られるほど。広島大学の吉田将之准教授は、恐怖と不安の定義をこう述べています。

私たちの日常生活では,恐怖と不安とは同じような意味で使われることも多いが,両者にはその定義において違いがある。
恐怖は,直近の脅威(捕食者など)を知覚もしくは予期している状態で,一過性であり,恐怖の対象がなくなると速やかに消失する。一方不安は,非特異的で,はっきりとは予期できない脅威によって引き起こされ,恐怖と比べてより持続的な状態である。

(引用元:吉田将之(2011),「魚類における恐怖・不安行動とその定量的観察」,比較生理生化学.

猛獣が怖いなら、その場から逃げ出せばよく、高所恐怖症なら、崖に近づかなければいい。恐怖は、対象もその解決策もはっきりしています。しかし、不安とは「はっきりとは予期できない」もので「持続的な状態」のことを指しています。対象も解消方法も、明確には分からないのです。

ぜひ知っておいてください。不安とは、完全には消すことのできないものだということを。

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不安は誰もが持っている感情

すると、一つの事実が浮かび上がってきます。不安は、誰しも等しく感じるのだということです。

先ほど、恐怖と不安を対比させました。恐怖は対象がはっきりしています。だからこそ、人それぞれその対象は異なるのです。私の妹は、重度の高所恐怖症で、絶叫マシンの類は乗るのはおろか見るのも嫌だと言います。ですが私は真逆。展望台や絶叫マシンが大好きです。その反面、私が大の苦手としているホラー映画を、妹は臆することなく見ています。このように、恐怖の対象は人それぞれだからこそ、誰にでも等しく起こる感情ではありません。

しかし、不安は異なります。将来の進路、受験の行方、恋人との関係。はっきりと予測できないものに対して抱く感情が不安なのですから、誰にでも不安という感情は起こり得るのです。

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不安を解消するために、困難を分割せよ

このように見ると、不安を解消するための、誰にでも有効な劇的な方策はないということが分かるでしょう。

だからといって、漠然とした大きな不安に囚われたまま、ぼーっとやり過ごしていてはいけません。「不安は自分だけが感じているものではないんだ」と気づいたら、次に起こすべき行動は一つ。それは、デカルトが残したある言葉に集約されます。

「困難は分割せよ」

ただ漠然と不安を感じるままではなく、今自分が感じている不安が何によるものなのか、考えるのです。そして、不安の原因が分かったら、それを小さく分割していきましょう。

受験が不安ですか? それなら、受験当日の不安をなくしましょう。電車を調べ、地図を確認し、胃腸薬とあたたかい飲み物を用意しましょう。次に、勉強の不安をなくしましょう。過去問の見直しをし、自分のミスを分析しましょう。このように、漠然とした大きな不安を、一つ一つの小さな「やること=To Do」に変えていくのです。

不安ははっきりと予測できないものに対する漠然とした感情かもしれませんが、それを分解していけば、予測可能な小さなタスクに近づけていくことはできます。

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いかがでしょうか。
不安は得体の知れない敵のように思えますが、同時に人間らしさの象徴でもあります。がむしゃらに倒そうとするのではなく、不安を受け入れ、冷静に対処する姿勢を持ちましょう。

参考
吉田将之(2011),「魚類における恐怖・不安行動とその定量的観察」,比較生理生化学.


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。