学習効率を上げたいあなたへ。本当に効果のある “科学的な勉強方法” 4選

たくさん勉強したはずなのに思ったほど良い点数がとれなくて、どうしたら良いのか分からなくなった経験はありませんか?

その原因は、あなたの勉強方法にあるかもしれません。とにかく机に向かって勉強する、昔ながらのスタイルも良いのですが、最近では、勉強中にちょっとした工夫や意識付けをするだけで、学習効率を向上させられることが分かってきました。

実際、これまでにもStudyHackerでは、科学的見地に基づいた、効率よく勉強する方法がたくさん紹介されています。今回は、今まで紹介されてこなかった、科学的に効果の高い最新の勉強法を4つご紹介します。

1. ボールを右手で握りながら覚え、左手で握りながら思い出す

StudyHackerでは、運動をした後に勉強すると記憶力が増大する、ということを折に触れて紹介してきました。これは、運動により体が刺激され、体とつながっている脳も、同様に刺激されるからだと考えられます。今回紹介する勉強法、「握る」という体への刺激により、脳を活性化させるものです。

アメリカのモントクレア州立大学のRuth E. Propper博士らが行った、単語の暗記に関する実験によれば、被験者に単語の暗記をしてもらう前に、まず片手で45秒間、直径5cmのゴムボールを握ってもらいました。そして、単語の暗記をしてもらい、15秒間休憩し、もう一度片手でボールを45秒間握ってもらいます。そのあと単語テストを行い、暗記度をチェックしました。これを全パターン(右手から左手、左手から右手、同じ手から同じ手)について試したところ、右手から左手の順にボールを握った時が、一番記憶力が高いことが分かったのです。これは、右手が左前頭葉という記憶を保存する手続きをする箇所を刺激すること、左手が右前頭葉という記憶を読み出す場所を刺激することを示唆しています。

つまり、何かを覚えるときには右手でボールを握り、思い出すときには左手でボールを握ると良いということですね。さすがに試験会場にはボールは持っていけませんが、握ることが重視されているため、筆箱やシャーペンを握るだけでも効果があると考えられます。

簡単に実践できる勉強方法なので、気軽に取り入れることができますね。

2. ライトナーシステムを使う

人は忘れる生き物です。どんなに勉強しても、一度にすべてを記憶することはできません。しかし、忘れた後にもう一度暗記すると、前回よりも記憶が強固になることが分かっています。つまり、何度も忘れて暗記し直すことが、記憶を確かにする唯一の方法なのです。とは言っても、愚直に何度も何度も復習し直したのでは非効率的。これを改善するために作られたのが、ライトナーシステムと呼ばれる勉強法です。

ライトナーシステムとは、科学記者のSebastian Leitner氏により作られた、単語を効率よく覚えるためのメソッドです。方法は以下の通り。

  1. まず箱を5つ用意し、その箱に番号を振っておきます。その後、単語カードをすべて1の箱に入れます。
  2. 最初に単語チェックをして、単語の意味を当てるごとに、その単語カードを、入っていた箱の数字より一つ大きな数字の箱にしまいます。逆に、一度でも間違えてしまった場合は、どの箱にあったとしても1の箱に戻します。
  3. 一通り単語カードを割り振ったら、次の日から復習を行います。ここからが重要で、箱によって単語の復習の頻度を変えます。1の箱は毎日、2の箱は1日おき、3の箱は3日おき、4の箱は7日おき、5の箱は15日おきに行うと良いそうです。

このライトナーシステムは、有名なエビングハウスの忘却曲線を元に考案されており、科学的な見地に基づいています。また、覚えられていない単語に時間を割け、ある程度覚えられている単語の復習時間を省略できることから、かなり効率の良い勉強法になります。

単語帳を効率よく覚えたいときには、ぜひ利用してみてください。

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3. いろいろな方法で勉強する

一昔前までは、勉強というものは授業を受け、紙の教科書を使うのが一般的でした。しかし、最近では様々な種類の工夫を凝らした参考書や、電子書籍、そして教育機関が信頼性を担保している有益なWEBサイト、映像授業などがあり、勉強する方法は以前にも増して多岐に渡っています。

この中からどれかを選択して勉強するという方法もありますが、一度、様々な方法で同じことを勉強してみてください。一見手間に見えますが、その方がしっかりと身につくそうなのです。医学者でもあり、教育学者でもあるJudy Willis博士によれば、いろいろな方法で学習することで脳の様々な部分に記憶が蓄えられ互いに結びつくため、ちょっとしたきっかけで容易に記憶を呼び起こすことが可能になるのだそう。

また、これは筆者の経験ですが、同じテーマに対していろいろな参考書や講師の言葉を見聞きし比較すると、多面的にものを見ることができるため、曖昧だった部分もすっきりと理解できることが多かったように思います。みなさんも試してみてはいかがでしょうか。

4. アクティブリコールを行う

最後にご紹介するのはアクティブリコールと呼ばれる勉強法です。例えば、「今からこの教科書の勉強を始めてください」と言われたら、普通だと教科書を何度も読み込もうと考えますよね。その方法ももちろん悪くはありません。しかし、もっと良い方法があります。それがアクティブリコールなのです。

この方法では、最初から教科書を何度も読み返しはしません。まずは、軽く一通り教科書を読みます。次に、いきなり確認問題を解きます。もちろん、何も見てはいけません。当たり前ですが、最初から良い点数がとれるはずもありません。しかし、このような「大敗」を味わうことが、実は後の学習のための刺激となるのです。

実際、歴史の勉強でアクティブリコールを実践すると、教科書を読み込む旧来の勉強方法の半分の時間で、同等の成果を得られた研究結果もあるのだとか。非常に効率が良い学習方法なのです。

具体的なやり方としては、以下の通りです。

  1. 教科書や参考書を一通り読む。
  2. 確認問題を行う。
  3. 教科書を見ながら答え合わせをする。
  4. もう一度、間違えたところを中心に教科書を読む。
  5. 2~4を繰り返す。

市販の確認問題がない勉強をしている場合には、一度目の教科書通読の際、自分で重要なところに関して問題を作成していきましょう。それを解くことで、同様の効果を得られますよ。

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努力しても成果が出ないと、自分には勉強の才能が無いのでは、と感じてしまうこともありますよね。しかし、そういう場合には、まず勉強方法を見直してみてください。世の中には、いろいろな勉強方法があります。必ずあなたに合った、素晴らしい勉強法が見つかるはずです。今回の記事がその候補になれば幸いです。

(参考)
Propper, Ruth E., et al. "Getting a grip on memory: Unilateral hand clenching alters episodic recall." PloS one 8.4 (2013).
Leitner Portal|Learn More About Leitner
LOMA LINDA UNIVERSITY|Brain-based Techniques for Retention of Information
Augustin, Marc. "How to learn effectively in medical school: test yourself, learn actively, and repeat in intervals." The Yale journal of biology and medicine 87.2 (2014).

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