アメリカ初代大統領、エイブラハム・リンカーンは言いました。

6時間で木を切れと言われたら、最初の1時間は斧を研ぐのに使うだろう。

(引用元:グレッグ・マキューン著,高橋璃子訳(2014),『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』,かんき出版.)

1時間の斧を研ぐ過程を省いたために、結局1本も木が切れませんでした、では話になりません。これは比喩に過ぎませんが、私は勉強でも同じことが言えるのではないかと考えています。つまり、数カ月、数年後に控えた試験のために、私たちは脳を磨き上げ、圧倒的な集中力と長期間にわたる勉強体力を身に付けることが必要なのではないか、と考えているのです。

今回は、多くの人が軽視してしまう、勉強の準備段階のお話です。

受験生や大学生、また資格試験を控えた社会人の方。勉強の準備、大切にしていますか? 準備といっても、ノートや参考書を揃えるという話ではありません。万全のコンディションで勉強を行うための、心と体、そして脳の準備です。

すぐに成績や理解向上に結び付く話ではありませんが、長期的な目標を見据えた学びを考えたときに恩恵をもたらしてくれることでしょう。また、読者の皆様も実践できるようにトレーニング方法や注意点なども記載しましたので、ぜひ実践してみてください。

瞑想と呼吸でつくる、白紙の脳

まずは、脳の自己コントロール機能を司る灰白質を増強するための、瞑想と呼吸のトレーニングです。ベストセラー書籍『スタンフォードの自分を変える教室』で紹介されている瞑想と呼吸の方法を、3ステップに分けて見ていきましょう。

1.動かずにじっと座ります。
背筋を伸ばし、足の裏を床にくっつけるかあぐらをかきましょう。

2.呼吸に意識を集中します。
息を吸いながら心の中で「吸って」と言い、こんどは息を吐きながら「吐いて」と言います。

3.呼吸をしているときの感覚をつかみ、気が散りはじめたら意識します。
数分経ったら、心の中でつぶやくのをやめましょう。つぶやくのはやめても、呼吸をする感覚に意識を集中させます。いつの間にか気が散ってしまうようなら、また心のなかで何度か「吸って」「吐いて」と言ってみましょう。

この一連の過程を、まずは毎日5分程度続けてみてください。慣れてきたら徐々に10分、15分と長くしていきます。

私は、この方法で20~30分の瞑想を1年半ほど続けています。その成果として、何も考えない時間が増え、過去に対する後悔、現在の悩み、そして未来への不安に悩まされることなく、一瞬一瞬を大切にして生きていけるようになりました。

瞑想には、集中力を高めたり、ストレスを和らげたりする効果があると言われます。しかし、そうは聞いても、自分で実際にやってみないと効果のほどはわからないものです。なので、疑心暗鬼でも、とりあえず1週間ほど瞑想を続けてみましょう。脳がすっきりしてきたり、不安や緊張が和らいだり、日頃考える量が減ったりするなどの効果が、少しずつ感じられるようになってくるはずです。

そうすれば、頭の中がまっさらになり、不安や緊張がない状態が手に入ります。何にも悩まされることなく目の前の勉強に集中できる。これこそが、勉強にとって最も都合のいいコンディションなのです。

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8時間睡眠でつくる、圧倒的な集中力

睡眠は、瞑想や呼吸法とは比較にならないほどの集中力を、私たちにもたらしてくれます。短時間睡眠でやっていける人も、まずは以下の引用を読んでみてください。

世の中には短時間睡眠で活動できる人もいるが、そういう人はたいてい疲労に慣れきっているだけだ。たっぷり眠って明晰に考えるという感覚を忘れているのである。

(引用元:グレッグ・マキューン著,高橋璃子訳(2014),『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』,かんき出版.)

