みなさんは、「聞く力」に自信はありますか? プレゼンなどでは普通に話せるのに話し合いや意見交換は苦手、人の話をうまく聞き出せない、ついつい人の話を遮ってしまう……。などといった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
実は、コツさえ押さえれば誰でも「聞き上手」になれるのです。今回は、聞く力の鍛え方をご紹介します。
聞く力とは?
聞く力が大切だとよく言いますが、そもそも聞く力とは何なのでしょうか。経営コンサルタントの横山信弘氏は、「相手の話をよく聞くこと」の意味合いを3つに分類しています。
・相手の話に対して、黙ってじっと耳を傾ける ・相手の話、要望の論点を掴む ・相手の要望やニーズを整理するために質問を重ねる
(引用元:Yahoo!ニュース|聞く力とは? 「相手の話をよく聞く」には3種類の意味がある。)
ビジネスシーンでは特に、相手の話にしっかりと耳を傾ける能力、相手の話や要望の論点をつかむ能力、そして適した質問を重ねる能力が求められます。
人の話を聞くという行為は、受動的ではなく能動的な行為です。聞き上手な人は、相手の承認欲求を満たし、より会話を弾ませることができます。つまり、聞く力を磨けば、周りの人との関係も良好になり、仕事やプライベートがより豊かになるのです。
聞く力のない人がしがちな会話
聞く力がない人は、相手の話をよく聞けているつもりでも、実際には見当違いな受け答えをしている可能性があります。聞く力のない人がしがちな会話は以下のようなものです。
1. ワードだけを拾って会話する A「そろそろ車を買い替えようと思っているのだけど、どこの車がいいと思う?」 B「車かあ。最近車に乗る人が減っているらしいね。これからはカーシェアリングの時代だよ。都内だと駐車場代も高いし」
この会話の場合、BはAの発した質問の「車」というワードだけを拾って、相手の求めている答えとは全く異なる返答をしてしまっています。Aの話の論点は車の購入の是非ではなく、「どこの車を買うべきか」。このように話の論点をズラしてしまっては、相手の話を聞いているとは言えませんよね。
2. 無駄に質問を重ねる A「性能に不満はないですし、早急に欲しいのでこちらの商品を購入します」 B「こちらよりも高性能の商品もございますが、ご覧になりませんか?」 A「性能に不満はありませんので結構です」 B「来月には新機種が発売されるんですが、商品の紹介だけでもお聞きになりませんか?」 A「先ほども申し上げた通り、早急に欲しいので結構です」
Aのニーズを脳内でかみ砕かないままに、Bは場当たり的で無駄な質問を重ねています。この場合、Aにとっては初めに述べた自分の言葉を無視されたように感じてしまいますよね。いくら熱心に質問しても、相手の真意を汲み取れなければ意味がありません。
3. 話す気を無くさせてしまう A「近所の人が新しく犬飼い始めたんだ。これがまた可愛くてさ」 B「分かる。うちが飼ってる犬も可愛いよ。写真見る? 犬種はハスキーなんだけどね。この毛並みがさ……」
こんなふうに話の腰を折ってしまっては、話し手はいい気はしませんよね。他にも、相手が話している途中で「それ知ってます」と遮ったり、他に考え事をして心ここに在らずな返答をしたり……。そんな会話を繰り返しては、相手の話す意欲を削いでしまいます。手元のペンを弄る、貧乏ゆすりをするなどの退屈しているかのような素振りにも注意が必要です。
「話せるのに聞けない人」の特徴に心当たりはありましたか? では反対に、「聞き上手」な人はどのような特徴があるのでしょうか。聞き上手になるためのポイントを見てみましょう。
聞き上手になるポイント
・適切な相づちで聞いていることをアピール 自分が話している最中に相手がずっと無言でいては、不安になってしまいますよね。「はい」、「ええ」等の相づちは会話において無くてはならないもの。熱心にうなずいたり、落ち着いてゆっくりとうなずいたりして、その場に応じた抑揚をつけることも重要です。
さらに通常の相づちに加えて「なるほど」、「存じ上げませんでした」、「それは残念ですね」等の共感や感動を示す相づちが打てると、より相手に気持ちよく話をさせることができます。
聞き手が反応することで、話し手の不安が軽減されます。相手にとって話しやすい環境を作ることで自然と会話も弾むでしょう。
・論点をつかんだ要約文をつくる いくら懸命に返事をしても、それが頓珍漢な内容では相手の話す意欲を削いでしまいます。相手が伝えたいことは何なのか、瞬時に頭の中で要約し、論点をつかむことが重要です。その上で的を射た質問や返答をすれば、より深い会話ができるようになります。
会話が途切れた時などにこれまでの会話を整理した要約文を投げかければ、次の話題の糸口になりますし、話し手が「きちんと聞いてくれている」と感じて信頼関係を築きやすくなるでしょう。
これらのポイントを日頃から意識すれば、聞き上手になることができます。次に、具体的な「聞く力の鍛え方」をご紹介します。
聞く力の鍛え方
1. 集中力・要約力のトレーニング 聞く力に必要不可欠なのが集中力と要約力です。集中力がなければ気の利いた返答や質問はできませんし、相手の話を要約する力がなければ論点がつかめませんよね。
そんな集中力・要約力のトレーニングにオススメなのが会議内容の要約。時には長くて退屈に思えてしまう会議も、トレーニングの場だと思えば高い集中力を保てるはずです。議事録のように、誰が何を言ったか、論点は何だったかを書き出してみましょう。
また、5分ほどの短いニュースを集中して聞き、終わった後に要約してみるのもオススメです。「この話題は必要か」、「主旨は何か」といったことを考えながら話を整理する習慣を身につけられれば、人と会話をしているときにも相手の言葉をうまくまとめられるようになっていくでしょう。
2. リレー・スピーチで鍛える リレー・スピーチとはその名の通り、1つのテーマに沿って3、4人でスピーチをつなげていくものです。ルールは至ってシンプルで、初めの1人が1分間、適当な話題について話をした後、次の人も1分間その続きを話し、また次の人につなげていきます。
例えば、最初の人が「営業部の山田」という人間になりきって自己紹介を始めたら、後の人も全員「営業部の山田」になりきって話をします。話す内容は最近の生活や近日の営業部の業務についてなど、重複しないようにします。
テーマに沿いつつ、前の人の話と自然につながるように意識する必要があるため、注意深く話を聞くようになり、自然と聞く力が鍛えられます。ゲーム感覚で試してみてはいかがでしょうか。
*** 「話す」ことより難しく、能動的な行為である「聞く」こと。聞く力を鍛えて、スムーズな会話を楽しめるようになりましょう。
(参考) Yahoo!ニュース|聞く力とは? 「相手の話をよく聞く」には3種類の意味がある。 日経ウーマンオンライン|「聞き上手」になれる15のポイント 東洋経済オンライン|仕事のできない人は相手の話を聞く力がない HITACHI|会話をスムーズにする「要約」のトレーニング All About|聞く力を飛躍的に伸ばすには?