(※脳内で「プロジェクトX」風に読んでください)

「壁」という常識に挑んだ、ひとりの受験生がいた――。

201X年。和歌山県にすむとある文系受験生(18)は、大量の暗記事項を目の前に苦しんでいた。
「来る日も来る日も英単語、古文単語、日本史、生物、おまけに倫理政経―……。
こんなに膨大な知識、全部頭に入れろっていうの?
時間のかかる数学や国語の論述対策でそれどころじゃないのに……」
彼女は、憤りにも似た焦りに押しつぶされそうになっていた。
「もっと効率的にできないのか……」
茫然と、目の前の真っ白な壁を見つめた。

―その時、
「……そうだ」
彼女はおもむろに立ち上がり、壁へと歩み寄った。
この一歩が、のちに奇跡を生み出すこととなる――。

(※そろそろプロジェクトX風に書くのがめんどくさくなったので以降は普通に読んでください)

私が受験生の時に確立した勉強のポリシーは、
「思考系は机でやる、暗記系は机以外どこでもやる」に尽きる。
机の上では、数学や国語などに腰を据えてじっくり取り組むべきだ。
膨大な量の暗記を、机の上でちまちまとやっているのはもったいない。

そこで、私が編み出した、家の中のあらゆる「壁」を活用した勉強法を紹介しよう。

badge_Columns_100「壁でちょこっと暗記法」

用意するもの:
・クリアファイル数枚(できれば柄の入っていない透明なもの)
・テープ(ガムテープより剥がしやすい養生テープがおすすめ)
・暗記事項が載った紙(学校の授業で配られたプリントや、塾のテキスト・参考書の覚えたいページをコピーしたもの)
・家族の許可

やり方:
1,家の中のトイレや洗面所などの壁に、ガムテープなどでクリアファイルを貼り付ける。(見やすい位置に調整しよう)
2,覚えたい事項がまとめられた紙を、そのクリアファイルにどんどん入れこんでいく。
3,あとはその紙を、日常の中(手洗い、歯磨き、トイレ…etc.)で何度も眺める。
気が向くときは「この手を洗っている20秒間でこのページ全部覚える!」と意気込んで暗記してもいいが、毎回それだと疲れるので、たいていはぼーっと眺めるだけでもいい。
ひとつのクリアファイルの中に4,5枚の紙を入れてストックしておけば、ローテーション(すでに覚えた紙は後ろにまわし、覚えたい紙を前面に持ってくる、を繰り返す)でたくさんの知識を復習できる。

メリット:
・家に帰って手を洗うなど、そのわずか10数秒も活用できる。英単語なら2,3個は覚えられる。
・何度も暗記事項にふれることができるので、記憶が定着しやすい。クリアファイルを使うことで、紙も汚れにくい上、一度覚えた暗記事項を、忘れた頃に復習できる。

注意:
・使うテープが強い粘着性を持つものだと、壁にテープ跡が残ったり、壁紙が剥がれてしまうおそれもある。(家の人に相談しよう)
・見た目がちょっとアレ。お客さんを家に呼ぶとちょっと引かれるかもしれない(家の人に相談しよう)

私はこの方法によって、暗記の時間を節約し、机に向かう時間をすべて、数学など思考系の勉強にあてることができた。
(ちなみに暗記については、「自転車通学勉強法」も紹介しているのでそちらも参照してほしい)

家族から許可を得られなかったり、見た目がよろしくないからちょっと……という人は、
トイレや洗面所に、普段使っている単語帳をもう一冊買って置いておこう。
暇な時にちらっと見るだけでも意味がある。

とにかく大事なのは、短い時間でもいいから、何度も何度も暗記事項に触れることだ。

日常の中のほんの数秒間の積み重ねが、
数カ月後に大きな実を結ぶ。

さぁ、家じゅうのすべての壁を、味方にしよう。

(※エンディングテーマ:中島み◯き「地◯の星」)


京都大学教育学部。和歌山県和歌山市出身。県立向陽高校卒業。教員を支える Web 事典「EDUPEDIA」の関西リーダーとして、日々学校現場を駆け回り、面白い授業を全国に発信している。