慢性的に寝不足が続いている方や短時間睡眠に慣れている方は、一回でいいので、休みの日に目一杯まで眠ってから、机に向かってみましょう。驚くほどの集中を体験できるはずです。

いつも仕事におわれ、十分な睡眠時間が取れず、そのせいで仕事の能率が上がらないという人も、できるだけ多くの睡眠時間を捻出することによって、その悪いサイクルを抜け出すことができます。たっぷり睡眠をとれば、集中力が増し、誘惑に打ち勝つ力が格段に上昇しますから、仕事の効率が上がることが期待できるでしょう。結果、短時間睡眠で頑張るよりも仕事が早く終わり、早く帰宅して十分な睡眠をとることができ、次の日の仕事も思い切り集中できるという好循環を生み出すことができるのです。

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1日1時間の筋トレ&ランニングでデザインする、疲れ知らずの脳と肉体

勉強を長時間続けるためには、脳への血流を良くすると同時に、肩や腰回り、背筋の筋肉をつけ、長時間の姿勢維持に耐えうる身体づくりが必要になります。腰痛や肩凝りの原因の多くは運動不足です。最低限の筋肉すらも不足すれば身体機能に様々な障害をもたらしかねないので、適度な運動は欠かせません。

また、運動には、脳の活性化、集中力増強、ストレス発散などの効果もあり、まさに勉強する人にとってはいたれりつくせりです。

腕立て伏せや腹筋、スクワットなど、スタンダードな筋トレメニューで大丈夫です。少しキツイなと感じる人もいるかもしれませんが、特に難しい運動ではないはずですし、良い気分転換になりますよ。私は、以下のサイトに紹介されているメニューの一部+20分程のランニングで計1時間の運動を、夕食前の日課にしています。特に、日中勉強した後のランニングは本当に気持ちがいいのでお勧めです。

即効性重視! 勉強中の誘惑に打ち勝つ、心を鍛える2つの習慣

勉強中、「お菓子が食べたい!」、「ノルマが残っているけどもうやめたい!」と、多くの人が誘惑にかられると思います。どれだけ脳を磨き上げても、こういった誘惑は生じてしまうもの。そこで、2つの誘惑を遠ざける方法をご提案します。どちらも、私の経験上かなり即効性が高いものです。

1つめは、「あと5分頑張ろう」。

これは文字通り、集中力が切れてしまったときに、「あと5分だけ頑張ろう」と自分に言い聞かせるというものです。この方法は、簡単かつ効果絶大で、大抵5分経つと「やめたい」という気持ちは失くなっているので、15分から20分くらいならいつの間にか経過しているということもよくあります。この方法のポイントは、実際に5分頑張ってもまだ「やめたい」と思っていたら実際にやめてよいこと。あまり根を詰めすぎてもよくありませんから。

2つめは、勉強中に実践する呼吸法です。

勉強を終わりにしたい誘惑に駆られたら、呼吸のペースを一気に遅くしてみましょう。「吸って」「吐いて」のサイクルを1回として、1分間に5回程度まで減らします。吸うときは思いきり、吐くときは口をすぼめるようにして少しずつ肺の中の空気を吐いていきます。これにより、心拍数があがり、血流がよくなり、集中力を取り戻すことができます。

この2つを実践することによって、勉強中の誘惑にうまく対処しましょう。

脳を鍛えれば、学びが変わる

集中力が続かないために、勉強に苦手意識を持ってしまう人は多いと思いますが、これは「木を切る前に斧を研ぐ作業」を怠っているために生じているもの。勉強が得意になるためには、もちろん参考書をバリバリ読んでいくことも必要ですが、持続させるための脳と身体を磨くことも同じくらい重要なことなのです。

最高の学びをデザインするためには、「瞑想&呼吸法」「8時間睡眠」「筋トレ&ランニング」の3つを実践しましょう。そして、勉強中の誘惑に負けそうになったら「あと5分頑張ろう」と「呼吸のペースを遅くする」で誘惑に打ち勝ってください。

これらの方法は、1つずつ行っても効果はありますが、やはり全部組み合わせて習慣化したときの集中力は絶大です。ぜひ最高の学びを達成するために、日々の生活の中に取り入れてみてください。1カ月続ければ、あなたの脳は異次元のパフォーマンスを発揮できるようになります。

(参考)
ケリー・マクゴニガル著,神崎朗子訳(2012),『スタンフォードの自分を変える教室』,大和書房.
グレッグ・マキューン著,高橋璃子訳(2014),『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』,かんき出版.