「少しでも頭が良くなりたい」これは誰もが思っていることでしょう。頭の良さにもいろいろありますが、いま特に「地頭が良い人」が注目されています。限られた情報からでも答えを導き出すことが可能な“考える力”を持っているからです。

そこで今回は、頭の良さとは何かを探り、地頭が良くなる方法として「フェルミ推定」という思考法を紹介します。

頭の良さとは

ところで「地頭が良い」とは具体的にはどういうことなのでしょう。また、そもそも頭の良さとは何なのでしょうか。ビジネスコンサルティングほか、“思考力”をテーマに数多く執筆やセミナーを行っている細谷功氏によると、頭の良さは「物知り」「機転が利く」「地頭が良い」の3つに分類できるそうです。

1つ目の、「物知りタイプ」の頭の良さとは、クイズ大会で優勝するような何でも知っている人や、何か国語にも通じているような人に見られる頭の良さ。記憶の良さで構築された知識力が、このタイプの武器です。

2つ目の、「機転が利くタイプ」の頭の良さとは、コミュニケーション能力が高く、他人の気持ちを察したり、自分の気持ちを伝えたりすることが得意な頭の良さです。たとえば多くの出演者たちを相手に、うまく場を回すテレビ番組の司会者や、取引先の心をつかんで商談を進めるのが上手なセールスマンなどがこのタイプです。多くの対人経験によって培われた能力と言えるでしょう。

そして3つ目の「地頭が良いタイプ」とは、比較的数学の問題やパズルなどを解くのが得意な、“考える力”の強い、頭の良さを持つタイプのことです。いずれの能力もビジネスにおいては重要ですが、なかでも特に「地頭の良さ」は、あらゆる問題解決をするうえで非常に重要な能力と言えます。未知の領域でも問題解決が可能となり得るため、これからの世の中でますます重要となるはずです。

asazawa-805-ec
外資系の同僚が驚いた! 3ヶ月でTOEIC大幅アップの秘密を、本人&トレーナーに直撃インタビュー
人気記事

地頭力とは

細谷功氏の著書『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』にのっとって、地頭の良さについて、もう少し掘り下げていきましょう。地頭のベースとなっているのは、論理的思考力と直観力、そして知的好奇心です。

これらをベースに、以下3つの思考力によって答えを導き出します。

結論から考える「仮説思考力」により最終目的まで効率的にたどり着き、全体をとらえて考える「フレームワーク思考力」によって、コミュニケーションにおける誤解や後送りを小さくしていきます。そして、単純に考える「抽象化思考力」によって意思疎通をスムーズにするのです。この思考力で応用を広げていけば、少ない知識で新しいアイディアを作ることも可能となるはずです。

ちなみに、テレビでもお馴染みの人間性脳科学研究所所長、武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部教授の澤口俊之氏は、「地頭」は情報を一時的に集めて答えを導き出す脳の機能「ワーキングメモリ」に相当すると言います。同氏いわく、コミュニケーション能力、やる気やストレス耐性などの「社会関係力」を伸ばすにも、「ワーキングメモリ=地頭」を鍛えることが必要だとのことです。以上をふまえると、「地頭力」は非常に総体的な“考える力”とも言えるのではないでしょうか。

そこで次に、その地頭を鍛える方法をお伝えします。

jiatama-fermi-02

地頭力を鍛えるフェルミ推定

「フェルミ推定」は、人材採用の現場やコンサルティング業界では比較的頻繁に用いられる言葉です。就活などで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実はこれが地頭を良くするのに役立つのです。

フェルミ推定とは「東京から大阪までの新幹線でコーヒーは何杯売れるか?」「日本全国に電柱は何本存在するか?」といったような、実際に調査するのが難しい問題を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で答えを推定する方法です。大きく4つのプロセスが定石とされています。実際に後者の問題を解く過程とともに説明していきましょう。

【1つ目】は答えの出し方を考えるプロセス「アプローチ設定」です。
――電柱の数を単位面積当たりで考えるか、単位世帯当たりで考えるかなどです。単位面積当たりで考えるのが良さそうですね。

【2つ目】は対象をモデル化して単純な要素に分解する、いわば切り口を設定するプロセス「モデル分解」です。
――日本の土地を市街地と山間部に分けて、割合を2:8とします。電柱は、市街地では50m四方に1本、山間部では200m四方に1本とします。すると1km四方にはそれぞれ400本、25本あることになります。

【3つ目】はモデル分解で設定した数値から計算を行う「計算実行」のプロセスです。
――日本の面積が約40万㎢なので、山間部の割合や1km四方それぞれの本数から計算すると、市街地には3200本、山間部では800本となるため、結果は4000万本になります。

【4つ目】は出てきた答えと、現実のデータとの差異をチェックする「現実性検証」のプロセスです。実際のデータに対して1ケタ以内の誤差に収まれば合格だと言われています。
――日本全国にある電柱の実際の数は3300万本(平成24時点)とのこと。推定はある程度正しかったと考えて良いでしょう。

この4つのプロセスは、全体をとらえて比較的単純に考え、最終目的まで効率的にたどり着いています。つまり、フェルミ推定を活用すると、必然的に地頭力を構成する3つの思考力「仮説思考力」「フレームワーク思考力」「抽象化思考力」を使うため、地頭が良くなるということです。

***
頭の良さの種類と、そのなかの地頭の良さ、そしてそれを鍛えるフェルミ推定についてお伝えしました。経済学者の池田信夫氏は、世間がどう言おうと自分の頭で考え、自分の納得することができたからスティーブ・ジョブズは地頭がいいと言います。つまりは“自分で考え、実行を生む力”なのです。みなさんもぜひ鍛えてみてくださいね。

(参考)
細谷功著(2007),『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』,東洋経済新報社.
東大ケーススタディ研究会著(2009)『現役東大生が書いた地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』,東洋経済新報社.
PRESIDENT Online|簡単に「なりたい自分になれる」脳科学法【2】
電線のない街づくり支援ネットワーク|日本の電柱の数
J-CASTニュース|ビジネスで成功する能力を生み出す 「地頭力」がちょっとしたブーム