肩こりによる経済損失は3,600億円!? “正しい姿勢” のデスクワークで仕事効率はぐんと上がる。

社会人に限らず、パソコンを使う機会の多いすべての人にとって大きな悩みの種となっているのが、肩こり・腰痛です。自分で押したり揉んだり、ストレッチをしたりしても、いまいち改善しない。マッサージに行って一時的によくなっても、またすぐに悪くなってしまう……。慢性的な肩こり・腰痛は本当につらいものですよね。

このように、体の痛みを抱えながら毎日を過ごすことはQOLに関わる問題です。加えて、肩こり・腰痛になるような状態で仕事を続けることによって、様々な病気のリスクが高まるということもわかっています。

また、肩こり・腰痛は、個人の問題にはとどまりません。これはいまや、日本の社会問題。在日米国商工会議所の行った調査(2011年)によると、肩こり・腰痛による経済損失は年間3,600億円にも及ぶのだそう。

肩こりや腰痛は避けたいものですが、パソコンを一切使わずに仕事をするという事はおそらく現実的ではないでしょう。そこで今回の記事では、肩こり・腰痛のリスクをうまく回避する方法を伝えていきたいと思います。

無意識に悪くなる姿勢と体調への悪影響

パソコンを使って仕事をするとなぜ体に痛みが生じるのか、その原因を説明しましょう。

パソコン、特にノートパソコンの画面を見るとき、私たちは無意識のうちにうつむき加減になり、首を少し前に出した状態になります。いわゆる猫背の状態ですね。普段、私たちの頭は背骨によって支えられています。しかし、猫背の状態では、背骨以外の周りの筋肉にも負担がかかってしまいます。これが、こりの原因。また、パソコンの特定の部分だけを見続けていると、骨格に不均等な負荷がかかり、骨格のゆがみにもつながります。

このように、パソコン作業による体の痛みは、「正しくない姿勢のまま長時間作業する」ことが原因で起こっているといえるのです。

このようにゆがんだ姿勢のまま長時間座っていると、猫背が悪化し腰痛や背中の痛みがさらに強くなります。さらには、猫背によって内臓が圧迫され、逆流性食道炎などの内臓のトラブルにもつながる可能性が。姿勢が悪いままパソコン作業を続けることは、体の痛みだけでなく病気をも引き起こしかねないのです。

デスクワークにおける正しい姿勢

肩こり・腰痛は姿勢が悪いことから引き起こされるのですから、この悩みを解消する第一歩は、正しい姿勢をするところから始めるべき。ポイントは、机や椅子、ディスプレイ、キーボードの選び方に注意したり、配置を工夫したりすることです。

パソコンメーカーの富士通によると、パソコン作業をする時の望ましい姿勢は次のとおりですぜひ自分の姿勢をチェックしてみましょう。

机、椅子

自分の体に合ったもの、あるいは体に合うように調節ができるものを使いましょう。机の高さは床から60cm~70cm程度。椅子は座面の高さを簡単に調節でき、背もたれがついているものがおすすめです。

ディスプレイ、キーボード

上端が目の位置より下になるように高さを調節し、目からの距離が40cm以上になるように。目からディスプレイ、キーボードまでの距離を同じ程度にすると良いそうです。文字は、高さが3mm程度(あまり小さくしすぎず無理なく見える大きさ)で表示しましょう。

ノートパソコンの場合はディスプレイと目が近くなりがちなので要注意。ディスプレイを良い高さまで上げてくれるノートパソコンスタンドを使うなどして、正しい姿勢をとりましょう。

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長時間座り続けないようにしよう

上記のポイントをおさえることで正しい姿勢がとれれば、体の負担は軽減できます。しかしながら、たとえ負担が軽くとも、長時間座り続けることそのものに大きなリスクが潜んでいるのです。

“座位行動”研究の第一人者であるネヴィル・オーウェン博士によると、長時間座っていると定期的な運動習慣があっても、病気になるリスクは高まるのだそう。立ったり歩いたりすると脚の筋肉が働いて代謝が盛んに行われますが、座り続けると代謝機能や血流に悪影響があり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの病気を引き起こす可能性があるのだといいます。

肩こり・腰痛を楽にするためだけでなく、こうした病気のリスクを減らすためにも、長時間座ったら一定時間休憩することが必要です。

労働者の仕事効率について調べたある調査によると、最も仕事効率が良くなる休憩の仕方は「52分作業して17分の休憩をとる」というもの。これを参考に、1時間に1回は休憩を入れてみるとよいでしょう。

目をいたわろう

ここまで見てきたように、パソコン作業による肩こり・腰痛は、姿勢によるところが大きいのは確かです。しかしながら、ディスプレイの細かい字を見続けることも大きな原因のひとつ。焦点を合わせるために目の緊張状態が続くと、やがて眼精疲労という状態になります。この眼精疲労が、首や肩の筋肉にまで及び、肩こりにつながってしまうのです。

目の疲れを取るためには、目の体操(※)をしたり、温かいタオルで目を温めたり、目の周りをマッサージしたりするのが有効です(※目を見開いて上下左右に大きく動かしたあと、目を閉じてひと休みする)。

また、ディスプレイから発せられるブルーライトも眼精疲労の一因。ブルーライトカットのメガネをかけることでも、肩こりの軽減が期待できますよ。

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デスクワークによる肩こり・腰痛に悩まされていた方、ぜひ正しい姿勢を取り入れてください。正しい姿勢を心がけて、パソコン作業をより快適にしましょう。

(参考)
オレンジ整体院|肩こり
サワイ健康推進課|IT猫背に要注意! 姿勢を正して新生活
FUJITSU|パソコンの利用と健康 2.パソコンを使う時の姿勢
NIKKEI STYLE|PC仕事の落とし穴 寿命縮まるリスクも…防ぐ方法は
HUFFPOST|腰痛・肩こりによる代償...日本全体で、3600億円!?
NHK|クローズアップ現代 “座りすぎ”が病を生む!? 創輝鍼灸整骨院|なぜ姿勢が悪いと逆流性食道炎になりやすいのか?
株式会社三和化学研究所|特集:眼精疲労
StudyHacker|視力が悪いと肩がこる? 肩こりと視力の不思議な関係。

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