「時は金なり」。こう思っている人は多いでしょう。

ですが、皆さんは本当に時間をお金のように大事にできていますか。お金に関してはきちんとしているのに、時間となると途端に浪費家になっていませんか。

この問いが刺さった方へ。なぜ、時間の管理をお金と同じように綿密に行わないのでしょうか。

時間を本当に大事にするためにはいったいどうすればよいのか。その課題は“時間の家計簿”というテクニックを使うことで解決することができるのです。

成功するかしないかは「時間の管理」にかかっている

仕事や日々の生活に熱心に取り組む一方で、自己の成長・今後への投資として勉強もしたい。あるいは、趣味や自分のやりたいことのための時間も、きちんと確保したい。そう考えている方は多いことでしょう。しかし、現実は時間を上手くやりくりできず、毎日を回していくだけで精一杯とお悩みではありませんか。

皆さんの多くがそうした悩みを持つ一方で、世の中にはうまく時間をやりくりできる人々がいます。そして彼らは得てして、いわゆる「成功者」となっていくもの。

皆さんと彼らとの違いは何でしょうか。成功者が手掛けたハウツー本を読んで実践してみてもうまくいかないのは、どうしてでしょうか。

その問いに対する答えは、「時間を支配しているかどうか」にあります。「支配」するとはすなわち、「主体的に管理」することです。時間に「追われる」のではなく、時間を適切に「用いる」。これができて初めて、成功者たちの様々なテクニックを有効に実践することができるのです。

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「家計簿」をつけて時間を「可視化」せよ

時間を支配するために必要なのは、それを「可視化」することです。

敵を知り己を知れば百戦危うからず。どれだけの時間が存在しているかを把握すること(敵を知る)、自分がどのように時間を使っているのかを把握すること(己を知る)こそが、多くのタスクと戦い忙しさを極める私たちの重要課題です。

時間を可視化するための方法として、今回は“時間の家計簿”というライフハックをご紹介いたします。

“時間の家計簿”とは、読んで字のごとく時間の収支をお金のように管理すること。もちろん、日々の予定管理は誰もが行っていますよね。しかし、その決算についてはいかがでしょうか。お金であれば、赤字のときはその次の期間に切り詰めることで調整していると思いますが、時間の場合はどうですか? 私たちは、やり残した「コト」は気にしますが、その原因としての「時間」には無頓着なのではないでしょうか。

「学習課題が達成できなかった」「××ができなかった」に対して「来月は頑張ろう」という考え方で終わってしまうのではなく、「寝坊した1時間が使えていれば学習課題はこなせた」「○○が2時間長引いたせいで××ができなかった」と具体的に考えること、やり残した「コト」がどんな「時間」の使い方に由来するのかを把握すること、それこそが、“時間の家計簿”で時間を可視化する目的なのです。

“時間の家計簿”によって時間を可視化することは、自分のタスク処理能力を明確に把握することにもつながるため、リスケのみならず、普段の予定を立てる際にも非常に役立ちます。自らの能力を把握したうえで適切な時間配分ができれば、前の予定の延長などによってスケジュールが崩れたとしても立て直しができますし、不意に時間が余ってもその時間を十分に活用することができるでしょう。

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ライフログを“時間の家計簿”に進化させる

さて、実際に“時間の家計簿”をつける方法を紹介しましょう。実は、“時間の家計簿”をつけることはライフログをつけることとほとんど変わりありません。昨今のブームで乱立しているライフログ用のアプリを用いるのが一番手っ取り早い方法です。もちろん、アプリ以外のツールでもOK。実際のところ、筆者自身もスケジュール帳兼日記の手帳をライフログおよび“時間の家計簿”として活用しています。

“時間の家計簿”はライフログとほぼ変わらないと言いましたが、ひとつ決定的な違いがあります。それは、決算とそれを用いたリスケ(スケジュールの組み直し)。決算は、予定に対する時間の過不足を計算することですので、感覚的にもわかりやすいでしょう。では、決算を用いたリスケとはどういうことでしょうか。その考え方がわかる例をひとつご紹介します。

