みなさん誰しも、なりたい自分というものを持っていますよね。ときになりたい自分と現在の自分を比べて悲観的になったり、また、なりたい自分に近づいていることが励みになったりもします。

では、みなさん、次のような経験をしたことはありませんか?

試験前に「明日勉強すればいいや」といって、結局前日と同じように勉強しなかったり、「明日は明日の風が吹く」「明日はもっとやる気があるはず」と思って、やるべきことを投げ出してしまったり。

こうしたことからわかるように、人間は、思った通りに行動できない生き物であるようなのです。それでは、どのようにすれば、未来の自分は思い通りに行動することができるのでしょうか。宣言通りに行動目標を達成するためにはどうしたらよいのでしょうか。

人間が思い描く未来は「想像上」のものでしかない

心理学者のダニエル・ギルバート氏は、将来について考え想像をめぐらすことは人間特有の力であるが、その力は決して完全なものではないと言います。ギルバート氏は、温暖化が人間にとって重要な環境問題であり将来に重大な影響があることを知っているにも関わらず、人の実際の行動は温暖化問題に無頓着になりがちであることを例に挙げ、次のように述べています。

人間の脳は、自らの未来を予見し、運命を言い当てることができる唯一のものである。ところが私たちは、結果がわかっていながら、致命的な判断ミスを犯してしまうことがある。

(引用元:COURRIER JAPON|ダニエル・ギルバート「あなたが『地球温暖化』に無関心な理由を教えよう」

実は、私たちはいくら未来を思い描いていたとしても、その通りには行動しない/できないようなのです。いったいどういうことなのでしょうか?

冒頭に挙げたように、多くの皆さんには、未来の自分がしっかりしていると勝手に思い込んで、様々なことを後に回してしまった経験があると思います。これは人間が持つ性質のようで、調査によっても証明されているものです。心理学者で、ベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』の著者であるケリー・マクゴニガル氏は、同書の中で次のような調査結果に触れています。

仲間の学生の勉強を見てほしいという依頼に対し、学生たちは「次の学期」なら85分くらいなら提供できると答えました。(中略)「では、今学期中にあなた自身はどれくらい教えられますか?」と訊かれたところ、学生たちの回答はたった27分でした。

(引用元:はてこはときどき外に出る|ブログ飯人生にチャレンジする人に思うこと

今はできないけど未来の自分ならできるはず、と思い込んでいても、実際は明日の自分は今日の自分とさほど変わりません。やる気が出ないのも、勉強できないのも、一日寝たからといって変わるようなものではないでしょう。私たちは未来を思い浮かべられる唯一の動物でありながら、思い浮かべる未来は欲望や妄想による影響を受けてしまっているのです。

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未来の自分へ手紙を書けば、未来を正確に眺められる

とはいえ、未来を思い浮かべられるおかげで、目標に向かって努力できるのもまた事実。では、どのようにすれば、より正確な未来を思い描き、将来の行動の実現により近づくことができるのでしょうか。

大切なのは、将来を想像するという人間特有の力を、うまく制御するということです。そのためには「未来をできるだけ鮮明に描く」ことが必要だと、ケリー・マクゴニガル氏は述べています。私たちが描く未来から欲望や妄想による虚飾を取り去って、改めて自分の未来を考えるのです。そうすれば、安易に思い浮かべがちな理想の未来にどれほど現実味がないか、実感できるでしょう。

彼女は方法の1つとして、未来の自分に向けて手紙を送ることを勧めています。

未来の自分に手紙を書いたり、老人になった自分や、不健康に太りすぎた自分の姿を想像してみるのもいいでしょう。(p264)

(引用元:いつも空が見えるから|人間だけが未来を思い描く 「スタンフォードの自分を変える教室」

私たちは手紙を書くとき、相手がどのような状況かを想像しながら書いていきます。そのため、あて先が未来の自分ならば、私たちは強く未来の自分を意識できるため、より鮮明な未来を思い浮かべることができるのです。結果的に、現在の自分を励ましたり戒めたりすることにもつながり、その先の行動の実現性がより高まるでしょう。

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未来の自分に向けた手紙の中で目標を宣言しよう

未来への手紙を書くといわれても、何をかけばいいかわからないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

実は、決まって書くべきことというものは存在しません。よほどのことがない限り中身を読むのは自分なのですから、外面を気にする必要もありません。未来の自分に対して伝えたいこと、思ったことを書けばよいのです。

私たちは書くという行為によって、頭の中を整理できるといわれています。今の自分が感じていること、思っていることをそのまま書き出すことで、今自分が何を考え、目標にし、大切にしているのか、はっきりさせることができるはずです。

未来へ手紙を書くことでできることは、今の自分を見つめ直すことだけではありません。私たちの強みや弱みを分析することもできるのです。経済学の巨人とも呼ばれるピーター・ドラッカー氏は次のような方法を説いています。

なにかまとまったことを手がけるときは、必ず9ヵ月後の目標を定め、メモしておく。9ヵ月後に、その目標とそれまでの成果を比較する。目標以上であれば得意なことであるし、目標以下であれば不得意なことである。

(引用元:DIAMOND Online|成果を上げて成長するために自らの強みを知って自らをマネジメントする

手紙というツールは使っていないものの、未来への手紙に具体的な目標を書いておけば、同じことは十分に実行できるでしょう。

手紙に書いた未来は、読み返したときに実現しているでしょうか? 長期的な計画にはなってしまいますが、ぜひ試してみてください。

(参考)
Locari|なりたい自分に近づく!「未来の自分への手紙」を書こう♪
COXの読書ノート|スタンフォードの自分を変える教室
いつも空が見えるから|人間だけが未来を思い描く 「スタンフォードの自分を変える教室」
DIAMOND Online|成果を上げて成長するために自らの強みを知って自らをマネジメントする
はてこはときどき外に出る|ブログ飯人生にチャレンジする人に思うこと
COURRiER JAPON|ダニエル・ギルバート「あなたが『地球温暖化』に無関心な理由を教えよう」