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忙しい現代人、なかなか「今の自分と全く関係がない本」を読む時間はないのではないでしょうか。せっかくのお盆。いつもより少しは時間があると思います。気分を入れ替えたりちょっとした時空旅行をするために、最近私が読んで予想外に面白かった平凡社『日本人の自伝』をご紹介します。

このシリーズは特に幕末の動乱期〜明治維新の頃の人の自伝が充実していますが、日本史上まれに見る激動期を生き抜いた人々の、「生の声」に触れられるのはとても貴重なこと。想像もつかない時代を生き抜いた人々の知恵や思想は、きっと今の私たちにも新たな気付きを与えてくれることでしょう。

badge_columns_1001711なぜ今『日本人の自伝』(平凡社)を読むべきか

理由1
eBookJapanによって電子書籍化され、安価&手軽になりました。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/tag_genre.asp?genreid=30521

電子化以前:全25巻、各巻ごとに2〜5人の自伝を収録、重い、高い、ほぼ絶版
電子化後:前68名の著者ごとに個別販売、一冊300〜500円程度
つまり文庫本や単行本を買う程度の気軽さで購入することができる上に、自分が読みたい人の自伝をピンポイントで購入できます。

理由2
近代日本の礎を築いたとされる人々が残した貴重な資料で、なおかつ口語体で読みやすいものが多くあります。

以下はeBookJapanによるプレスリリース からの引用です。

平凡社『日本人の自伝』には、近代日本を創ってきた福沢諭吉や渋沢栄一、アジア主義を唱えた宮崎滔天、博物学の巨人・南方熊楠、同志社の創設者である新島襄、国民的な人気を博した歌舞伎役者の中村鴈治郎(初世)や市川左団次(二世)など、幅広い分野で活躍した日本人68人の自伝が収められています。わが国で自伝全集が完結に至った例はこの平凡社『日本人の自伝』が初めてであり、資料的価値に抜きん出た出版資産として内外で高く評価されています。

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badge_columns_1001711特におすすめの自伝

・渋沢栄一『雨夜譚』
幕臣であり官僚であり稀代の実業家でもあった「日本資本主義の父」渋沢の自伝です。東京海上火災保険、王子製紙、東京証券取引所、キリンビールなどをはじめとし、500以上の企業の設立に関わった渋沢の経営センス及び理念がどのように培われて行ったのか詳細に描かれています。経営的なセンスに加え、私塾と道場に出入りし攘夷運動に参加するくだりなどは下手な時代小説よりも臨場感があり、横浜の外国人居住区焼き討ちを計画したものの説得されてとりやめるシーンなどは必読です。

・南方熊楠『履歴書』
一度読んだ本は忘れない博覧強記の人で、漢籍に造詣が深く、18言語を解し、博物学者として世界的な名声を得た人物の自伝です。が、目を引くのはその業績の素晴らしさ以上に、現代まで伝わるその奇人ぶり。「勉強大好き学校は嫌い」といったタイプで、ミシガン農学校を放校になったり、大英博物館研究員でありながら暴力沙汰を起こしたりとそういったエピソードに事欠かない人物だったそうです。

欧米の学者と共著で出したはずの論文が、いつの間にか自分の名義が削除され単著になっていたといった当時のアカデミズムに関する話や、実家で粘菌を観察していたら隣にみかん箱工場ができて日当たりが悪くなって粘菌が全滅したといった在野での研究生活の話など、彼の生命力の強さを表す様なエピソードもたくさん。「会社の上司とうまくいかない」など悩んでいる人が読んだら、悩みがちっぽけに感じられるかもしれません。

他にも、大川周明、柳田国男、大杉栄、田中正造といった、「どういう生育歴が彼の人格と運命を決定づけたのだろう」と思わせる人物がずらり。もちろん福沢諭吉、松平定信といった、歴史の王道を歩んだ人の自伝もあります。ぜひ60人以上のラインナップから、気になる一人を探してみて下さい。


東京大学文科三類から地域文化研究学科アジア科へ進学。マレーシア農村研究で卒論を書いている。