インターネットで情報が気軽に手に入るこの時代。勉強法を調べるときや、会議に必要な資料をリサーチするときなど、勉強でも仕事でも、まずはネットで検索、という人は多いと思います。料理のことや病気のことなど、生活のあらゆる場面でインターネットで情報を調べますよね。
何か調べたいことがあれば、簡単に多くの情報に触れることができますが、出てくる情報すべてを信じてしまったり、どの情報を参考にすればよいか悩んでしまったりしていませんか?
気をつけておかなければならないのは、中には疑わしい情報が混じっているかもしれない、ということ。信頼性のある情報とそうでない情報、質の高い情報とそうでないものを見分け、多くの情報の中から雑情報を取り除いて本当に価値のある情報を見分けることが必要なのです。
今回は、情報の価値を見極める三つの方法についてご紹介いたします。
参考文献を見る
インターネット上には、ネットニュースや個人ブログ、SNSなども含めて多くの情報が存在しますが、価値ある情報を得たい場合、まずあなたが確認するべきは、その情報の参考文献です。参考文献(Reference)とは、その情報(記事)の作者が、記事を書くうえで引用したり根拠資料として参考にしたりした、先行研究の文献や、情報のよりどころとなる文献のことを言います。
意識して見てみると、参考文献が載っていない記事や、参考文献の信用性が薄いものである情報が、かなりの数あることが分かります。
政府や企業(どの企業がokでどの企業が信用できないかの線引きは難しいところではありますが)、専門家などがきちんとした知見をもとに発信している情報ならばよいのですが、顔も名前も分からない一般人が発信している情報では信頼しうる情報とは言えません。
大学のレポートでも、そうした信憑性に欠ける情報を使用するのはご法度とされることがほとんどです(特にWikipediaを引用すること禁止する例もあります)。また、仕事でも、信用できない情報をもとにしてビジネスを進めることなどありえないでしょう。
皆さんも何かの情報を得る際には、その情報は参考文献をもとにして書かれたものかどうか、そしてその参考文献の発信元は信用できる人・機関・企業であるかどうかを、確かめてみてください。
証拠を検討する
いかに確かに見える仮説も、証拠がなければそれはいつまで経っても仮説のまま。学問の世界では、説が正しいと言うためには、正しいと言えるだけの客観的な証拠(Evidence)を示すことが必要不可欠です。
同様のことは学問の世界だけでなく、あらゆる情報についても当てはまります。私たちが情報を選択するときにも、その情報が正しいと言えるだけの客観的な証拠が示されていることが重要なのです。
インターネット上で、もっともらしい情報に触れたとしても、その情報には明確で客観的な証拠があるでしょうか? 実験結果や調査結果のような事実に沿った情報であれば、証拠に基づいて書かれていると言えますが、もし、情報の中身に証拠が見受けられないのならば、その情報のすべてを真に受けるのは危険だということを認識しておくべきでしょう。その情報は、筆者の憶測で書かれているかもしれません。
また、このような客観的な証拠は、現代の医療の世界でも大切にされています。根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine、EBM)と言われ、医療職者が患者に治療を行う際は、研究結果などをもとにできるだけ効果のある治療法が選択されているのです。今は患者側も様々な医療情報に触れられる時代です。今後は、医療職者だけでなく患者の立場からも、医療情報の正しさについて判断するために、根拠に基づいて医療情報を利用することが求められています。
定量的かについて考える
定量的とは、
対象の状態を連続する数値の変化に着目してとらえること。
(引用元:コトバンク|定量的)
という意味です。より簡単に言えば、具体的な数値を使って物事を解釈することを言います。
その情報が定量的に書かれているかどうかが、情報の質を決める大事な鍵になります。ではなぜ定量性が大事なのか、以下の例で見てみましょう。
例えば、筋肉量を上げるサプリメントがあったとします。もし、「筋肉を増やしたい人に最適! 筋肉の増強に効果的です」と謳われて販売されていたとしたら、その情報(宣伝文句)には、一体筋肉がどれぐらい増えるのか? どれぐらいの期間で増強が見込めるのか? 等の数値的データが示されていません。怪しいなと思ってしまいますよね。データが数値で示されていないと、信憑性に欠けることがわかるでしょう。
そこでもし「筋肉を増やしたい人に最適! 筋肉の増強に効果的です。当商品は高純度のたんぱく質を用いて、1時間の筋トレ時に使用すれば、平均して3日で30gの筋肉増強が見込めます」と書いてあるのならば、サプリメントの効果がしっかりと数字で示されていますので、質の高い、信頼し得る情報と言えます。
「定量的」とは別に「定性的」という言葉もあります。定性的な情報とは、データに基づかない抽象的な表現、性質を言い表した情報のこと。
自然科学の論文の中にも、新たに分かった性質など定性的な成果を示したものと、実験から得られたデータなど定量的な成果を示したものがあるのですが、一般に、定性的なものより定量的なもののほうが価値が高いとされています。それは、客観的に信頼できる具体的な数値情報を得ること自体が大変な作業を伴うものであるから。定量的な情報には、高い正確性、信頼性があるのです。
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間違った情報を鵜呑みにしないための三つの方法をご紹介しました。これらはかなり普遍的であり、故にいかなる場面でも活用することができます。
質の高い情報を利用するスキルが身につけば、信憑性のある客観的な情報を、勉強や仕事に取り入れることができるようになります。そうすれば、勉強の成果や仕事のアウトプットの質も向上することが見込めるはずです。
是非、上の三つのことを精査する癖をつけて、質の高い情報を見分けられるような情報リテラシーを身につけましょう。
(参考) 科学技術情報プラットフォーム|参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通技術基準(SIST)の活用 看護ネット|EBM(エビデンスに基づく医療)による患者中心の医療とは? コトバンク|定量的