I have an idea!

アイデア発想法を紹介する本は、この世にごまんと転がっているだろう。
ブレストなどの実際的な手法をまとめた本も、数多くある。

今日ご紹介したいのは、そんな世間に大量にある「アイデア本」の元祖ともいえる存在。1940年に米国で発行されてから、およそ70年以上にわたって世界中で読まれ続けてきた超ロングセラーの名著だ。


『アイデアのつくり方』

ジェームス・W・ヤング 著/今井茂雄 訳/竹内均 解説
CCCメディアハウス 1998年

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たった100ページ、解説やあとがきを除けば50ページほどしかないこの本は、発想法の本質を私たちに教えてくれる。本質的であるがゆえ、読めばすぐ実践できる類のものでもないし、誰でも簡単にアイデアが思いつくというものでもない。

しかし、何かを「考える」ことに関しての深い考察と、著者の偉大な実績に裏付けられた方法論は、私たちに強く訴えかけるものだ。これほどまで長い間読み継がれてきた理由も、読めば納得できる。

帯にある「60分で読めるけれど一生あなたを話さない本」という言葉は嘘ではない。

※以下引用は全て当書より

badge_columns_1001711アイデアとは既存の要素の組み合わせである

即ち、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないということである。

(p28)

アイデアを思いつく。そういわれた時、私たちは何もないところからパッと魔法のように何かを取り出す様をイメージしてしまう。

しかし著者はそれを否定する。アイデアとは、既存の要素を組み合わせたものなのだ、と。ゆえに、アイデアを思いつく才能とは「既存の要素の間の関連性」を見つけるところにあるんだそう。

まず「アイデア」というものの認識を変えるところから、この本は始まっている。

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badge_columns_1001711発想の段階 その1「資料を集める」

次に著者は、アイデアの生まれる過程にを五つに分けて紹介している。本当にアイデアをつくりたいと考えるなら、5つのどれも抜かしてはならない、そう著者は語る。最初の段階が「資料収集」。

五つの中の第一の段階は資料を収集することである。これは至極単純明解な心理にすぎないと諸君は驚かれるにちがいない。にもかかわらず実際にはこの第一段階がどんなに無視されているか、これまた驚くばかりである。

(p34)

アイデアをつくり出すことは、「要素の組み合わせ」だと著者は語っていた。つまりアイデアをつくりたいなら、まず初めにその要素を集めることから始める必要があるんだそう。確かに情報収集は大変だし、退屈だ。特にこのネット社会では、本当のことを探すのにも一苦労。

しかし、良質なインプット無くして、革新的なアウトプットは生まれないのだろう。

puzzled young woman thinking scratching head has many ideas looking up

badge_columns_1001711発想の段階その2「資料に手を加える」

その次の段階として著者が語るのが「資料に手を加える」こと。

諸君がここでやることは集めてきた個々の資料をそれぞれ手にとって心の触覚とでもいうべきもので一つ一つ触ってみることである。一つの事実を取り上げてみる。(中略)また、二つの事実を一緒に並べてみてどうすればこの二つが噛み合うかを調べる。

(p44)

アイデアが既存の事実の組み合わせならば、次に考えるべきは、どう組み合わせるかということ。自分の集めてきた資料を徹底的に眺め、考えることが重要なんだとか。

badge_columns_1001711発想の段階その3

そして驚くべきが次の段階である。著者はここで、アイデアのためには「問題を放棄しなければならない」と述べる。

この第三の段階にやってくれば諸君はもはや直接的にはなんの努力もしないことになる。諸君は問題を全く放棄する。そしてできるだけ完全にこの問題を心の外にほうり出してしまうことである。

(p47)

問題を完全に意識の外に追いやってしまうこと。その上で無意識下に問題を考えさせることが重要だと話している。そんなことできるのか、と疑問に思われるかもしれない。

だが、無意識下でも人間が思考しているという事実は、結構有名だ。
2004年の「ネイチャー」は、一度睡眠をとったグループの方が数学のテストの結果がよかったという研究を発表している。

考えてみればアイデアというのは、何も考えていないときにふと思いつくものなのかもしれない。

***

この本ではアイデア発想のための段階があと二つ紹介されている。広告界の伝説とも言われた著者がどのようにアイデアを作っていたのか、ぜひ実際に読んでみてほしい。

出し惜しみではなく、あまりに本書が薄いため、これ以上紹介するとそのまま本になってしまうのだ。実際に手にとってみればわかると思うが、これならすぐに読めてしまう。

仕事柄、アイデアを求められる人へ。
なんだか最近頭が硬くなってきたかもしれないという人へ。


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。