“時間の家計簿”による決算とリスケのしかた

仮に、今週の余暇をつかって同じ文量・難易度の本を3冊(A・B・C)を読みたいとします。1冊にどれくらい時間がかかるかわからないため、スケジュールは「毎日1時間本を読む」としておきましょう。月曜日から始めて土曜日の朝を迎えた時点で、進捗は1冊と1/3冊。ライフログより以下のようなことが把握できました。

月曜:読書1.0時間(Aを1/2まで)
火曜:読書×(残業をしていたため)
水曜:読書1.0時間(Aを1/2~2/3まで)
木曜:読書1.0時間(Aを読了・Bを1/3まで)
金曜:読書×(飲み会のため)

この記録に基づく土日の過ごし方としては、「予定通り、土日も1時間ずつ読む」か「目標は達成したいので、時間を気にせずに読む」かのいずれかが考えられますよね。ただこの方針では、いずれをとっても、3冊を読み終わったり終わらなかったり、それによって他のやりたかったことができなかったりと、様々な結果を得て今週を終えることになると予想されます。

では、ここで“時間の家計簿”的な考えを導入してみましょう。

まず、現状を把握します。平日5日間で3時間を費やし、1と1/3冊読むことができました。このままのスピードで読み進めた場合、休日に合計4時間(1日2時間ずつ)かければ読み終わることはできそうですね。しかしそれでは、1日あたり1.0時間、土日で合計2時間の赤字と考えることができます。

さて、ここで火曜日の残業に注意してみます。この残業は予定外のもので、結果として時間は失われたものの、その分の収入があります。ですから、土日でお金によって節約できる時間がある場合、これを用いて読書のための時間を捻出することができるのではないでしょうか。例えば、食費を節約するために自炊をするのではなく残業による収入をあてて外食する、といったようなことです。このようにすれば、赤字の分の2時間を捻出していくことができるのです。

この例から分かるように、“時間の家計簿”を使うということは、ToDoリスト上のやる「コト」を「時間」の概念に変換し、そのうえで「お金」の次元で融通するということ。単に可視化した数字の上で管理するのではなく、異なる次元に変換して考えることが“時間の家計簿”のミソとなります。

“時間の家計簿”で時間を管理する際のコツ

“時間の家計簿”をつけることの理論についてはお判りいただけたと思います。最後に、実際につけるときのコツをご紹介いたします。

・緊急性は低いが重要なことがあるときは、「そのことについていつ考えるか」を早めに設定する

緊急ではないが解決すべき重要なことを残しているとき、そのことが気になって集中力が低下してしまうことがありますよね。それは、脳の処理能力がそちらに割かれてしまっているため。「いつやるか」を設定するのはもちろんのこと、そのことについて「いつ考えるか」を決めることで、脳の処理能力を取り戻しましょう。

・バッファタイムを設ける

やるべきことが想定以上にハードだった、新たに増えた、想定外に時間をとれなかった。こういったイレギュラーは日常茶飯事。ですから、これに対応する時間をあらかじめ用意しておくことが何よりも肝要です。言い換えると、緊急用に時間を貯蓄しておくということ。こうした余裕のことを行動経済学ではスラックとも言いますが、この余裕がないとき、人は処理能力や判断能力が低下してしまい、自転車操業に陥ってしまいがちだそうです。

予定を完全に詰めてしまうのではなく、余裕を作っておく。その時間が本当に余ったとき(“時間の家計簿”が黒字だったとき)には、余暇として娯楽的なやりたいことに充てましょう。予定が空いている感じがして最初は抵抗感があるかもしれませんが、この姿勢こそがうまくスケジュールを回していくための必須事項です。

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時間に追われるのではなく、時間を支配するために。まず第一歩、“時間の家計簿”に踏み出してみてはいかがでしょうか?

(参考)
センディル・ ムッライナタン著,エルダー・シャフィール著,大田直子訳(2015),『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』,早川書房.
ダン・アリエリー著,熊谷淳子訳(2013),『予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』,早川書房.
谷本有香著(2015),『世界トップリーダー1000人が実践する時間術』,KADOKAWA/中経出版.